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現地ファンに愛されU-20女子W杯準優勝…“ヤングなでしこ”が凱旋会見「拍手があんなに温かいものなんだと感じた」

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左からFW浜野まいか(INAC神戸)、池田太監督、DF長江伊吹、

 U-20女子ワールドカップで準優勝に輝いたU-20女子日本代表が1日、東京都内のJFAハウスで帰国報告会見を行った。チームからはなでしこジャパン(日本女子代表)を兼任する池田太監督、主将のDF長江伊吹(AC長野パルセイロレディース)、大会最優秀選手のFW浜野まいか(INAC神戸)が出席。長江は「世界一になる目標は達成できなかったけど、多くの方に愛されたチームの一員で戦えたことを誇りに思う」とすがすがしい表情で語った。

 2018年の前回大会王者としてW杯に臨んだ“ヤングなでしこ”は今大会、オランダ、ガーナ、アメリカとのグループステージを3連勝し、決勝トーナメントに進出。準々決勝のフランス戦では延長終了間際の同点ゴールで持ち込んだPK戦を制すと、準決勝ではブラジルに競り勝ち、2大会連続の決勝進出を果たした。決勝戦でスペインに1-3で敗れ、連覇こそ逃したが、世界2位という輝かしい成績を残した。

 会見の冒頭で日本からの応援に感謝した池田監督は「選手たちはさまざまな人への感謝を持ちながら、自分が持っている力を一体感を持って表現し、W杯の戦いに挑んでくれた。一番高いところからの景色は見られなかったが、最後まで諦めない姿勢、フェアプレーはコスタリカの人々の心を掴むことができ、最後は『ハポン、ハポン』という声も上がった。素晴らしい経験ができた」と大会を振り返った。

 指揮官の言葉にもあったように、ヤングなでしこの戦いぶりは現地サポーターの心を掴んだ。「試合中に相手チームが持った時にブーイングが起こっちゃったり……」と苦笑いで振り返った浜野は「すごく応援してくれて目が温かかった」と感謝。長江も「日本が試合後に挨拶をした際にはスタンディングオベーションで迎えてくださったり、拍手があんなに温かいものなんだと感じた」と感慨深げに語った。

 コロナ禍の到来で国際試合どころか強化合宿もままならず、今大会の予選にあたるU-20女子アジア杯も中止(※出場権は中止となった20年大会の予選成績を踏まえたAFC推薦で獲得)となったため、「正直不安な気持ちもあった」(長江)という中で迎えた大舞台。それでも池田監督らコーチングスタッフ陣と、長江を中心とした選手たちがまとまり、入念なチームビルディングが実ったという。

 準々決勝のフランス戦前に選手同士でのミーティングを促したという池田監督は「私からやコーチからだけでなく、選手だけで生み出せるかと思って相談して、そういう時間を作った」と明かしつつ、「選手からの提案で、スタッフ・選手でババ抜き大会をやったりと選手含め一体感を保つためにいろんな努力をした。サッカーだけでなくピッチ外でもいろんなコミュニケーションを取って、いいチームに成長できたなと思う」と手応えを語った。

 もっとも、若きなでしこ達の世界挑戦はここから。年齢制限のないなでしこジャパンで世界一を奪還するための取り組みがスタートする。

「6試合色々な大陸の国と対戦できて、本当にいい経験ができた反面、自分に足りないものが明確になった大会だった。まだまだだなというのを痛感させられた大会でもあった。一つ一つの課題を克服していかないといけないし、上に行くためにはもっともっと成長しないといけないと思った。自チームに戻ってからの結果を大事にしていきたい」(長江)

「この大会で自分自身の技術、フィジカルの足りなさをすごく感じた。なでしこジャパンで世界一になるためには世界中の誰よりも努力して、もっと日々成長しないといけないと感じた。自チームに帰って、いろんな偉大な先輩からたくさん話を聞いて、もっともっと成長したいと感じた」(浜野)

 そうした選手たちの声を受け止めた指揮官は「アンダーカテゴリからシニアに行くと、さまざまな成長しないといけない部分は多いと思うけど、二人が話していたように、この国際試合を体感したことを大事にしてほしい」と鼓舞。「この6試合やれたことで、ギリギリの戦いを戦ったてき感覚から、伸ばしていくべきところや足りないところ、これは行けるというストロングポイントへの自信を持ってもらって、その上で武器を磨いてさらに成長してほしい」と今後の戦いに期待を語った。

(取材・文 竹内達也)

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