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MF佐野航大が空中戦の強さや対応力発揮。1年前は代表歴なしも、今やU-19日本代表の主力に

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U-19日本代表MF佐野航大(岡山)は空中戦の強さや技術力、対応力を発揮。快勝に貢献した

[9.16 U20アジアカップ予選 U-19日本代表 8-0 U-19パレスチナ代表 ラオス]

 いまから約1年前、ファジアーノ岡山への加入内定が発表された時点で、MF佐野航大の肩書きに「日本代表」の四文字はなかった。米子北高の大黒柱として夏の高校総体で青森山田高と激戦の末に準Vに輝くなど確実に評価を高めてはいたが、世代全体の中で抜きん出た立場ではなかった。

 だが約1年を経て、佐野はU-19日本代表の背番号7を背負ってアジア予選のピッチに立っている。「AFC U20アジアカップウズベキスタン2023予選」(ラオス)において、初戦のU-19ラオス代表戦に続いて16日のU-19パレスチナ代表戦にも先発出場。今年3月の代表初選出時には「選ばれると思っていなかった」と目を丸くし、「周りのみんな上手くて、レベル高くて……。なので、そこに食らいついていくのに必死だった」と振り返っていた男が、堂々の主力選手に成長している。

 パレスチナ戦ではインサイドハーフの位置で先発しつつ、試合途中から左ウイングへポジションを移すと、この変更にも柔軟に対応。「岡山での試合を観ていて、この位置でやれることは分かっていた」という冨樫剛一監督の期待に応えるパフォーマンスを発揮する。

 0-0で迎えた26分には、「一回外に散らしてから(ペナルティーエリアへ)入っていく動き」(佐野)で、右サイドからのクロスボールに対してタイミング良く入り込んでいく。力強いヘディングシュートは相手GKに当たって流れ、最後に北野颯太(C大阪)が触って押し込む形で貴重な先制弾となった。

 元より高いジャンプ力を活かした空中戦には定評のある佐野だが、意外にも「ヘディングシュートでのゴールは、公式戦だと高校時代から一度もない」(佐野)。ついに頭での初得点かと思われた先制場面で、当初は佐野のゴールと発表されたのだが、最終的に公式記録に刻まれたのは「KITANO」の名前。頭での初ゴールと見せかけて、先制アシストとなった。

 その後も攻撃の起点として機能し、坂本一彩(G大阪)が「航大があれを出せるのは分かっていた」と振り返る決定機に繋がる絶妙のスルーパスを通したほか、19分にはFW千葉寛太(今治)の得点もアシスト。ピッチコンディションの影響でボールコントロールが定まらない中でも、粘り強く繋いだ結果がゴールに繋がった。

 試合途中からはインサイドハーフに戻っているのだが、そこも違和感なくスムーズに移行。戦術的な対応力もしっかり見せつつ、完封での大勝に貢献してみせた。

 3月の初代表での好アピール、岡山での素晴らしいプレーで5月のフランス遠征メンバー入りを掴み取り、そのまま主力選手へと台頭。迎えたアジア予選でも、確かな存在感を見せ続けている。

(取材・文 川端暁彦)
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