東京五輪では無念の出場ゼロ——。1年前の大舞台で悔しさを味わったDF瀬古歩夢(グラスホッパー)がカタールW杯直前の日本代表にサプライズ選出を果たした。「五輪で悔しい思いをした中で、もう一段階成長するためには違う国に行かないといけないなと思った。スイスでは対人の部分であったり、サッカーの部分もそうだけど、人としても大きく変われたと思う」。初の海外移籍で大きく成長した姿を森保一監督にアピールしていく構えだ。

　日本代表の守備陣では今回のドイツ遠征直前、主力を担ってきたDF板倉滉(ボルシアMG)が所属先のトレーニング中に負傷。最終予選でメンバー入りしていたDF中谷進之介(名古屋)ではなく、スイスで試合経験を重ねる22歳が抜擢された。瀬古はC大阪所属だった今年1月の国内組にも招集されていたが、体調不良のため不参加。これが事実上のA代表初合流となった。

　19日、初日のトレーニングを終えた瀬古は報道陣の囲み取材に応じ、「滉くんが怪我をしたからということもあるけど、まずこの短い時間で自分の力を監督に良い印象を与えられれば」と生き残りへの意気込みを語った。

　カタールW杯を2か月後に控えていることもあり、「チャンスだなと。シンプルにそれだけ」と本大会行きの野望をのぞかせた瀬古。「CBとしてこっちでやっている以上、経験のある選手がいるのでこの短い期間でもいろいろなことを吸収できたら」と周囲からも良い影響を受けつつ、「チャンスをもらえたことを自分が生かすか殺すかなので、この時間を大切にしていきたい」と力を込めた。

　スイスでは「背が自分より高く、体の大きい選手が多いので、しっかり頭を使いながら90分間通して、どうやって抑えるかを考えながらやっている」と瀬古。まずは日々のトレーニングで新たな姿をアピールし、出場機会を掴み取っていく構えだ。

(取材・文　竹内達也)

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