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11か月ぶり帰還の冨安健洋、安定感の秘訣は日常にあり「アーセナルでは練習でも成長できる環境が整っている」

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試合後、GKマット・ターナー(アーセナル)と話すDF冨安健洋

[9.23 キリンチャレンジ杯 日本 2-0 アメリカ デュッセルドルフ]

 日本代表の最終ラインに頼れる戦力が帰ってきた。DF冨安健洋(アーセナル)は昨年11月のカタールW杯アジア最終予選以来、約11か月ぶりとなる代表復帰戦。危なげのない守備対応に加え、果敢でありながらも安定した攻撃関与を90分間続け、カタールW杯を2か月後に控えるチームに絶大な安定感を加えた。

 冨安は今年に入って以降、複数箇所の負傷により戦線離脱が続き、W杯最終予選の終盤戦を欠場した。6月シリーズにようやく招集されたが、別メニュー調整が続き、最終戦チュニジア戦にベンチ入りしたのみで出場はなし。W杯までちょうど2か月に迫った段階のテストマッチで待望の復帰を果たした形だ。

 左センターバックで先発した冨安はまず前半1分、MF久保建英とDF中山雄太の裏を取ってきた相手のサイド攻撃に対し、完璧な位置取りでクロスをヘディングクリア。すると同11分には相手のプレッシングに慌てることなく、鋭い縦パスをMF鎌田大地に通し、中央を使った鋭い速攻の起点となった。

 前半29分には相手が右サイドからクイックなスローインをしてきたのに対し、飛び込みすぎずに落ち着いて処理。所属先のアーセナルでは主に右サイドバックを務めているため、一定のブランクのあるポジションではあったが、「(どこがやりやすいかは)特にない。与えられたところで、しっかりとチームに貢献するというだけ」という言葉どおりの安定感を見せていた。

 すると後半からは森保一監督から試合前に予告されていたとおり、アーセナルと同じ右サイドバックに移った。「まったく同じ役割ではないので。探り探りやった感じ」。それでも後半21分には相手が深い位置までプレスをかけてきた中、タッチラインギリギリに浮き球パスを配球。ここにFW町野修斗とMF久保建英が一気にプレッシャーをかけ、カウンター攻撃につながった。

 冨安にとって、右サイドバックでの攻撃への関与は「サポートでしかないと思っている」という。「どれだけ僕の前にいる選手に時間を与えられるかだったり、いい状態でボールを預けられるかというところ」。とはいえMF伊東純也、MF堂安律といった世界でも通用しそうな右ウイングを擁するチームにおいて、そうした武器が発揮されることにも期待ができそうだ。

 また試合後の取材対応では視座の高さを感じさせていた。対戦相手のアメリカは攻撃が機能していなかったこともあり、日本の課題が出にくい一戦となったが、「後半ちょっとハマらない時間帯もありましたし、プレッシャーに行くのか、行かないのかというところはまだまだ改善できる」と指摘。また機能した日本のカウンター攻撃についても「仕留め切ることを僕は求めたい」と言い切った。

 そうした振る舞いはプレミアリーグのビッグクラブで戦う日常に支えられているようだ。

「レベルの高いところでやらせてもらっているし、アーセナルの練習もスタンダードのレベルがかなり高いので、それは普段以上の力を無理に出そうとしなくても、しっかりとやるべきことをやるという感覚でできればいいと思っている。アーセナルでは練習でも成長できる環境が整っているので、どんどんそこで周りの選手や監督から得るものを得て成長できればいい」

 そんな冨安の成長ぶりにはチームメートも舌を巻く。DF酒井宏樹は「トミに関しては何もない。年下の選手だけど参考にする部分もすごく多かった。いい刺激を与えて、与えられてお互いにやっていければ」と大絶賛。DF吉田麻也も「なかなかコンスタントに試合に出ていない中であれだけ通常通りのパフォーマンスを出せるのは実力のある選手だなと思う」と目を見張りつつ、「怪我をしないでほしいですね」と求めていた。

(取材・文 竹内達也)
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