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4ゴール大爆発のU-16日本代表FW徳田誉!! 「そこでパス出しちゃうの?」発破をかけられた点取り屋が示した自身の価値

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4ゴールを記録したU-16日本代表FW徳田誉(鹿島ユース)

 静かに燃えていた男が結果でストライカーとしての価値を証明した。AFC U17アジアカップ2023予選のU-16トルクメニスタン代表との試合で、U-16日本代表FW徳田誉(鹿島ユース)は4つのゴールを叩き込んだ。

 185cm・82kgの堂々たる体躯を誇る徳田は、中学生時代から高校生の試合に出場を重ねるなど、早くから大きな期待を受けてきた選手だ。一見すると順風満帆で来ているようにも見えるが、高校1年生となった今季は必ずもうまくいっていたわけではない。

 U-16日本代表でも、6月にインターナショナルドリームカップでは「FW陣で自分だけ無得点だった」(徳田)という屈辱的な結果を味わい、「その後の合宿では一回メンバーからも外した」(森山監督)という指揮官からの強烈なメッセージも受け取りつつ、自分を磨き直しながら代表復帰を勝ち取った。

「(代表を落とされたときに)凄く悔しい思いをして、今回は絶対にゴールを狙っていかないといけないし、そこで自分の価値を示していかないといけないと思っている」

 本来はどこからでも強引に狙っていくプレースタイルだが、よりFWとしての幅広さを求められる中で、ゴールを意識しないプレーが出てしまう点を森山監督からは指摘された。この遠征でも現地入り後の練習試合でも、弱気なプレー選択をした徳田に「そこでパス出しちゃうの? 前向いてゴール狙うところじゃないの?」と発破をかけられ、初先発となったトルクメニスタン戦ではゴールへ向かう姿勢を貫徹した。

 10分に生まれた1点目はそうした成果だろう。FW木吹翔太(広島ユース)のパスを受けたのはペナルティーエリア手前。前にはDFの肉壁があり、距離もあった。パスに逃げて作り直す手もある状況だったが、徳田はシュートを選択。強引に打った結果、相手DFに当たってゴールイン。打ち切ったからこそ生まれた貴重な先制弾だった。

 2点目は「クロスに入る形は常に意識してやってきた」と自信を持つ形。左サイドで仕掛けたMF西原源樹(清水ユース)が「(徳田)誉からめっちゃ名前を呼ばれた」と笑うほど熱くボールを呼び込み、そのクロスからのゴール。3点目はインターセプトから攻守が切り替わる中で「予測できていた」と素早く反応してスペースへと動き出し、MF杉浦駿吾(名古屋U-18)のパスを流し込んでみせた。

「前半の最後にゴリさん(森山監督)から『3点目取って(前半を)終わるぞ!』と言われて、前から守備いくぞとなっていて、練習試合でも同じような形があったので『来るな』という感覚はあった」

 4点目はこぼれ球にしっかり詰めた形。「『こぼれあるな』と思っていいポジション取れていた」というストライカーらしいゴールだった。

「4点取れて勝てたけど、ここから二つが決勝戦みたいなものだと思っている。ここでゆるめるのではなく、同じような雰囲気をまたみんなで作って、自分は点を取って勝ち切りたい」

 殊勲のストライカーの意識は、すでに次のステージへ向いている。

(取材・文 川端暁彦)
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