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“E-1発”の快進撃は止まらない…相馬勇紀がW杯出番へアピール弾「岳さんの特徴は分かっていた」

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[11.17 国際親善試合 日本 1-2 カナダ ドバイ]

 当落線上からW杯メンバーに生き残り、大会前最後の強化試合でスタメン出場。日本代表MF相馬勇紀(名古屋)が貴重なチャンスをモノにした。サバイバルレース参入の糸口を掴んだEAFF E-1選手権からわずか4か月。またしても土壇場での猛アピールを果たし、W杯でも戦力になれるという価値を確かに示してみせた。

 カタールW杯前最後の実戦となった国際親善試合カナダ戦、相馬は右サイドハーフでの先発を任された。所属先の名古屋では左ウイングバックでプレーしており、最近は経験していなかった反対サイド。ボールを受ける向きや角度、ターンする方向、相手をブロックする位置などさまざまな違いが出ることもあり、決して快適なプレー環境とは言えないはずだった。

 それでも相馬は「任されたところをやるというのが自分のモットー」。本大会目前で巡ってきたチャンスを活かすことに集中していた。

 すると前半8分、さっそく大きな見せ場が訪れた。中盤でMF南野拓実(モナコ)とパス交換したMF柴崎岳(レガネス)が前を向くと、右サイドからスプリントを開始。「岳さんの特徴は分かっていたし、練習から『狙います』と話していた」。柴崎の代名詞とも言える鋭いスルーパスに反応し、めいっぱいに身体を伸ばしてゴールに流し込んだ。

 “初見殺し”と呼ばれるドリブル突破が武器の相馬だが、背後へのフリーランは磨き抜いてきた武器。合宿2日目にはMF三笘薫(ブライトン)、MF久保建英(ソシエダ)らウイング陣との違いを報道陣に問われ、「僕も仕掛けるところは持ちながらも、僕は裏をまず狙っていて、背後へのランニングが多いので、そこは他の選手との違い」と断言していたが、まさに有言実行のプレーで貴重な先制点を叩き出した。

 相馬がW杯本大会メンバーに上り詰めたきっかけは、今年7月に国内組で参加したE-1選手権が。大会3ゴールで最優秀選手と得点王をダブル受賞する活躍が評価され、同じく得点王のFW町野修斗(湘南)とともに9月のドイツ遠征への切符を掴むと、トレーニングと出場試合で着実にアピールを続けた結果、この舞台にまで辿り着いた。

 E-1選手権で相馬が見せたのは目立った武器だけでなく、世界基準を意識して高めてきたスキルの多彩さだった。身長166cmと小柄ながら「海外の選手みたいに強いボールをヘディングできるように」と練習してきたヘディングシュートでもゴールを奪い、直接FKとクロスへの反応でも得点を記録。さらには「守備でボールを奪う迫力もあるほうだと思う」という守備面でも違いを見せた。

 そうした多彩さはW杯出場国を相手にしても通用していた。ハイプレスのスイッチが入るタイミングでは鋭く相手に寄せ切り、ボール奪取からカウンターにつなげる場面も創出。E-1選手権後にも「W杯はドイツ、スペインと。世界のトップレベルの選手が相手なので、その相手とやった時にも通用するくらいのレベルアップが必要」と満足する素振りを見せなかった相馬だが、そうした姿勢がJリーグで日々プレーする中でも武器を一段階上のレベルに高めてきた。

 この日、チームは結果的に1-2で逆転負けを喫し、「得点を決めることはできたけど、チームが勝てないとその先がないし、自分も全然嬉しくない。勝つだけのもう1点を取ることもそうだし、クロスを上げたところで決めさせるところもそうだし、もっともっと細部をこだわらないといけない」と悔しさを噛み締めた相馬。それでも個人のパフォーマンスを見れば、本大会での起用にも大きく可能性を感じさせる90分間となった。

 その武器がドイツ、コスタリカ、スペインという相手に通用するかはいまだ未知数。しかし、合流当初に話していた「ここで全ての試合で点を取ったら、一気にそういった評価は変わるわけで、大事なのは試合で何ができるか」という言葉どおりの活躍により、強敵たちに挑む権利を獲得したのは間違いないだろう。

 試合後には「どの選手も最初は経験はなくて、経験は積んでいくものだと思う。こういった形なら得点を狙えると分かったのは収穫。試合を締め切る部分では『これが本大会だったら……』とも思うので、そこでも今日は経験を積めたと思う」とさらに闘志を燃やした相馬。こぼれ落ちた勝利という結果はW杯本大会で取り戻していくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)

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