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カナダ戦で試運転した田中碧「また徐々に上がっていく」緊急事態のボランチ救えるか

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MF田中碧(デュッセルドルフ)

 日本代表は19日、カタールW杯初戦のドイツ戦に向け、ドーハの練習拠点で再始動した。アクシデントが続いていたボランチでは、脳震盪からの復帰プログラム中のMF遠藤航(シュツットガルト)が初めて全体練習に合流した一方、左ふくらはぎの違和感を抱えているMF守田英正(スポルティング)はピッチに姿を現さず別メニュー調整。ドイツ戦に主力の2人を揃えることが難しくなってきた。

 そうした中、W杯最終予選で遠藤と守田とともに3ボランチの一角を担ったMF田中碧(デュッセルドルフ)の状態が上がっているのはポジティブな要素だ。田中は右膝の負傷でリーグ戦を欠場していが、代表合流後の急ピッチ調整が実り、17日の国際親善試合カナダ戦(●1-2)に先発。復帰明けということでデュエルの強度不足が目立つシーンもあったが、66分間のプレータイムで試運転を完了させた。

 前日にオフを挟んだ19日の全体練習後、田中は報道陣の取材に対応。カナダ戦での自身の状態について「体力の問題が一番だったので、やったことで多少はいいのかなと思う。フィーリングの部分では(カナダ戦前に)対人もそんなにやっていなかったし、ここからまたできるので徐々に上がっていくと思う」と手応えを示しつつ、W杯本戦に向けて「ワクワクしている。初めてというか一度しかないので、楽しみたいなと思っている」とモチベーションを語った。

 もしドイツ戦で遠藤が脳震盪からの復帰を果たし、田中とコンビを組むとなれば、東京五輪全6試合に揃って先発した経験が活きるだろう。またもし遠藤の復帰が見送られた場合、柴崎とのダブルボランチになる見込みだが、9月のドイツ遠征エクアドル戦(△0-0)、今月17日のカナダ戦と2試合連続でともにプレーしており、連係面のさらなる向上は期待できそうだ。

 カナダ戦で露呈したのは前線と守備陣との意思疎通の課題。試合後に多くの選手が改善の必要性を強調していたが、その気持ちは田中も同じであった。「前半は行こうとしていたし、実際に取れる回数も多かったので良かった部分もあった。そこで行かれるときももちろんあるけど、そのリスクはしょうがない。ただ、後半は運動量も落ちるし、相手もメンバーや立ち位置を変えてくる中、より早く判断しないといけない」。大事なのはプレスに行くか、構えるかの共通認識。田中は「相手のやり方が変わった瞬間、それに対して瞬時に変えられるものではないけど、それが10分続くのか、5分で変えられるかはまた違う。ブロックを構えて前に行かなくても、後ろに人が余りすぎると結局はボールを握られてしまう。勇気を持ってボランチが前に出ていくとか、自分としては意識的にやっていければと思う」と改善を誓った。

 またそうした修正はピッチ外、ピッチ内の両方で行っていくことが求められる。報道陣からは森保一監督からのアプローチに関する質問も飛んだが、田中は「もちろん監督がこうするということであれば、それに対して自分たちが反応して役割を全うしていくべき。ただ外から見るのと中から見るのでは違う。どちらかがというより、気付いた時に変化させて対応できればいい。もちろんピッチ内で少し立ち位置をいじってそれでハマるのであれば、(監督は)違うことを考える時間もあるだろうし、選手も考えるべき。監督からもフォーメーションや立ち位置を変える指示があればその役割を全うできればと思う」と見解を語った。

 田中は逆境で迎えた昨年10月の最終予選オーストラリア戦で、4-3-3採用とともに定位置を獲得。9月のドイツ遠征では4-2-3-1回帰とともに苦境に陥ったが、主力のアクシデントを受け、再びチームを救う期待が高まっている。そうした中でのワールドカップ本大会。田中自身が心がけるのは、A代表でキャリアを築くきっかけとなったオーストラリア戦でのメンタリティーだ。

「緊張感があるのは間違いないけど、自分が初めて出たオーストラリア戦もそうだけど、自分ができることは自分が持っているものを出すことだけ。『国を背負っている』と気負いすぎるとパフォーマンスが出ない」。だからこそ、まずは楽しむことを考えている。「自分ができる中で一番いいプレーをするという時には、一番楽しむことでチームの力になれる。90分間に対して自分が一番楽しめるようにやれれば」。ただでさえ重圧がかかるW杯の大舞台。それでも田中は1年前と同じ前向きな心持ちで、大事な初陣を迎えていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)

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