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長友佑都が歓喜の咆哮「血が上りすぎてクラクラした」”赤髪”に込めた覚悟

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日本代表DF長友佑都(FC東京)

[11.23 カタールW杯E組第1節 日本 2-1 ドイツ ドーハ/ハリファ]

 興奮冷めやらない様子でミックスゾーンに現れた日本代表DF長友佑都(FC東京)は開口一番、隣で取材を受けていたFW浅野拓磨(ボーフム)に「コラッジョ!」と絶叫した。イタリア語で「勇気、勇敢さ」を表すこの言葉。真っ赤な情熱とサムライの魂をまとってピッチに立った36歳に象徴されるように、森保ジャパンはその言葉どおりの激闘をドーハの地で演じてみせた。

 4大会連続でのワールドカップの試合出場、W杯通算12試合出場は日本史上初の快挙。誰よりもW杯をよく知る男は試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、ベンチから飛び出して爆発的な喜びを表現した。

「ちょっと今回はしびれたね。喜ぶどころか倒れそうになった。血が上りすぎて、マジでクラクラしました。それくらい格別。これまでで一番嬉しい。最高のチームです。それくらい大きなことを成し遂げたし、初戦の大事さは僕が一番経験してきて分かってるから、絶対に何が何でもこの試合を勝ちたいという気持ちは誰よりも強かった」(長友)

 停滞感に包まれた前半は左SB、システム変更で攻勢に転じた後半立ち上がりは左WBでプレーし、逆転の2ゴールはベンチに下がっていた。それでも日本が攻め込むたびに会場から大歓声が上がり、ドイツのボール保持にブーイングが送られるほどの雰囲気は、フィールド上の選手たちだけでは作り出せなかった。

「これは比べる必要はないかもしれないけど、ドイツのベンチの雰囲気と日本のベンチの雰囲気は全然違っていたと思うんですよ。もうみんな本当に熱量が高くて、みんな一緒に戦ってたんですよ。あれは感動するレベルだなと思います。チームが一つになること、僕がずっとみんなの心を一つに繋げることが大事って言ってたのはこういうことなんですよね。これは絶対に伝わるんですよ」(長友)

 チーム合流時は前回ロシア大会と同じ金髪姿で練習場に現れ、ドイツ戦を翌日に控えたピッチ確認では赤髪姿に変化。派手な話題づくりと言われればそれまでだが、W杯経験者が少ないチームの選手たちからは「W杯に向かう雰囲気になってきた」という声がたびたび聞かれた。日々のトレーニングでの大声はもはや日常の光景。決戦ムードの最先鋒を担ってきたのは紛れもない事実だ。

「それはもうこの髪色を見たらね。日の丸の、日本人として日本を代表して背負うというところと、みんなの情熱がこの色に表れたと思う。ここまで派手なことをやって、もしダメだったら全部自分が批判を受けるくらいの覚悟でやったし、若手選手にノビノビとプレーして欲しかったから。だいぶ頭皮を傷つけたし、おじさんになってくるとなかなかキツい部分もありますけど、それでもやって良かったかなと思います」

 表に出てくる派手な振る舞いだけでなく、チームだけで行われたミーティングでも精神的な働きかけは欠かさなかった。

「戦術的な話もしてきたんですけど、どういうふうに戦うのか、どういうふうにワールドカップに入っていくのかという精神的な話をみんなでして、僕もそこで話をさせてもらったんですけど、とにかくここまで来たら強い気持ちが必要だよと。たとえでサムライの話を出したんですが、いくらどんなにすごい武器をつくって、武器を磨いて、綺麗にして、技術を鍛錬しても、戦になって目の前の相手にビビってしまったらその全てが無駄になる。それはサッカーも同じで、戦術的なところは詰めてきたし、技術もみんなそれぞれが磨いてきたけど、目の前の相手にみんながビビっていたら絶対に戦術も技術も活きなかったと思う」

 前半の戦いぶりに課題を残したのは事実。長友自身も「相手のポゼッションの上手さと戦術的なギャップの作り方の上手さがあって、あまり行かせてもらえなかった」と反省点を語った。それでも最後に掴んだ「歴史的な勝利」(長友)。大きな重圧を背負った戦いを終えた36歳はDF吉田麻也(シャルケ)にも「コラッジョ!」と吼え、ミックスゾーンを後にした。

(取材・文 竹内達也)
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