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「W杯出場を決めて選ばれなかった仲間が…」8番を背負う堂安律が同点弾に乗せた思い

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同点ゴールを決めたMF堂安律

[11.23 カタールW杯E組第1節 日本2-1ドイツ ドーハ/ハリファ]

 殊勲の同点ゴールを叩き込んだのは、ため込んだ感情までをコントロールしながら冷静に左足をボールに合わせた背番号8だった。1点を追う後半26分、途中出場でピッチに立った日本代表MF堂安律(フライブルク)にチャンスが来たのはその4分後。MF三笘薫のスルーパスに抜け出したMF南野拓実のシュート性のクロスがGKマヌエル・ノイアーの手を弾いてゴール前へ。こぼれ球に反応した堂安がワンタッチで押し込んだ。

「監督には『スペースが空いてきたのでシュートを打ってこい』と言われた。僕もそのイメージでピッチに入った。ごっつぁんです。ありがとうという感じ。何も考えませんでした」

 堂安にとってA代表での得点は19年1月のアジア杯準々決勝・ベトナム戦以来、約3年11か月ぶり。「あのこぼれ球が来ない3、4年だった。僕が入ったときは少しずつ日本に流れが来ていて、『俺がヒーローになる』と思っていた。そのイメージトレーニングをずっとしていて、そのとおりになった」。晴れがましい表情だった。

 守備でも落ち着いていた。「自然体でできた。気負いすぎて悪かった経験がたくさんあるので、それを糧にうまく頭の整理もできた。マインドセットがうまくコントロールできるようになっていたので、この大舞台でもリラックスしてプレーできるようになった。いろんな壁にぶつかったおかげだと思っている」

 これまでは、自チームで好調でも、日の丸を付けると気合いが空回りすることもあった。今年3月のW杯アジア最終予選では代表メンバーから外れ、堂安不在の間に日本は7大会連続7度目のW杯出場権を手にした。

 それから8か月。フライブルクでの好調ぶりを引っ提げてW杯メンバーに入り、途中出場でW杯デビューを飾った。その感想を聞かれると、「正直、一生懸命すぎてW杯のピッチに立ったという感じはなくて、チームのためにやりたいと思っていた。ベンチスタートだったけど、だれよりも声を出した」と応じ、こう続けた。

「3月に落選したときに、仲間がW杯出場を決めてくれたという感謝の気持ちもありますし、それでも今回選ばれなかった人もいる。個人的なことがうれしいという感情は、ピッチに立つとなかった」。3月のオーストラリア戦に出場しながらW杯メンバーに選ばれなかったMF原口元気や、W杯メンバーに選出されながらも負傷で涙をのんだDF中山雄太を思いやった。

 次戦は先発も見込まれるコスタリカ戦。原口が長らく代表で付けてきた8番を背負う堂安に懸かる期待はますます膨らみそうだ。

(取材・文 矢内由美子)

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