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再び注入していた“闘魂の赤”…ブラボー叫んだ長友佑都「W杯は根性の勝負」

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DF長友佑都(FC東京)

[12.1 カタールW杯E組第3節 日本 2-1 スペイン]

 ドイツ戦の大金星で集まった賞賛は、コスタリカ戦の黒星で批判に変わっていた。そうして迎えた運命のスペイン戦、日本代表は世界的強豪を相手にまたしてもジャイアントキリングを演じた。試合後、チームの雰囲気を常に盛り立ててきたDF長友佑都(FC東京)は「このチームは本当にメンタルモンスターの集まりだと思う」と誇らしそうに振り返った。

 批判はガソリン——。そう言い続けてきた36歳はまたしてもバッシングを力に変えた。「負けてからの3日間、みなさんに批判されて、苦しい思いもしたけど、リバウンドメンタリティーを発揮できた」。ドイツ戦同様に前半は守勢に回ったが、我慢の時間を継続。「ボールを持たれてもネガティブにならない、ナーバスにならない我慢すればチャンスが来ると思っていた」。自身はハーフタイムでピッチを退き、勝負の後半にバトンをつないだ。

 試合を動かしたのは森保ジャパン発足当初から気にかけてきたMF堂安律をはじめ、若手選手たちだった。コスタリカ戦後には若手へのバッシングに「若手が躍動できなかったり、そういう部分は僕の雰囲気作りが甘かったのかなと感じている。若手選手ではなく、そういう雰囲気を作れなかった僕にもっと批判が来るべきだと思う」と自らが矢面に立っていた長友。その言葉どおり、沈滞ムードを打ち破るような大声が練習場に響かない日はなく、その前向きな姿勢が若手選手たちを重圧から解き放った。

 試合までの間、やれるべきことは全てやってきた。試合前日にはドイツ戦前日と同様、再び真っ赤なヘアカラーを追加。「ちょっと色が落ちていてコスタリカ戦を落としたので、ちょっと闘魂が足りないなと」。“見た目だけ”という批判にも晒されるピエロ役になることをいとわず、「僕はもうブラボーとコラージョを言いまくって、髪を真っ赤にして闘魂を注入する。それが僕の大事な役割」と明るく振る舞った。

 そうして掴んだ2度目の大金星。「こんな強い代表を見たことありますか?W杯で。ドイツ、スペインの優勝候補と戦って勝った。それは戦術も技術も大事だけど、W杯は根性の勝負。国と国との戦いで、向こうも死ぬ気で来るし、そのくらい戦ってくる相手に怯まないで、強い気持ちで臨む。このチームは本当にメンタルモンスターの集まりだと思う」。チームを誇った長友は「勝利を掴み取ったことで、自分の3日間の行いは間違っていなかった」とうなずいた。

 それでも一息たてば、すでに目線はこの先を向いていた。今大会の目標はグループリーグ突破ではなく、過去3度にわたって阻まれてきた決勝トーナメント1回戦(ベスト16)の壁を破ること。その決戦の相手はクロアチアに決まった。

「前回の準優勝チームだし、僕もインテル時代にコバチッチ、ブロゾビッチ、ペリシッチと一緒にプレーしている。世界レベルのクオリティーを持った選手たち。モドリッチもいて、タレント揃いのいいチーム」

 そう相手へのリスペクトを語った長友だが、それでもいまのチームには「過信ではなく本物の自信」があるという。「世界中の誰が日本がグループを1位で突破すると予想していたか。誰も信じていなかったと思う。でも自分たちは信じていた。日本の底力を僕らが代表して世界中に見せられた」。史上初のベスト8へ。「今の自分たちなら絶対に突破できる。その力がいまの日本にある」と言い切った。

(取材・文 竹内達也)
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