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“クラブ最優先”鎌田大地を変えたW杯の舞台装置「これが日本のために戦うってことなのか」

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MF鎌田大地(フランクフルト)

[12.5 W杯決勝T1回戦 日本 1-1(PK1-3) クロアチア アルワクラ]

 日本代表史上初のW杯ベスト8には、わずかに及ばなかった。決勝トーナメント1回戦のクロアチア戦後、後半30分で途中交代したMF鎌田大地(フランクフルト)は「なんていう表現が正しいのかわからない感情」と複雑な表情で振り返った。

 所属先でのパフォーマンスでも見せているように、120分間走り切れる自信はあった。

「もちろん選手なので120分間ピッチに居続けたかったし、PKももちろん僕が蹴りたかった。いままで常にこういう試合でフランクフルトだと常にピッチに立っていて、去年は(UEFAヨーロッパリーグ決勝で)PKも蹴った。初めて外で試合を見て、出られないと責任も取れないし、外で見ているのは無力だと思った。ピッチの上に立ち続けたかった気持ちがある」

 それでも今大会、自身の本来の力を発揮できなかった自覚はあった。

「最低限やるべきことはやったと思うけど、僕の期待値的には間違いなく、得点は取ってほしかった選手だと思う。みんなが期待していたと思うので、そういう部分ができなかったのは間違いなく実力不足」

 そんな鎌田はこのW杯期間中、自らに訪れた変化を明かした。

「W杯予選であったり、本大会までは信頼されている立場ではなかったし、(代表メンバーから)外されたりもした。国を背負って戦う意味というのを今回のW杯で初めて知れた。そういう意味で自分の中の感覚が少し変わった」

 9月のドイツ遠征でも「代表は僕自身にとって大事なものだけど、僕にとってはクラブが特別。ビッグクラブと言われるチームでスタメンで出て、CL優勝を目指せるくらいのところでやりたいというのが自分のサッカー人生の最大の目標」と語るなど、代表活動への優先順位は高くなかった鎌田。しかし、日本を背負う気概を持った選手たちと共にプレーすることで、違った感情を抱いていたようだ。

「みんなここまで来る選手だし、自分に対するプライドもあると思うし、自分が一番だって思っている選手が集まる中で、高校サッカー以来、チームとして、自分を犠牲にしてチームのためにやろう、悔しい気持ちを抑えながらチームのためにやろうという感覚がした。これが日本のために戦うってことなのかという感情が湧いた」

 W杯という舞台装置によってもたらされた心境の変化は、未来への新たなモチベーションを生んだ。

「この4試合に出させてもらって、次のW杯は30歳だけど、次の大会は責任感を持って自分が引っ張っていきたいと思っている。できるだけいいクラブでやって、しっかり試合に出て、日本人の価値を高めたい。クラブに戻って頑張りたい」。自身のサッカーキャリアのため、そして日本サッカーのため。鎌田大地は新たな野心を抱き、4年後の北米W杯を見据えた。

(取材・文 竹内達也)
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