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“人生最悪の日”から一夜…南野拓実が明かした悲劇のPK戦の舞台裏「5秒くらい誰も手を挙げなかった」

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日本代表MF南野拓実(モナコ)

 日本代表MF南野拓実(モナコ)が6日、ドーハの練習拠点で報道陣の取材に応じた。前日のクロアチア戦ではPKを失敗し、試合後のミックスゾーンは悔しさを隠せない様子で素通りしたが、一夜明けたこの日は「皆さんには申し訳なかった。整理できていなかった部分もあったし、喋ると抑えきれない気持ちがあった」と切り出しつつ、胸中を明かした。

 南野はクロアチア戦の後半43分、3-4-2-1のシャドーで途中出場。延長戦はチームが劣勢の中で見せ場はなかなかなく、決着がPK戦にもつれ込む中、「PKには自信があった」と一人目のキッカーに立候補した。

 森保一監督は東京五輪準々決勝のニュージーランド戦に引き続き、キッカーを選手に委ねる立候補制を採用。「森保さんが選手の立候補制でPKをするっていうのはその時は知らなかった」という南野だったが、「自分は自信があったから1番か5番を蹴りたいなと思っていた」と覚悟を決めた。

 W杯の一発勝負という重圧がかかる場面だったため、「5秒くらい誰も手を挙げなかった」。そこで南野は「じゃあ俺が行く」と挙手。先攻の1人目という最も緊迫感に包まれる中、ペナルティスポットに向かった。

 しかし、思い描いた結果にはならなかった。左に蹴ったボールはコースが甘く、GKドミニク・リバコビッチに阻まれた。「結局、チームに迷惑をかけた。PK戦は流れがある。相手のキーパーを乗せてしまった」。その後もMF三笘薫、DF吉田麻也のシュートがGKに止められ、日本の敗退が決定。背番号10はピッチに崩れ落ち、しばらく立ち上がることができなかった。

「本当にもう悔しいのと、自分に対しての怒りと、励ましてくれるチームメートの言葉が痛いなというか、申し訳ないなと……。前を向くことができなかった」。一夜明けても悔しさの残る一本のPK。南野は「昨日は間違いなく、自分が今まで生きてきた中で最悪の日だった」と振り返った。

 チーム発足当初から掲げてきたベスト8を目前に控える中、明暗を分けたPK戦。チームとして何かできることはなかったのか。その点について南野に問うと「チームとしては難しい。代表チームはPK戦になる機会はあんまりない。こういう国際試合、大会でしかない」という答えが返ってきた。

 一方、個人の心構えにおいては、もっとできることがあったと捉えているようだ。

「現代サッカーではいろんなPKに対しての作戦がある。GKを見て蹴るのか、助走をどうするのか、メンタル的なルーティーンを作るのか作らないのか、笛が鳴った瞬間に蹴るのかとか、いろんな要素がある。選手おのおのが考えながら、自分の間で蹴れるパターンを身につける必要はあるのかなと思った」

 南野が2020年1月から今年夏にかけて所属していたリバプールでは、PKを含むプレースキックに関する最先端のシステムが導入されていた。

「頭に着けて脳波を測りながらルーティーンを作ったり、笛が鳴った瞬間に蹴るほうがいいのか、一呼吸置いてから蹴るほうがいいのかというのをセットプレーを蹴る全員がやっていた。最新の科学を取り入れてやるというのは自分のパターンを見つけるいい機会になる」。そう振り返った南野は「『なんでそんなところにお金を使うの?』って思うかもしれないけど、いま思うと、そういう細かいことが勝負を分けるのかなと思った」と指摘した。

 またキッカーを立候補制にするのか、コーチ陣の指名制にするのかという論議も起きている。だが、南野は「どっちでもいい」ときっぱり語った。

「オリンピックのニュージーランド戦ではそれがうまくいったという話をみんながしていたし、かつ森保さんは広島でPKが強かったという話を聞いた。監督として最高の選択だったと思う」。指揮官への信頼を語った南野は「それに応えられなかった僕がふがいない」と自ら責任を背負った。

 2026年の北中米共催W杯は31歳。「個人的には絶対に4年後のW杯にリベンジしたいと思うし、絶対に選手としてレベルアップしてこの場に帰ってきたい」と力強く語った。

(取材・文 竹内達也)
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