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U-20日本代表FW熊田直紀から漂う“ギラギラした闘志”、アジア杯初戦で見せつけた逆転2ゴールにも「まだまだっすね」

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2点目を挙げたFW熊田直紀(FC東京)

[3.3 AFC U20アジア杯 日本2-1中国 タシケント]

「出たら結果を残す自信はあります」

 ウズベキスタンへの出発直前、U-20日本代表FW熊田直紀(FC東京)はそう言い切っていた。落ち着いた物言いの中にもギラついた野心がこもる。自分が出れば点を取るという確信を持って試合に入り、いざ結果を出せば、「まだまだっすね」という言葉が出てくるのもまた、いつも通りである。

 3日、AFC U20アジアカップの日本にとっての大事な初戦。U-20中国代表との一戦でもそうだった。ベンチスタートとなったが、後半途中から投入されると大爆発。共にMF佐野航大(ファジアーノ岡山)のクロスボールから2得点を叩き込み、チームを敗北の危機から救い出してみせた。

 1点目は佐野の入れるクロスに対し、「相手のゴールポストの奥側を狙うイメージをチームとして持っていた」というポジショニングから頭で押し込む。オフサイド気味だったが、CBの視界の外に立って待っていたのは想定内。「もっと高いボールでも良かった」と言うように、競り合っても負けない自信もあった上での待ち方である。

 2点目はまたしても佐野のクロスから。「バイシクルで決めたかった」と笑うように、得意のアクロバチックシュートは不発も、こぼれ球に鋭く反応する。

「(ボールが)どうなっているかわかってなかったんですけど、立ったらボールがそこにあったって感じです」(熊田)

 普通の選手なら慌ててしまう状況だろうが、「そんな慌てることなく冷静でしたし、GKの位置も見えていた」と、しっかりコントロールしたシュートを流し込んでみせた。

 中国の選手たちのハードな当たりについても「全然ですね。想像していた通りだったし、去年のスペイン遠征でももっと強い相手と当たっているので」と涼しい顔。唯一感情をむき出しにして「イラついてしまった」のも、自分ではなく仲間がやられたときだった。

 とはいえ、満足感を漂わせていたというわけではない。むしろ漂っていたのはギラギラした闘志である。

「まだまだっすね」

 そう語った上で、こう付け加えた。

「今回は途中からだったというのもあるし、チームの信頼を得てスタメンで出て、結果を出し続けていきたいです」

 昨年はタイミング悪くコンディション不良となって5月のモーリスレベロトーナメントや1次予選出場を逃すなど、このチームの主力となることができずにいた。それだけに、この大事な大会で結果を残し続けることで信頼を勝ち取り、頼られる選手になっていく腹づもりだ。

「あの18番、すごいな!」

 試合後、複数の海外記者からそんな言葉をかけられたが、これでもなお「まだまだっすよ」とも言いたくなるだけのポテンシャルはある。本当の意味で国際舞台に「熊田」の名前が轟くかどうか。よりシビアな試合になっていくであろうこのアジア予選を通じて、その大きな可能性を示すのみだ。

(取材・文 川端暁彦)
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