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首位U-20日本代表の背後に迫る“GL敗退の可能性”、きょうアジア杯第3戦…強敵サウジ戦のポイントは

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U-20日本代表がグループリーグ最終戦へ

「まだ突破すら決まっていない状況ですから」

 グループステージの現状について問われた冨樫剛一監督は少し渋い表情を浮かべ、そう語った。

 AFC U20アジアカップに参加しているU-20日本代表はここまで2戦2勝。グループステージ突破に向けて順風満帆に見えるが、すべては最終戦の結果次第という状況である。同様に連勝スタートだったU-20ベトナム代表が最終節の結果で敗退となったようなことは、「自分たちのグループでも十分あり得ることだと思っている」と冨樫監督は気を引き締めている。

[グループD]
1.日本(6)+4
2.中国(3)+1
3.サウジアラビア(3)-1
4.キルギス(0)-4

 整理しておくと、勝点6で首位に立つ日本はサウジアラビアとの最終戦で勝ちか引き分けならば無条件で1位通過。ただ、敗れるようだと、少しややこしいことになる。中国(勝点3)がキルギスに敗れるか引き分けている場合は、勝点6で日本とサウジアラビアが並ぶ形となる。この場合、得失点差ではなく直接対決での戦績が優先されるため、サウジアラビアが1位通過となり、日本は2位通過となる。

 一方、中国が勝利し、日本が敗れているケースだと、勝点6で3チームが並び、この3チーム間での直接対決の成績で順位が決まるため、日本は1点差負けなら2位通過、2点差以上での負けだと3位に落ちて敗退ということになる。

 逆にサウジアラビアの立場になって考えると、日本に勝利する以外で勝ち残る可能性は非常に低いため、「何が何でも勝ちに来ると思う」(冨樫監督)。タフな戦いとなることは確実だ。

 試合のポイントになりそうなのは、ここまで逆に課題となってきた「立ち上がり」である。

「『予選は難しい』のは確かだけれど、ここまでのゲームは試合の入り方に問題がある。相手が自分たちの背中へ矢印を突き出すような感じで入ってくるのに対し、自分たちはまだ矢印が相手に向いていない感じで入ってしまった。そこは改善したい」(冨樫監督)

 引き分けでも良いというシチュエーションは余計に消極的なプレーを生みがちなだけに、試合の立ち上がりで受けに回ることは避けたいところだ。先制点を奪われるようだと、「0-1なら2位で通過できる」という状況と合わさり、攻めるか守るかがより不透明になってしまう難しさもある。スロースタートは厳に避けたい。

「相手は絶対に勝つという気持ちで入ってくると思うので、それを跳ね返さないといけないと思うし、跳ね返す力が日本にはあると思っている」(DF松田隼風=水戸ホーリーホック)

 とはいえ、真っ向勝負の殴り合いを挑んでも仕方ない。サウジアラビアは「ボールを動かすのが上手い」(冨樫監督)チームだが、「やっぱり彼らの特長はカウンターにある」(同監督)。映像を観た選手たちも「かなり身体能力が高くて、縦への速さがある」(MF安部大晴=Vファーレン長崎)という感触を語っており、攻撃から守備への切り替えを素早くするのはもちろん、そもそもカウンターを受けないような形で攻撃をすることも重要だろう。

 2連勝した日本だが、まだまだ楽観していい状況ではない。過去2戦の反省も踏まえて臨むこの第3戦では、よりチームとしての成熟が問われることになりそうだ。

(取材・文 川端暁彦)
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