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サウジ戦では好セーブ連発…横浜FMの守護神たちを見て育った大学生、GK木村凌也がU-20日本代表のゴールを守る

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U-20日本代表のゴールを守ったGK木村凌也(日本大)

「全体的に落ち着いてプレーできていると思います」

 U-20日本代表GK木村凌也(日本大)はそんな言葉でAFC U20アジアカップ・グループステージ3試合の自身のパフォーマンスを振り返る。U-20サウジアラビア代表との第3戦も、窮地に動じぬプレーぶりを見せ付けた。

 試合のハイライトとなったポイントはいくつかあるが、木村のセービングはその一つだろう。43分、DF菊地脩太(清水エスパルス)のパスがカットされて相手FWラディフに抜け出される大ピンチも、「冷静に対応できた」と決定的シュートを阻止。相手に流れを渡さなかった。

 横浜F・マリノスユース出身で、得意とするビルドアップは「高丘陽平(元・横浜FM、現・バンクーバー・ホワイトキャップス)さんのプレーを観て参考にしてきた」と言う。ウズベキスタンの芝の影響もあってなかなか表現できていない部分もあるが、狙いを持ったロングキックやゴールキックなどで持ち味も出している。

 また「朴一圭選手のプレーを参考にしながらやってきた」と言う「ディフェンスライン裏のカバーリング」の判断も誤らず、裏へのロングフィードやスルーパスに対しての効果的な飛び出しも見せてきた。

 この年代の代表チームはプロで活躍するような突出したGKが出てきていなかったが、優秀選手にも選ばれた昨年5月のモーリスレベロトーナメントでガッチリとポジションを掴み取り、今大会も不動の存在としてチームを最後尾から支えている。

 もちろん、すべてが完璧というわけではなく、「ミスが出てしまっているので改善したい」と語るCKへの対応は一つの課題。「コーチングも含めてもっと厳しく徹底しないといけない」と語るように、グループステージでの通算2失点はいずれもCKからで、1点が勝敗を分けるノックアウトステージに向けて絶対に修正したいポイントだ。

 また冨樫剛一監督が「相手はそこが日本チームの弱点だと思っているということ」と語るロングクロスへの対応も、ここから大きなポイントとなるだろう。その意味で「本当にたくさんクロスが飛んできた」(木村)というサウジアラビア戦の後半は良いシミュレーションになったとも言えそうだ。

「アジア予選の難しさというのはラオスの時(1次予選)からずっと感じながら戦っている」と語る頼れる守護神は、世界切符を懸けての一戦となる準々決勝へ向けて、さらに研ぎ澄ませたプレーを追求していく。

(取材・文 川端暁彦)
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