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U-17日本代表候補が流経大柏高と1-1ドロー。刺激受けた初招集組、復帰組も奮闘

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後半5分、U-17日本代表候補はFW山口太陽(FC東京U-18)が同点ゴール。アシストのFW望月耕平(横浜FMユース)とハイタッチ

[4.28 練習試合 U-17日本代表候補 1-1 流通経済大柏高 JFA夢フィールド]

 高円宮記念JFA夢フィールド(千葉県千葉市)で合宿中のU-17日本代表候補が28日、流通経済大柏高(千葉)と練習試合(45分×2本)を行い、1-1で引き分けた。試合後に実施されたPK戦は4-3で勝利。U-17代表候補は合宿最終日の30日に関東大学選抜と練習試合を行う。

 今回のU-17代表候補メンバーを大きく分けると、約半数が常連組で、約4分の1が初招集組、残りの約4分の1が復帰組だ。6月に開幕するAFC U17アジアカップ タイ2023(U-17ワールドカップアジア最終予選)まであと1月半という時期の強化合宿。森山佳郎監督が「この年代全体の刺激と、(将来日本代表の力になりそうな、)大物になりそうな選手に刺激を」というように、 U17アジアカップメンバーの選考に加え、スペシャルな武器を持つ選手への刺激を与えるという意味でも貴重な合宿となっている。

 この日は、高校年代屈指の強豪校・流経大柏のAチームと練習試合。U-17日本高校選抜CB塩川桜道らやMF中田旭主将ら主力組が先発した流経大柏に対し、U-17代表候補はGK雨野颯真(前橋育英高)、右SB柴田翔太郎(川崎F U-18)、CB黒木雄也(鳥栖U-18)、CB土屋櫂大(川崎F U-18)、左SB内川遼(市立船橋高)、MF山本丈偉(東京Vユース)とMF川合徳孟(磐田U-18)のダブルボランチ、右SHがゲーム主将の佐藤龍之介(FC東京U-18)、左SH高橋旺良(中央学院高)、前線に名和田我空(神村学園高)と山本吟侍(高川学園高)が並んだ。

「高体連の中でも一番走って戦うチーム」(森山監督)という流経大柏に対し、U-17代表候補は高体連所属選手中心の先発メンバーで挑戦。「相手の土俵で絶対に負けないこと」と求められているU-17代表候補は怯まず、指揮官も評価するほど走り、戦った。

 序盤は相手の圧力の前になかなか前進することができなかった。だが、ボールを動かし続けて相手を揺さぶり、12分には高橋のスルーパスが山本に通る。一方で流経大柏MF柚木創のドリブルを捕まえられずに押し返されるシーンも。そして14分、連続攻撃を許すと、右クロスで逆サイドへ振られ、左中間の柚木にニアへシュートを叩き込まれてしまう。

 プレミアリーグで流経大柏と対戦している柴田は、「(流経大柏は)球際も強く来るし、切り替えも速いということで本当に海外を想定した中でもあのくらいの強度は普通にやっていかないといけない」。受けてしまった部分もあり、隙を突かれて失点。それでも、U-17代表候補はここからボールを保持する時間を大きく増やす。下がらずに相手にとって嫌な立ち位置を取ってボール奪取。そして、多彩な攻撃から名和田や佐藤が次々とシュートを打ち込んでいく。

 28分には名和田の左CKからファーの内川がヘディングシュートを放つ。本人も入ったと思ったという一撃だったが、ゴールライン際で流経大柏DFがクリアとの判定となり、ノーゴール。U-17代表候補は30分に4人を入れ替え、GK上林大誠(山形ユース)、左SB吉永夢希(神村学園高)、右SH杉浦駿吾(名古屋U-18)、FW望月耕平(横浜FMユース)がピッチに入り、佐藤がボランチ、名和田が左SHへポジションを移した。

 前半終盤に関しては名和田が「自分を含めて中盤の選手が距離感良く回せていた」という時間帯に。川合、佐藤を中心にリズム良くボールが動き、名和田と吉永のコンビで左サイドを攻略するシーンもあった。また、杉浦が相手の背後を突く形でチャンス。流経大柏のお株を奪うように前から圧力を掛けて相手を押し込んでいた。だが、再三シュートまで持ち込みながらも、ラストの局面で連係を欠くシーンも散見。加えて、塩川やCB高橋力也をはじめ、際のところで堅い流経大柏から1点を奪うことができず、0-1で1本目を終えた。

 2本目、U-17代表候補はGK上林、右SBがキャプテンマークを巻いた松本遥翔(鹿島ユース)、CB本多康太郎(湘南U-18)、CB小杉啓太(湘南U-18)、左SB吉永、MF木實快斗(C大阪U-18)とMF宮川大輝(G大阪ユース)のダブルボランチ、右SH杉浦、左SH望月、2トップはFW山口太陽(FC東京U-18)とFW木吹翔太(広島ユース)がコンビを組んだ。

 同じくメンバーを大きく入れ替えた流経大柏に対し、U-17代表候補が同点に追いつく。5分、最終ラインから大きく展開し、左の吉永が相手のポケットへスルーパス。望月が折り返すと、「チームが前半0-1で負けていて、逆転狙って自分も1点じゃなくて何点も取りたいと思って入りました。望月君が良い形で折り返してくれた」という山口が左足ダイレクトでゴールへ流し込んだ。

 この後は幾度かプレスを剥がされるシーンがあったものの、各選手が責任感を持ってディフェンス。そして、チーム全体が前へ前へと出て仕掛け、シュートへ持ち込んだ。15分にGK荒木琉偉(G大阪ユース)、CB大川佑梧(鹿島ユース)、右SH加治佐海(川崎F U-18)、左SH川村楽人(東京Vユース)を投入。木實がインターセプトから左足シュートを打ち切り、左SHへ移った小杉のスルーパスに山口が反応する。

 また、この日、アグレッシブな仕掛けを見せていた初招集組・川村の縦突破から木吹が決定機を迎える。木實、宮川から次々とパスが配給され、ボールを失ってもまた中盤、DFラインで奪い返して木吹らが幾度もゴールへ向かった。34分には流経大柏MF小内亮吾のループパスからMF道白優斗に抜け出されたが、U-17代表候補はU-16世代から個人昇格のGK荒木がストップする。落ち着かない展開だったことは確か。森山監督も「しっかり攻守に安定したプレーができたら」と語っていたが、ゴールへ向かい、チャンスを作り続けていたことについては前向きだった。

 アディショナルタイムにスルーパスで抜け出した山口の左足シュートがクロバーを叩くなど2点目を奪えず、1-1で引き分け。決め切れなかったこと、勝ち切れなかったことは、29日のポジション練習で改善を目指す。PK戦では2人が失敗した流経大柏に対し、U-17代表候補も1人が失敗。だが、松本、加治佐、山口が決め、最後は5人目の川村が右足で決めて“勝利”で練習試合を終えた。

 初招集組や復帰組にとっては、U-17代表の基準を知る機会であると同時にアピールのチャンスだ。山口は昨春、一昨年の秋に怪我で代表候補合宿を辞退。久々の代表候補合宿に期するものがあったようだ。「自分はU-15から1年、2年近く選ばれていなかったので、絶対に選ばれたいという思いで今回の練習から入って、得点は取れたという形で結果は残せたと思います」と頷く。

 森山監督もチャンスを得た選手たちが「(今後)大きく成長する部分を見せてくれた」と語ったが、守備の部分などまだまだ不足している選手が多いことを指摘。山口も2点目が取れなかったことに加え、「途中ポストプレーのときに味方と合わないところが何回かあった。自分のトラップミスもあったのでそういうところを高めていきたい」と代表合宿で出た課題の改善を誓っていた。選手たちは4日間の合宿でU-17代表の求める基準を確認。今後の飛躍、世界で活躍するきっかけにする。 

(取材・文 吉田太郎)
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