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北野颯太はW杯初戦勝利に喜びも…U-20日本代表の背番号10が滲ませた憂いと新たな決意

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MF北野颯太(C大阪)

 U-20ワールドカップのグループリーグ初戦で白星を手にしたU-20日本代表だが、背番号10の顔は晴れやかではなかった。MF北野颯太(C大阪)はチームの勝利を最優先に喜びを示しつつも、「勝ちましたけど一回忘れて、また気持ちを新たにやっていきたい」と気を引き締めている。

 難敵揃いのグループCにおいて、最大の難関ともいえる初戦の相手はアフリカ王者セネガルだった。北野はこれまでの対戦相手との違いを「リーチの長さ」と語る。「取れそうやなというところで足が伸びてボールをはたかれたりとか、普段ではなかなか味わえない」部分は、主にボール奪取で感じたという。「いつもなら取れる感覚で行って取れなかったっていう。もちろん技術的な上手さもあると思うんですけど、それをカバーできる足の長さというのは感じました」。身体能力の差を痛感させられた。

 だが、初戦でその差を感じられたことは大きい。北野も「それがやっぱり基準になってくる。もっともっと強い相手に、逆にトラップではがされるくらいのレベルになってくると思う。強度を上げていかないといけないですし、自分らもレベルアップできると思う」とさらなる成長に力を込めた。

 その一方で、攻撃面では自身に課題を見出した。3月のアジアカップではアシストでチームを助けたが、ゴールは遠かった。U-20W杯の初戦でも勝利に貢献はすれど、攻撃面で真価発揮はできなかった。

 自らを「相手の嫌なところでボールを受けることができるプレーヤー」と定めながらも、その持ち味は消えていた。受けたときの動作には自信を見せるが、ボールを受けることができなかった。「受けたらそこで仕事はできる。そこから味方を使いながらだったり、自分のドリブル突破だったりは出せると思うので、そういう嫌なところで受け続けるということを次の試合では意識したい」。冷静に省みながら、次の試合に目線を向けていた。

 楽しくサッカーをすることを信条とする。しかし、日本代表10番の重みは感じざるを得ない。

「10番としての仕事は自分ではわかっていますし、皆さんからの期待を背負ってプレーしないといけないので、色々難しいところはあるとは思う。でも、自分らしさというのは忘れずに。色んなものを背負ってプレーすることは大事だと思うんですけど、それを背負いすぎるということもある。自分らしく楽しくサッカーできたら、それがいいプレーにつながる。そこは続けて、軽いプレーをするわけじゃないですけど、覚悟を持ちながら、自分らしい遊び心のあるプレーを見せられれば」

 対するコロンビアは、一年前のモーリスレベロトーナメントで対戦し、日本は1-2で敗戦している。この試合に先発していた北野にとっては一年越しのリベンジとなる。「セネガルよりは足元の技術だったり、クオリティは高い。そこは注意しないといけない」と警戒しつつ、「でも、そんなビビるほどの相手ではないと思う」と強調する。「次勝てば先に進めるチャンスがさらに広がる」。決勝トーナメント進出への一歩を、自らの足で力強く踏みしめるつもりだ。

(取材・文 石川祐介)
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