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日本代表キリンチャレンジ杯メンバー発表 森保一監督会見要旨

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森保一監督

 日本サッカー協会(JFA)は25日、千葉市内の高円宮記念JFA夢フィールドで記者会見を行い、6月のキリンチャレンジカップ2試合に臨む日本代表メンバー26人を発表した。森保一監督が約40分間にわたって質疑に答えた。

森保一監督
森保一監督
「今回のキリンチャレンジカップはカタールW杯の後の2度目の活動となる。まずはホームで戦うということ、相手がどこであれ、勝利を目指して戦うということ。3月の活動で残念ながらサポーターに勝利をお届けできなかったので、今回の戦いではしっかり勝って喜んでいただけるように勝利を目指して、チーム一丸となって戦いたい。エルサルバドル、ペルーという素晴らしい相手との戦いの中で、チームの立ち上げからさらに選手層と戦術面でも幅を広げていけるように試すという部分をチャレンジポイントに持って活動に臨みたい。選手たちには思い切ってプレーしてもらえるようにコミュニケーションを取りながら試合に臨みたい」

―復帰した古橋亨梧選手に期待することは。
「継続してチームの勝利に貢献する結果と存在感のあるプレーをしているということで招集させていただいた。結果というところで、彼には得点を期待しているし、ゴールを狙える、そしてゴールチャンスを作るという場面に多く絡んでもらえるように期待したい」

―3月の代表戦でこれまでよりもポゼッションに重視してトライしていたが、今回の活動でトライしたいことは。
「継続してポゼッションのところはもちろんトライしていかないといけない。完璧にできたえわけではないので、よりチームとして多くのプレー、そしてセットプレーを含めて良い形で攻撃につなげられるようにということをトライしていきたい。その中で相手のゴールに迫るというところ、ボールを奪った後のカウンター攻撃、そしてボール保持時には相手の背後を取ったり、前戦で起点を作ったりという部分から、シュートチャンスにつなげていく部分はさらに出していけるように、この6月の活動で準備していきたい。素早くゴールに向かってプレーするということは優先順位の一番だと思うので、もちろんこれまでの過去を振り返って、ポゼッション率というかゲームをコントロールして相手を崩していく、試合をコントローすることはできるようにしないといけないということで3月の活動でトライしたが、まずはゴールに向かっていくことも忘れてはいけない。しっかり使い分けること、相手のゴールに向かっていくということ、勝つためにゴールを奪うというベースの部分をこの6月ではチームとして共有できたらと思っている。また3月の戦いの中で、ベースということを話したが、攻撃に移るにしても良い形で攻撃するにしても、いい形で守備をするにしても球際のところ、ボールの奪い合いから始まるということ。データで見てもウルグアイ戦、コロンビア戦と過去のW杯であったり、親善試合を比べても、デュエルでかなり対戦相手とこれまでよりも差があったので、選手の持っている技術やチームの戦術を生かすためにもまずはボールの奪い合いからもっと勝率を上げて、われわれが主導権を握って攻撃・守備できるように、ベースのところはしっかり立ち返って出せるようにしたい」

―3月よりもDF登録の枚数が減り、MF、FW登録が増えているが、そのあたりの狙いは。またDFで谷口彰悟選手が選ばれているが、今回選んだ理由は。
「枚数的にはDFライン専門の選手は少なくなっているかもしれないが、2試合を戦う中でいろんなことを試す上では十分だと思っている。これまでのチーム作りも、今回選んだ選手もこのポジションしかできない選手はほとんどいない。自分の良さを発揮するスペシャルなポジションを持ちながらもポリバレントに複数ポジションをして、組み合わせを考えながらやれたらと思っているし、選手にもスペシャルな部分と、柔軟に違うポジションもできることを見せてもらいたい。谷口はカタールW杯までのチーム作りでも実力を発揮してくれていたし、今回いろんなことを試す中でその実力も買って再招集させてもらった。初の海外移籍でいろんなことを経験してチームに還元してくれると思う。カタールでいろんな経験をしたことも含めて今回の代表チームで力を発揮してもらいたい」

―前回の活動でビルドアップに意識が向いたという反省点があったと言っており、代表では永遠の課題だと思うが、次にそうならないように反省を活かして、いい練習をするためにどうすればいいと考えているか。
「いろんなことをトライするポイントは選手に伝えるべきだと思うし、チャレンジのポイントはしっかりチームとしての活動の中で必要だと思うので、必要なことは具体的に選手たちに伝えていきたい。サッカーの攻撃、守備、戦いにおいての原理、原則がある中で、言ったことに偏りすぎて選手の柔軟性がなくなることがないように働きかけ方には注意しないといけないと思っているし、そこは選手たちの様子を見て、色々とコーチングの仕方を変えていくことは柔軟性を見てやっていきたい。違う質問でもあったが、やらなければいけない攻撃、守備の優先順位、サッカーはボールの奪い合いから始まるというベースの部分を持ちながらトライしてもらうポイントを見てもらうようにすればノッキングは軽減されるし、選手自身も思い切ってプレーできると思う。ベースの部分を伝えられるようにしていければと思う」

―森下龍矢選手、川村拓夢選手、川崎颯太選手が招集されたが、それぞれの選出理由は。
「一言で言えば、われわれがスカウティングをしている中でのパフォーマンスが良かった選手ということと、他にもパフォーマンスが良かった選手がいる中で、チームづくりをしていく過程で呼ばせてもらって、実際にこの目でどういう調子でいるのか、どういう成長があったのか、どういう力をつけているかを見極めさせてもらうこととともにチームの戦力として個の力はもちろん、他の選手との融合具合、戦術理解度も見させてもらうことで招集させていただいた。森下選手はグランパスでチームのトップグループを走っている中で、両サイドでどちらでもハードワークしながらチームの勝利に貢献している。かなり上下動もできるし、攻撃の部分でもチャンスに絡んでいる。守備の部分でもしっかりと戻ってチームに貢献しているところを見せてもらっている。初招集だが、カタールW杯まで1チーム2カテゴリで活動してきた中、オリンピックチームでも招集させてもらっていて、毎日見ているわけではないが、試合でのパフォーマンスを見て、しっかりした成長をしているということで招集させてもらった。川村拓夢はチームも非常に攻守ともアグレッシブに戦いながら、Jリーグのトップグループで戦っていて、その中でチームのダイナモとして、攻守ともに幅広くプレーに関わりながら存在感を発揮している。特に守備から攻撃に移った時のダイナミックな動きから、自らもペナルティボックスに入っていく、ミドルシュートも打てる、周りも活かせるという非常にアグレッシブなプレーがJリーグの戦いの中で違いを見せている部分だと思って招集させていただいた。川崎選手はチームで継続的にレギュラーとして試合に出ている部分。なかなかチームの順位としては厳しい戦いを強いられている中だが、常にメンタル的にも安定して、ハードワークできている。五輪チームではレギュラークラスとしてプレーしている中で、A代表の戦力としても可能性がある選手だと思うし、今回この経験を活かして日本の戦力になってもらえるように、そして所属チームに経験したことを還元してもらいたいし、何より本人の成長にもつながるようA代表の経験をしてもらいたい」

―この2試合での選手起用法にどういった構想を持っているか。練習で経験を積んでいってほしいのか。あるいは試合でも使いたいのか。
「起用については正直まだ結論を出していない。一人でも多くの選手に試合の経験を積んでもらいたいし、積み上げをしてもらいたい思いでいる。ただ活動が始まっていろんなことが変わってくるので状況に合わせて選手起用していきたい。気持ちの部分では一人でも多く試合に出てもらいたい、使ってもらいたいという思いではいる。今回も26人の選手を招集しているが、良い選手はたくさんいるので、今回招集できなかった選手も含めてメンバーリストにたくさんの選手が上がっている中、毎回の活動でどのように選手を招集するか。自然とコアな選手が固定されることは後々データとして出てくるかもしれないが、可能性のある選手たち、今後将来的な戦いで、日本代表のチーム作りとして最高で最強のチームをつくるためにはより多くの選手に経験をしてもらい、戦術理解を高めてもらい、幅広い選手層の中から一番いい選手を選考していくことが大事だと思うので、同じく悩みながら、いろんなことを考えながら試合に向けて選手を起用できればと思っている」

―キャプテンはどのように考えているか。
「活動が始まって選手が集まってからお伝えしたい。ただ代表チームのキャプテンは難しいと思っている。カタールまでは吉田麻也が4年間、継続してチームキャプテンとしてコンディションを保ってくれて、力を示してくれているということで、全てではないがほとんどの代表活動でキャプテンシーを発揮してくれていた。ただ代表は約束されたものではないので、選ぶのは難しいなという思いでいる。その中でもこれまでの継続した活動の中、選手たちの様子を見てという部分では次の活動に入った時、選手たちを見て、活動のできるだけ早い段階でみなさんにお伝えできればと思っている。これは逃げではなく、本当に難しいと思っている。一つのチームで1シーズン戦うのであれば決めやすいが、約束された場所ではないのが代表活動なので、難しいなと思いながらも、これまでの活動の中で決めて、また選手たちの状態もいろいろと変わってくると思うし、序列も変わってくることもあると思うので、そこは決めた後にも臨機応変に対応していけるようにということも踏まえてお伝えしていければ」

―U-20日本代表を見る限り、世界的にもA代表でプレーする選手が何人もいるが、日本のいまのU-20代表で森保ジャパンに入っている選手はいない。彼らの実力的なものか、日程的なものがあるのか、もしくはもっと伸ばしてほしい部分があるのか。
森保監督「そこは日本が世界で勝っていくために変わっていかなければいけないこと、変えていかなければいけないことが出ている質問だったと思う。前回のカタールW杯では東京五輪世代の選手がスライドしてカタールW杯に行ったが、近々の五輪からW杯に出た人数は過去最多だった。そこは1チーム2カテゴリの結果だと思っている。そうすれば次のW杯に向けても心身ともに充実した状態で出られる年代を継続して見ていけると思う。これは田嶋(幸三)会長であったり、その構想を練っておられた当時の西野(朗)技術委員長の構想がうまくいったと思う。私自身はもうひとサイクル速めたい。若い選手が世界の舞台で、それもアンダー世代ではなくW杯の舞台で戦ってくれる選手たちにサイクルを変えていかないといけないと思っている。そのためには育成の部分。日本のサッカーが急速に発展していて、そこは素晴らしい部分だが、世界で勝っていくためにはまだまだやらないといけない。日本サッカーの変革が必要だということを今日のコロンビア戦などで感じたし、それは強化の仕方の差が出ているのかなと思っている。カタールW杯でラージグループを作っている際、U-20の選手があまり入ってこなかった。もちろんスカウティングはしているが、もっと候補として入ってきていいのかなというのは感じていたので、いまここで結論を出せるわけではないが、日本が世界で入っていくためにはもうひとサイクル早くということと、若手の育成と世界のトップトップの中での経験値を上げるということはやっていかないといけないと思っている」

山本昌邦ナショナルチームダイレクター「日本サッカーが2050年にロードマップにあるようにチャンピオンになるために重要なご指摘だと思う。正解がない中で、どのようにそういう方向に向かっていくか、各カテゴリ連携してやっていくことが重要だと思う。今日のコロンビアは1年前もモーリスレベロトーナメントでも戦って、ぎりぎりで1点差で負けた。ただ彼らは逆転するチャンスがあるし、反発力に期待している。2050年から逆算すると2030年にベスト4、ワンサイクル早く若い選手をどう育てていくかを真剣に模索したい。今回の川崎の例もそうだが、森保監督も代表スタッフも連携が取れているし、そこをできるだけ早めるのも僕の仕事。そこが日本サッカーが頂点に立つために重要だと思っている。チャレンジしていきたい」

―Jリーグで活躍している選手もいるが、落選した選手は当落線だったのか。彼らには今後どのような活躍を求めていきたいか。
「今回選ばれた選手においても、選ぶことができなかった選手においても、常に自分の力を上げてほしい、レベルアップしてほしい。それが国内でまず力を発揮するというところから、世界で戦うためにというところと、われわれが世界のトップを目指しているので、世界トップ基準というところで力を上げてもらえるようにしてほしい。これは選ばれたから、選ばれていないからではなく、よりいい選手であることが大切で、よりいい選手を代表に招集させていただいて、その力の結集が勝利の確率を上げてくれると思う。全ての選手にいまで満足ではなく、さらに上を目指してほしいと思う。ここにいるメディアの皆さんも、メディアを通して見聞きしている方々も、それぞれ自分の好きな選手、応援している選手がいたりも、フラットに見ていても人それぞれ見方が違うと思う。自分が推している選手がここにいないとか、外れることもありうる。われわれは広く選手たちを見て、その活動ごとに将来の戦略を持って選手を招集させていただいて、選手の成長、チームの成長、日本サッカーの成長につながるかを考えているので、その気持ちは伝えさせていただければと思う。もし誰を入れるかという点では、誰を外すかということも準備して質問していただければと思う」

(取材・文 竹内達也)

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