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日本代表監督に見せつけた1G1A…浦和MF伊藤敦樹「ちゃんと見てくれていると思う」

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MF伊藤敦樹

[5.31 J1第11節延期分 浦和 2-1 広島 埼玉]

 日本代表森保一監督の目の前で、浦和レッズで実績を重ねる24歳がこれ以上ないアピールに成功した。MF伊藤敦樹はこの日、後半アディショナルタイムの決勝点を含む1ゴール1アシストを記録。それも相手の広島には6月シリーズに初招集されていた同じポジションのMF川村拓夢がいる中で、ライバルを上回るようなインパクトを残してみせた。

 まずは0-1で迎えた後半27分、右からのパスをペナルティエリア際で受けると、優しいスルーパスを配球。これがDF酒井宏樹の同点ゴールを演出した。「ワンタッチで出そうと思っていたけど、ちょっとタイミングが合わなかった。でもトラップしてあれ以上ためたら宏樹くんがオフサイドになっていたのでうまくタイミングをずらせた。いいアシストだったと思う」。冷静な状況判断が光った。

 その後も中盤で川村とのマッチアップを制しつつ、試合を優位に引き寄せ、最後はほぼ一方的な展開を牽引。すると後半アディショナルタイム2分、酒井からのロングフィードがエリア内に送られると、ゴールが狙えるポジションを取りながらFWブライアン・リンセンからの折り返しを受け、最後は左足ボレーシュートでゴールに突き刺した。

「素直に嬉しかったし、ここがホームで今日は絶対に勝ちが必要な試合だったので、あの時間に点を決められて良かった」。ペナルティエリア内に大の字になって喜びを表現した伊藤。「疲れもあったし、喜びもあって、みんなが来てくれたので喜びを噛み締めながら寝てました」と激闘の跡を感じさせるゴールパフォーマンスだった。

 アタッキングサードでの仕事が効いての大活躍。その裏には相棒の存在もあった。0-1で迎えた後半22分の3枚替え以降、伊藤とダブルボランチを組んだのはMF安居海渡
流通経済大でも共にプレーしていた一歳年下の後輩への信頼が伊藤の稼働範囲を解き放っていたのだという。

「アイツもかなり能力のある選手だし、それを自分はわかっている。信頼できる。自分が前に残っていてもアイツの守備範囲だったらカバーできると思って、より前目のポジションを取れた。そこの関係性は特によかったと思う」

 また伊藤にとって、広島の高い強度と対峙しながら90分間プレーできたことは収穫だった。

「プレー強度の部分は課題として意識していた部分でもあるし、去年はこの強度を90分保つことができていなかった。今年はフル出場多くできているので成長できていると思う」。最後は「もっともっと高めていかないと上を目指していく中ではまだまだだと思う」とも付け加えたが、確かな進歩を感じているようだ。

 こうした活躍を続けていれば当然、日本代表の舞台も見えてくる。この日は対戦相手の川村に引けを取らないどころか、違いを見せつける水準のパフォーマンスを発揮。その姿は森保監督の目にも入ったはずだ。

「彼は日本代表に選ばれていたし、自分と似ているタイプであると思うので、そこは少し意識していた。失点シーンは逆に川村選手のほうが出足が速くて、自分のところで裏を取られて失点したので反省点。ただ後半の半分くらいからは自分のほうが運動量も出せたし、前への推進力を出せた。彼もいい選手だし、負けたくないと思っていた」

 川村とのマッチアップに自信をのぞかせた伊藤は「これからの試合も結果を出し続ければ。今回は彼が選ばれているし、結果を残して選ばれてきている。ちゃんと見てくれていると思うので、結果を出し続けて、常に上を目指しながらやっていきたい」と先を見据えていた。

(取材・文 竹内達也)
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