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初招集組も攻守で流れ変える「ファインプレー」。逞しさ見せたU-16日本代表がナイジェリアを6-1で撃破!

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前半2分、U-16日本代表はFW大石脩斗(鹿児島城西高、13番)が先制ゴール

[6.2 U-16インターナショナルドリームカップ第2戦 U-16日本代表 6-1 U-16ナイジェリア代表 Jヴィレッジスタジアム]

 立ち上がりからパワーを持って戦い、「流れを渡さない逞しさ」も発揮した日本が6発快勝――。2日、U-16日本代表は、「U-16インターナショナルドリームカップ2023 JAPAN」(福島・Jヴィレッジ)第2戦でU-16ナイジェリア代表と対戦。FW大石脩斗(鹿児島城西高)の先制ヘッドを皮切りに大量6得点をマークし、6-1で快勝した。日本は1勝1敗。4日の最終戦で、逆転優勝をかけて首位・U-16オランダ代表と戦う。

 荒天が予想されていたナイジェリア戦は、当初の予定よりも1時間前倒しでキックオフ。2日前のアメリカ戦はなかなか力を出し切れず、気力と迫力を表現した後半45+4分にFW神代慶人(熊本U-18)がゴールを決めたものの、1-2で惜敗している。その終盤のテンションで試合に入ることを求められた選手たちは、立ち上がりから強雨の中で奮闘。廣山望監督も「入りから90分、そういう気持ちでやれたのは収穫のあるゲームだった」と頷いていた。

 日本は初戦から先発8人をチェンジ。GK小川煌(広島ユース)、右SB佃颯太(横浜FCユース)、CB田中玲音(東京実高)、ゲーム主将のCB大川佑梧(鹿島ユース)、左SB菅原悠太(FC東京U-18)、ダブルボランチが川崎幹大(札幌U-18)と福島和毅(神村学園高)で右SH濱崎健斗(神戸U-18)、左SH仲山獅恩(東京Vユース)、そして初戦1得点の神代と大石脩斗(鹿児島城西高)が2トップを組んだ。

 その日本はいきなりピンチを迎えたが、ここを乗り越えると直後に先制点を奪う。2分、菅原が右サイドから左足でCK。マークを外してファーサイドへ突っ込んだ大石が頭で押し込んだ。初招集の大石は“代表初ゴール”。両手を広げてベンチ方向へ走る大石の下へサブ組の選手たちも駆け寄り、一緒になってゴールを喜んだ。

 対戦したナイジェリアはU-15世代中心のメンバー構成だったが、日本の選手たちはその速さや最後足が伸びてくる部分に戸惑う部分があったという。再び攻め込まれると、7分には相手CKの流れでシュートブロックしようとした田中がハンド。PKを献上してしまう。それでも、GK小川がMFエブリマ・マンネ(ハイブパズ・フットボール・アカデミー)の右足PKを残った足で止めるビッグセーブ。初招集の191cmGK小川が相手に傾きかけた流れを止めて見せる。

 マンツーマンで守ってくる相手に対し、日本はマークを外す動きが少なく、捕まってしまうシーンもしばしば。それでも、仲山が積極的にビルドアップに係わってボールを前進させる。幾度かコンビネーションでチャンスを作っていた日本は17分、競り合いの連続から前線の大石が上手く頭で前方のスペースへボールを落とす。フリーで走り込んだ神代が右足シュートを流し込み、2試合連続ゴールを決めた。

 日本は直後にもビッグプレー。MFプロミス・メリガ(ビヨンド・リミット・フットボール・アカデミー・レモ)に抜け出され、決定的なシュートを放たれた。だが、ゴールカバーした田中がスライディングし、ラインすれすれでスーパークリア。父の母国・ナイジェリアとの“代表デビュー戦”に臨んでいた田中は、「失点したらいけない。自分と(大川)佑梧で試合前から失点しないと決めていたので、気持ちで乗り越えられたと思います」と胸を張った。

 年代別代表常連の大川は、「初めて来ている人は自分のことをアピールしようとしていたし、いつも来ている人たちはチームを勝たせるとか点を決めるとか全員が試合に絡めていたのでそこは良かった」と全選手がモチベーション高く、自分の力を表現しようとしていたことを喜ぶ。その後も福島のスルーパスや川崎、濱崎のDFを剥がす動きなどでチャンス。そして43分、高い位置でボールを奪うと、濱崎のスルーパスから神代が右足で自身2点目のゴールを奪った。

 前半終了間際にも佃のピンポイントクロスから神代が決定的なヘッド。だが、神代とFW前田勘太朗(横浜FCユース)を入れ替えた後半の立ち上がり、相手に連続攻撃を受けてしまう。5分、DFが雨でスリップした隙を突かれて攻め込まれると、最後は交代出場FWアズカ・アラタン(ハイブパズ・フットボール・アカデミー)に右足シュートを決められてしまう。

 さらにミスから失点してもおかしくないようなシーンがあった。12分には佃と福島を右SB森壮一朗(名古屋U-18)とMF長田叶羽(G大阪ユース)へチェンジ。その後もカウンターを食らうシーンが増えていたが、日本は相手の勢いに飲まれなかった。22分、濱崎のシュートのこぼれ球を長田がつつき、再びこぼれたボールを濱崎が拾って左横へのドリブル。最後は左足でゴールを破り、4-1とした。

 国際試合で常に主導権を握って戦える訳では無い。拮抗した戦いで勝ち切るためには、相手がパワーを掛けて来た際に我慢する力や逆に得点を奪い切るような強さも必要だ。この日、前半の小川、田中の好守や濱崎のゴールなど勝負どころで出ていた日本のビッグプレー。廣山監督は「流れを渡さないような、個人のファインプレーは日本人もできる。小川がPKを止めたり、田中も初めてでなかなか難しい中でギリギリのところでクリアしたり、理屈とかじゃないファインプレーを出せることは必要なことだと思うので、『苦しい時に相手に流れを渡さない逞しさ』を日本の選手から感じました」と賞賛していた。

 日本は26分、田中、仲山、大石に代えてCB酒井舜哉(大宮U18)、左SB島佑成(神戸U-18)、FW関口航汰(清水ユース)を同時投入。32分には右中間の長田から濱崎を経由して左へ展開し、島の左足クロスを関口が1タッチで決めた。さらに濱崎とMF布施克真(日大藤沢高)を入れ替えた後の45分には、川崎のスルーパスに走り込んだ島が豪快な左足シュートを叩き込んだ。

 ナイジェリアも諦めずに攻めて幾度もチャンスを作り出してきていたが、日本は大川を中心に粘り強く対応して2点目を許さなかった。廣山監督は「(ボールが落ち着かず、)行ったり来たりする中で勝つことも必要な経験なので、逆に『そこで出せなかったね』で終わらなかったことは経験値になったと思う」と頷いていた。6-1で快勝。日本は1勝1敗、得失点差プラス4とし、2位へ浮上した。最終戦で2戦2勝、得失点差プラス4のオランダと激突。1勝1敗、得失点差マイナス2の3位・アメリカ対2戦2敗の4位・ナイジェリア戦の結果にもよるが、オランダに勝てば逆転優勝する可能性が大きくなっている。

 大川は「オランダ、多分強いと思うんですけれども、自分たちはフランスやスペインでもやってきているし、自信を持ちながら、チーム全員で良い試合をして全員で勝てればと思います」とコメント。また、デビュー戦で奮闘した田中は「(個人としては)このままじゃ全然ダメだと思います。もっともっと成長して日本のサッカーをより良くして行きたいと思いますし、自分が残るためにもっともっとアピールして、今日の目標は無失点でゴールを決めるということだったんですけれども、それも果たせていないので、次の試合オランダ戦は果たして行きたい」と誓っていた。不完全燃焼に終わったアメリカ戦から改善し、出し惜しみすることなく戦って勝ち取った白星。2日後、強敵・オランダを上回り、勝ち切って「U-16インターナショナルドリームカップ2023 JAPAN」を終える。

前半17分、FW神代慶人(熊本U-18)が右足で決めて2戦連発

前半18分、CB田中玲音(東京実高)がスーパークリア

後半45分、交代出場の左SB島佑成(神戸U-18)がダメ押しの6点目

(取材・文 吉田太郎)

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