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“代表デビュー戦”の191cm GK小川煌がPKセーブ!長崎の公立中から広島ユースで挑戦中の守護神がU-16日本代表に勢いもたらす

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前半8分、U-16日本代表の191cmGK小川煌(広島ユース)がPKストップ

[6.2 U-16インターナショナルドリームカップ第2戦 U-16日本代表 6-1 U-16ナイジェリア代表 Jヴィレッジスタジアム]

 年代別日本代表デビュー戦の守護神が、会心のPKストップだ。U-16日本代表は1-0の前半8分にDFのハンドでPKを献上。だが、191cmGK小川煌(広島ユース)が止めて相手に傾きかけた流れを見事に断ち切った。

「1-0で勝っている状況で、ここで取られちゃったら相手の流れになってしまうなという感覚が自分の中であった。自分が止めてチームが勢いに乗れれば良いなというふうに考えていました」。そして、意図的に足を残したまま、身体を右へ。残り足でシュートをストップした。

「自分はリーチ長いので、跳んだとしても残り足である程度は止められるんじゃないかという感覚で、最後上手く足に当たって止められたので良かったです」。大ピンチを逃れたU-16日本代表は前半、逆に2点を追加。小川のビッグセーブがチームに勢いをもたらした。

 大雨警報も出るほどの雨の中での“代表デビュー戦”。DFラインとコミュニケーションを取りながら、「自分が慌てないことが大事」と意識していたという。スリッピーなピッチでDFが転倒したり、自分へのバックパスが雨水で止まって大ピンチとなるシーンもあったが慌てず、堂々と対応していた印象だ。

 後半立ち上がりにはDFの対応が遅れた隙を突かれて失点。直後にも味方のミスから大ピンチになりかけたが、ここで小川は距離を詰めてシュートをストップする。結果的にオフサイドの判定だったものの、失点後も切れずに集中していたからこそ出た動き。雨中で計18本のシュートを浴びたが、安定した対応も見せて1失点で“代表デビュー戦”を終えた。

「試合通してピッチコンディションが悪い中でアラートにできていた部分もあったんですけれども、ちょっとしたミスで相手にやられそうになる部分もあったので……。1試合90分通して集中してゼロに抑えられれば良かったんですけれども、1失点に抑えられたのは良かった」。快勝で終えたこともあり、試合後は多くの笑顔が見られた。

 長崎市立淵中出身。中学3年夏にサッカー部の活動を終えると、時間をかけて悩んだ末に「早く自分で高いレベルでチャレンジする」と決断し、中学卒業を待たずに広島ユースへ加入した。安芸高田市吉田町の広島ユース寮へ引っ越し、中学校も転校。「最初は(先輩たちの)足元にも及ばない」状況だったというが、先輩たちや地元の中学生の支えもあって環境に慣れ、また挑戦心を持ち続けてきたことで成長できたと感じている。

「GK4人の争いの中で絶対に勝ってスタメン取るというふうにずっと思いながら練習して、最近(セカンドチームの)スタメンを取れている。成長した部分は気持ちの部分もそうなんですけれども、細かいポジショニングの部分だったり、シュートストップの部分だったり、コーチ陣の言うことを聞いて自分で考えながらチャレンジしてたんで、こうやって結果に少し結びついたんじゃないかと思います」

 寮生活で人間的にも成長。この日は「年2回くらいしか会えない」という母親が長崎から応援に駆けつけてくれていた。その前で感謝の活躍。バイエルンのスイス代表GKヤン・ゾマーを参考にしているという大器が、挑戦を続けて広島ユース、代表チームで飛躍を遂げる。




(取材・文 吉田太郎)

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