J秋春制、若手起用、サウジ移籍にも踏み込んだ久保建英の仏誌独占インタビュー…日本サッカーへの提言も「もっと僕を信頼する必要がある」
今月10日に発売されたフランスの大手サッカー専門誌『フランス・フットボール』の最新号で、ラ・リーガ開幕を間近に控える日本代表MF久保建英(ソシエダ)の独占インタビューが掲載された。約1時間に及んだというTom Bertin記者と対話の中では、日本サッカー界に向けての提言も飛び出した。
同誌は欧州年間最優秀選手を表彰する「バロンドール」の主催としても知られる大手サッカー専門誌。今月号では日本サッカー特集が組まれ、表紙は人気マンガ『ブルーロック』(講談社)のキャラクターが担当した。久保の記事はメイン企画として8ページにわたって掲載。スペイン語を通じて行われた約1時間のインタビューのほか、フランス『レキップ』紙のPierre Mérimée氏が写真も撮り下ろした大型特集となっている。
インタビューは久保のキャリアを掘り下げる質問が多くを占めた中、日本サッカーの現状についての質問も数多く向けられた。
まずはJリーグのレベルについて「日本人はヨーロッパのサッカーを高く見ている。そしてそれは間違っていない」と話した久保。「Jリーグがリーガ・エスパニョーラやプレミアリーグのようなレベルだったら、僕は日本を離れることはなかったと思う」と前置きした上で「国が強くなるためにはより良いリーグが必要になる。そのためにはJリーグのカレンダーをヨーロッパと同じにしなければならないし、何よりも人々がJリーグにもっと関心を持たなければならない」と2026年夏に予定されている“秋春制”へのシーズン移行を強く提言した。
続いてインタビュアーから「日本やアジアがサッカーでヨーロッパや南米の国々と競争するために必要なものは?」という質問が飛ぶと、久保はサッカー強豪国と日本との違いを次のように表現した。
「ブラジルやアルゼンチンに行けばたくさんの子供たちが道端でサッカーをしている。子供たちの究極の夢は、みんなワールドカップで優勝することだ。道行く子供たち100人に『大きくなったら何になりたい?』と聞けば、おそらく98人はサッカー選手と答えるだろう。でも日本で同じことをしたら3人くらいかもしれない。日本では大半の若者がサッカーよりもビデオゲームで遊びたいと思っているし、それが大きな違いだと思う。ヨーロッパや南米のサッカーの歴史はアジアよりもずっと強く、長い。僕たちはそこで彼らに太刀打ちできない。でも大きな大会で彼らに勝つこともできると思う」
そこで話題は今年1〜2月のアジア杯に。2022年末のカタールW杯ではドイツ、スペインを破ってグループリーグ突破を達成していただけに、アジアでのベスト8敗退という結果はフランスでも驚きを持って受け取られていたようで、久保には「この失敗をどう説明しますか?」という質問が向けられた。
久保はこの質問に対して「W杯でスペインやドイツのようなビッグチームと対戦したとき、私たちはボールを持たずにただ守っているだけだった。でもアジアカップでは僕たちのほうがビッグチームだった」と返答。「理屈上はこうした場合、僕たちが試合を決めるべきだったけど、そのようなチームになるために必要なものをまだ持てていないのは確かだと思う。僕が代表に入って5年間が経つけど、現実として何も勝ち得ていない」と現実を受け止めた。
そんな久保は代表での自身の立場にも言及。「思い描いていたような形ではない。レアル・ソシエダにいるときほどには人々やスタッフから信頼されていないと感じている」と率直な思いを明かした。
提言したのは若手選手への起用方針だ。「他の国は若いタレントに対する信頼が厚い。でも日本では、彼らはそれほど僕に賭けてくれているわけではない。僕はいまとてもいい時期にいるし、代表チームにとって、極めて重要な存在になる準備ができていると感じている。人々もテクニカルスタッフも、もっと僕を信頼する必要があると思う」
久保は23歳の誕生日を迎えた今年6月の代表活動時にも、日本の報道陣に対して「日本代表が強くなりたかったら次の若手を積極的に使っていくべきだと思うし、そうであれば僕にももっと違う未来もあったかもしれない」と若手の積極起用を提言しており、今回のインタビューでもその主張を続けた形。その上で、久保はインタビュアーに「最終的に日本代表にとって重要なトロフィーを獲得することができたらどうなるかを見たい。本当にそれを成し遂げたいんだ」と熱い思いを口にした。
また「アジア人選手がサッカーで成功するのは難しいか」という質問には「出始めて頭角を表すのは特に難しい。いったん良い選手だと認められれば日本だろうが、ウクライナだろうが、マダガスカルだろうが、出身地は関係ない。サッカーを愛する人々の目には才能だけが映っているものだと思う」とユニークな表現で返答しつつも、「心配なのは特定のリーグにEU圏外の選手が多いこと」と指摘。「オセアニア、アフリカ、アジア、南米出身の選手たちは、(ラ・リーガでは)1クラブにつき3つの小さい枠をめぐって選手間で争わないといけないからね。それはまさに悪夢だ」とEU枠への葛藤をあらわにしている。
加えてインタビュアーは移籍の噂にも言及。昨夏サウジアラビアのクラブから年間4000万ユーロの4年契約オファーがあったことに触れ、「サウジアラビアはあなたを魅了するリーグですか?」と問うと、久保は「オファーはあったけど、興味はなかった」と明快に答えた。
久保はその理由について「子供のころから僕にとって一番大事なことは、ベストな相手と、ベストな仲間とプレーすることだった。近い将来、あるいは遠い将来でも、サウジアラビアがスポーツの実力で世界最高のリーグになったら僕は行くだろうと思う。でも今のところは金銭的に魅力的なだけ。僕はエリートリーグに留まらないといけない。それが僕の夢であって、(大事なのは)お金じゃない。そうでなければ、すでにそこにいると思う」と話している。
なお、インタビューではこぼれ話として「フランス・フットボールでどんな選手のインタビューが読みたい?」という質問も。久保は2月号のエデン・アザール(元ベルギー代表)のインタビューを「もう読ませてもらったよ!」と答えた上で「それ以外だとリオネル・メッシが思い浮かぶけど、僕の友人のイ・ガンインのことも考えている。それで彼をちょっとからかうこともできるかな」と現地フランスのパリSGでプレーする同じアジア出身の盟友の名を挙げた。
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インタビューを行ったTom Bertin記者
同誌は欧州年間最優秀選手を表彰する「バロンドール」の主催としても知られる大手サッカー専門誌。今月号では日本サッカー特集が組まれ、表紙は人気マンガ『ブルーロック』(講談社)のキャラクターが担当した。久保の記事はメイン企画として8ページにわたって掲載。スペイン語を通じて行われた約1時間のインタビューのほか、フランス『レキップ』紙のPierre Mérimée氏が写真も撮り下ろした大型特集となっている。
インタビューは久保のキャリアを掘り下げる質問が多くを占めた中、日本サッカーの現状についての質問も数多く向けられた。
まずはJリーグのレベルについて「日本人はヨーロッパのサッカーを高く見ている。そしてそれは間違っていない」と話した久保。「Jリーグがリーガ・エスパニョーラやプレミアリーグのようなレベルだったら、僕は日本を離れることはなかったと思う」と前置きした上で「国が強くなるためにはより良いリーグが必要になる。そのためにはJリーグのカレンダーをヨーロッパと同じにしなければならないし、何よりも人々がJリーグにもっと関心を持たなければならない」と2026年夏に予定されている“秋春制”へのシーズン移行を強く提言した。
続いてインタビュアーから「日本やアジアがサッカーでヨーロッパや南米の国々と競争するために必要なものは?」という質問が飛ぶと、久保はサッカー強豪国と日本との違いを次のように表現した。
「ブラジルやアルゼンチンに行けばたくさんの子供たちが道端でサッカーをしている。子供たちの究極の夢は、みんなワールドカップで優勝することだ。道行く子供たち100人に『大きくなったら何になりたい?』と聞けば、おそらく98人はサッカー選手と答えるだろう。でも日本で同じことをしたら3人くらいかもしれない。日本では大半の若者がサッカーよりもビデオゲームで遊びたいと思っているし、それが大きな違いだと思う。ヨーロッパや南米のサッカーの歴史はアジアよりもずっと強く、長い。僕たちはそこで彼らに太刀打ちできない。でも大きな大会で彼らに勝つこともできると思う」
そこで話題は今年1〜2月のアジア杯に。2022年末のカタールW杯ではドイツ、スペインを破ってグループリーグ突破を達成していただけに、アジアでのベスト8敗退という結果はフランスでも驚きを持って受け取られていたようで、久保には「この失敗をどう説明しますか?」という質問が向けられた。
久保はこの質問に対して「W杯でスペインやドイツのようなビッグチームと対戦したとき、私たちはボールを持たずにただ守っているだけだった。でもアジアカップでは僕たちのほうがビッグチームだった」と返答。「理屈上はこうした場合、僕たちが試合を決めるべきだったけど、そのようなチームになるために必要なものをまだ持てていないのは確かだと思う。僕が代表に入って5年間が経つけど、現実として何も勝ち得ていない」と現実を受け止めた。
そんな久保は代表での自身の立場にも言及。「思い描いていたような形ではない。レアル・ソシエダにいるときほどには人々やスタッフから信頼されていないと感じている」と率直な思いを明かした。
提言したのは若手選手への起用方針だ。「他の国は若いタレントに対する信頼が厚い。でも日本では、彼らはそれほど僕に賭けてくれているわけではない。僕はいまとてもいい時期にいるし、代表チームにとって、極めて重要な存在になる準備ができていると感じている。人々もテクニカルスタッフも、もっと僕を信頼する必要があると思う」
久保は23歳の誕生日を迎えた今年6月の代表活動時にも、日本の報道陣に対して「日本代表が強くなりたかったら次の若手を積極的に使っていくべきだと思うし、そうであれば僕にももっと違う未来もあったかもしれない」と若手の積極起用を提言しており、今回のインタビューでもその主張を続けた形。その上で、久保はインタビュアーに「最終的に日本代表にとって重要なトロフィーを獲得することができたらどうなるかを見たい。本当にそれを成し遂げたいんだ」と熱い思いを口にした。
また「アジア人選手がサッカーで成功するのは難しいか」という質問には「出始めて頭角を表すのは特に難しい。いったん良い選手だと認められれば日本だろうが、ウクライナだろうが、マダガスカルだろうが、出身地は関係ない。サッカーを愛する人々の目には才能だけが映っているものだと思う」とユニークな表現で返答しつつも、「心配なのは特定のリーグにEU圏外の選手が多いこと」と指摘。「オセアニア、アフリカ、アジア、南米出身の選手たちは、(ラ・リーガでは)1クラブにつき3つの小さい枠をめぐって選手間で争わないといけないからね。それはまさに悪夢だ」とEU枠への葛藤をあらわにしている。
加えてインタビュアーは移籍の噂にも言及。昨夏サウジアラビアのクラブから年間4000万ユーロの4年契約オファーがあったことに触れ、「サウジアラビアはあなたを魅了するリーグですか?」と問うと、久保は「オファーはあったけど、興味はなかった」と明快に答えた。
久保はその理由について「子供のころから僕にとって一番大事なことは、ベストな相手と、ベストな仲間とプレーすることだった。近い将来、あるいは遠い将来でも、サウジアラビアがスポーツの実力で世界最高のリーグになったら僕は行くだろうと思う。でも今のところは金銭的に魅力的なだけ。僕はエリートリーグに留まらないといけない。それが僕の夢であって、(大事なのは)お金じゃない。そうでなければ、すでにそこにいると思う」と話している。
フランス・フットボール誌に掲載されている
なお、インタビューではこぼれ話として「フランス・フットボールでどんな選手のインタビューが読みたい?」という質問も。久保は2月号のエデン・アザール(元ベルギー代表)のインタビューを「もう読ませてもらったよ!」と答えた上で「それ以外だとリオネル・メッシが思い浮かぶけど、僕の友人のイ・ガンインのことも考えている。それで彼をちょっとからかうこともできるかな」と現地フランスのパリSGでプレーする同じアジア出身の盟友の名を挙げた。
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