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“スペシャル”を模索する旗手怜央「今はSBもやっていない。何がポリバレントかいよいよわからないが…」

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MF旗手怜央

 プロデビュー当時、多様なポジションでプレーをしてきた日本代表MF旗手怜央(セルティック)は“ポリバレント性”を高く評価されてきた。しかし、いまはクラブでもインサイドハーフ一本だ。北中米ワールドカップのアジア最終予選初戦・中国戦を翌日に控えたなか、旗手は「SBもやっていないし、自チームでもインサイドハーフだけ。何がポリバレントと言われているかいよいよわからない」と世間の誤解を解く。そのうえで自身の立ち位置を模索している。「ただ、ほかの人に比べてスペシャルな部分がないところはある」と本音をのぞかせた。

 学生時代は攻撃的ポジションでプレーし、順天堂大ではボランチでも起用されていた。川崎フロンターレでプロデビュー後はクラブ事情から前線以外のポジションに立ち、特に左SBでプレーする場面が増えた。そのポリバレント性は東京オリンピック代表でも発揮され、旗手は多様なポジション適性を高く評価された。しかし、それもすでに過去の話。セルティックで4シーズン目を迎えた旗手は、現在4-3-3のシステムでインサイドハーフとして躍動している。

 ポリバレント性の話を出されると、旗手は改めて過去の話であると力を込める。そのうえで、新たな“スペシャル”を探していることを明かした。

「平均的にできるところは多いと思う。そういった意味でも、そこをもっともっと強みにしていって、さらにスペシャルな部分を出していければいいと思う。そこは結果なのか、PA付近でのプレーなのかわからない。だけど、そういったところが増えてくればいいと思う」

 現状で取り組んでいることはゴールやアシストといった数字の部分。「8番のポジションだけど、世界でやっていると今は(数字も)求められてきている。そこは自チームでも取り組んでいる部分でもある。そこがスペシャルな部分になるかわからないが、(ゴール前に)入っていくのはもちろん大事。そこを意識してやっていきたい」。高いレベルで手探りしながら、開幕節ではすでに初ゴールという結果も残した。

 日本代表の活動ではコンスタントに招集されているなか、定位置争いは続く。旗手はカタールW杯時も直前の活動まで招集されていたが、本大会では選ばれず。W杯までの道のりについて問われると、その悔しさを垣間見せた。

「前回大会を見てもそうだが、最後の最後まで入っている選手もいれば、最終予選を経験していない選手でも最後メンバーに選ばれているので」。メンバー発表までわからないからこそ、毎回の活動を大切にする。「一つひとつ経験していくことで選手としても成長できる。チームとして馴染めていける。出れる出れないはあると思うが、チームとしての役割をしっかり果たしていって、残るという気持ちでもある」と生き残りに意欲を見せた。

 試合に出られないときは、選手の資質が試されるときでもある。旗手は最終予選初戦の難しさを説きながら「そういったところはピッチ内の選手はもちろん、ピッチ外の選手たちも声をかける。外から見える景色で伝えられることはある。そういうところはしっかりやっていきたい」とチームに貢献することの大切さを強調。自身の出番を待ちながら、今はただ勝利のために全力を尽くすつもりだ。

(取材・文 石川祐介)

●北中米W杯アジア最終予選特集
石川祐介
Text by 石川祐介

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