28歳で念願の初代表…“晩成”FW大橋祐紀が重い覚悟のサウジ入り「人の倍もがいて、地に足をつけて結果を」
「プロになる前から、プロになってからも、日本代表の試合はもちろんずっと見ていたし、ずっとプレーしたいと思っていた」。28歳で掴み取った初の日本代表招集レター。FW大橋祐紀(ブラックバーン)は合宿初日の7日、遠征先のサウジアラビアで報道陣の取材に応じ、「どんな選手もこの日の丸を背負って戦うことを目指す舞台。素直に嬉しかった」と初招集への率直な喜びを語った。
1996年生まれで八千代高、中央大出身の大橋は世代別代表経験を持たない晩成型のストライカー。プロ入り当初は度重なるケガの影響で出場時間を伸ばせない時期が続いたが、昨季はシーズン途中に右太もも肉離れで約3か月にわたる離脱をしながらも23試合13得点という結果を残し、湘南をJ1残留に導くことで一躍その名を広めた。
そして今季はJ1優勝争いを繰り広げる広島に移籍し、前半戦だけで22試合11得点という大活躍を見せた結果、夏にはEFLチャンピオンシップ(イングランド2部)のブラックバーンからのオファーを獲得。初の欧州挑戦を決断し、そこでも開幕5試合で4得点を挙げ、28歳という遅咲きで代表入りの扉をこじ開けた。
大橋のキャリアを大きく切り拓いたのは、紛れもなくこの2年間の大活躍。しかし、当の本人にとっては、この2年間で「覚醒した」「目覚めた」という認識はないという。そのためこの日、現地入りした報道陣に囲まれた大橋は地続きにあった自身のキャリアを振り返りつつ、重い覚悟をのぞかせながら先を見据えていた。
「目覚めたかというのはわからないけど、継続していろんな選手のプレーや、もちろん自分のプレーを振り返りながら、少しずつ少しずつ成長していけるようにやってきた。自分は決して上手な選手だとは思っていないし、人よりも、人の倍もがいて、そしてしっかりしっかり地に足をつけて、結果を出していきたいと思っている。まだまだ始まったばかりだし、何歳になっても関係ないと思っているので、チャレンジャーとして毎日一つ一つの練習から全力でやること。それが試合に向けてのいい準備になると思っている」
大橋は現在のイングランドでの活躍にも「毎試合得点を取って勝ちたいと思っているので全然満足しているわけではない」という。もっともその謙虚さは、自らのさらなる成長に目を向けているからこそ。日本代表として練習や試合のピッチに立つからには、初招集という立場に甘んじるつもりはない。
「しっかり自分を出して、そして少しでもいろんな選手の刺激を受けて、成長して、なおかつ結果を求めていきたい」。この合宿のテーマをそう掲げた大橋は「この舞台は吸収して帰るのも大事だと思うけど、試合に出て結果を出すというのがどこの舞台でも大事。ストライカーはゴールが一番の結果だと思っているので、そこを自分の中でも追求したい」とゴールへの強い決意を語った。
日本代表のストライカー争いは現在、FW上田綺世(フェイエノールト)がリードし、FW小川航基(NECナイメヘン)が追いかけるという状況。大橋はまず彼ら2人に続く形となるが、「自分はチャレンジャーだし、競争もある中で自分も割って入っていけるように思い切ってやっていきたい」と真摯に挑んでいく姿勢だ。
もっとも大橋は湘南や広島時代、現在の日本代表と同じ3-4-2-1システムのシャドー起用でも結果を出しており、1トップ以外の起用幅を持つのは他の選手より秀でた長所。シャドーでは南野拓実(モナコ)、久保建英(ソシエダ)、鎌田大地(クリスタル・パレス)といったより大きな世界的実績を持つアタッカー陣とのポジション争いになるが、大橋は冷静に自身のストロングポイントを見つめている。
「シャドーと言われるポジションは上手な選手たちが多かったりすると思うけど、自分はそういうタイプではない。シャドーをやってもストライカーとしての役割が強い。広島でもそういう役割をさせてもらって、どんどんゴール前に近いポジションでプレーさせてもらっていたので、それこそ自分の特徴を発揮しやすかった。どのポジションでも自分の強みである“前に前に”ということでプレーできたら」
今回の10月シリーズはサウジアラビア、オーストラリアという強豪との2連戦を控えることから、主力中心の起用となる見込み。だが、限られた出場時間に準備する姿勢も頼もしい。「チャンスは必ず1試合にあるので、どのチームであれ、どの舞台であれ、その中で一発決められるか決められないかが大事になるのがFW。そこにこだわりを持ってやりたい」(大橋)。これまでのキャリア同様、ゴールという揺るがぬ結果で生き残りへのアピールを果たすつもりだ。
(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア最終予選特集
1996年生まれで八千代高、中央大出身の大橋は世代別代表経験を持たない晩成型のストライカー。プロ入り当初は度重なるケガの影響で出場時間を伸ばせない時期が続いたが、昨季はシーズン途中に右太もも肉離れで約3か月にわたる離脱をしながらも23試合13得点という結果を残し、湘南をJ1残留に導くことで一躍その名を広めた。
そして今季はJ1優勝争いを繰り広げる広島に移籍し、前半戦だけで22試合11得点という大活躍を見せた結果、夏にはEFLチャンピオンシップ(イングランド2部)のブラックバーンからのオファーを獲得。初の欧州挑戦を決断し、そこでも開幕5試合で4得点を挙げ、28歳という遅咲きで代表入りの扉をこじ開けた。
大橋のキャリアを大きく切り拓いたのは、紛れもなくこの2年間の大活躍。しかし、当の本人にとっては、この2年間で「覚醒した」「目覚めた」という認識はないという。そのためこの日、現地入りした報道陣に囲まれた大橋は地続きにあった自身のキャリアを振り返りつつ、重い覚悟をのぞかせながら先を見据えていた。
「目覚めたかというのはわからないけど、継続していろんな選手のプレーや、もちろん自分のプレーを振り返りながら、少しずつ少しずつ成長していけるようにやってきた。自分は決して上手な選手だとは思っていないし、人よりも、人の倍もがいて、そしてしっかりしっかり地に足をつけて、結果を出していきたいと思っている。まだまだ始まったばかりだし、何歳になっても関係ないと思っているので、チャレンジャーとして毎日一つ一つの練習から全力でやること。それが試合に向けてのいい準備になると思っている」
大橋は現在のイングランドでの活躍にも「毎試合得点を取って勝ちたいと思っているので全然満足しているわけではない」という。もっともその謙虚さは、自らのさらなる成長に目を向けているからこそ。日本代表として練習や試合のピッチに立つからには、初招集という立場に甘んじるつもりはない。
「しっかり自分を出して、そして少しでもいろんな選手の刺激を受けて、成長して、なおかつ結果を求めていきたい」。この合宿のテーマをそう掲げた大橋は「この舞台は吸収して帰るのも大事だと思うけど、試合に出て結果を出すというのがどこの舞台でも大事。ストライカーはゴールが一番の結果だと思っているので、そこを自分の中でも追求したい」とゴールへの強い決意を語った。
日本代表のストライカー争いは現在、FW上田綺世(フェイエノールト)がリードし、FW小川航基(NECナイメヘン)が追いかけるという状況。大橋はまず彼ら2人に続く形となるが、「自分はチャレンジャーだし、競争もある中で自分も割って入っていけるように思い切ってやっていきたい」と真摯に挑んでいく姿勢だ。
もっとも大橋は湘南や広島時代、現在の日本代表と同じ3-4-2-1システムのシャドー起用でも結果を出しており、1トップ以外の起用幅を持つのは他の選手より秀でた長所。シャドーでは南野拓実(モナコ)、久保建英(ソシエダ)、鎌田大地(クリスタル・パレス)といったより大きな世界的実績を持つアタッカー陣とのポジション争いになるが、大橋は冷静に自身のストロングポイントを見つめている。
「シャドーと言われるポジションは上手な選手たちが多かったりすると思うけど、自分はそういうタイプではない。シャドーをやってもストライカーとしての役割が強い。広島でもそういう役割をさせてもらって、どんどんゴール前に近いポジションでプレーさせてもらっていたので、それこそ自分の特徴を発揮しやすかった。どのポジションでも自分の強みである“前に前に”ということでプレーできたら」
今回の10月シリーズはサウジアラビア、オーストラリアという強豪との2連戦を控えることから、主力中心の起用となる見込み。だが、限られた出場時間に準備する姿勢も頼もしい。「チャンスは必ず1試合にあるので、どのチームであれ、どの舞台であれ、その中で一発決められるか決められないかが大事になるのがFW。そこにこだわりを持ってやりたい」(大橋)。これまでのキャリア同様、ゴールという揺るがぬ結果で生き残りへのアピールを果たすつもりだ。
(取材・文 竹内達也)
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