「1時間後に出られるか?」森保J緊急初招集の22歳DF関根大輝、サウジ遠征初日から志願の“CL組”ロンド参加「すごく充実」
U-23日本代表の一員としてパリ五輪で大きな爪痕を残した世界基準のサイドバックが、緊急の追加招集で日本代表の舞台に辿り着いた。敵地サウジアラビアで行われた合宿初日の練習後、報道陣の取材に応じたDF関根大輝(柏)は「すごくレベルの高いメンバーと練習できてすごく楽しい」と心境を口にした。
当初は今月の北中米W杯アジア最終予選メンバーに入っていなかった関根だが、緊急招集が決まったのは今月5日のこと。同日に行われたJ1第33節で川崎Fの20歳DF高井幸大が右足を負傷し、日本代表活動への参加を見合わせることが決まったのを受け、同じくパリ五輪代表で存在感を放った関根に白羽の矢が立った。
関根も同日、J1第33節の横浜FM戦に出場していたため、招集の知らせを聞いたのは試合直後。「あと1時間後に出られるか?」という打診の一方、スタッフからは「次の日でもいい」と伝えられたそうだが、同じ日に試合を終えた他の国内組も同日深夜の航空便で渡航することが決まっていたため、「一回、家にパスポートとかを取りに帰って、またクラブハウスに戻ってから出発」という大急ぎで空港に向かった。
J1リーグ戦が終わったのが午後6時ごろ、準備を経て羽田空港に到着したのが午後9時ごろ、日本を飛び立ったのが午後11時ごろという激動の5時間。しかし、関根はそのドタバタ劇のかいあって、合宿初日から貴重な経験を味わうことになった。
関根は7日の合宿初日、サウジアラビア入りから30時間以上が経っていたこともあり、心身に負担のない状態で全体練習にフル合流。もし渡航が遅れていれば全体から離れてリカバリー調整のみにとどまるはずだったが、早期渡航によって欧州組と同様のメニューに取り組むことができた。
またメインメニューのロンド(鳥かご形式のボール回し)ではタッチ数制限、利き足のみ制限、中央に味方を入れる「ピヴォ当て」などさまざまなバリエーションが今回から加えられていた中、関根はDF長友佑都、MF遠藤航、MF南野拓実、MF守田英正、MF鎌田大地、MF堂安律という欧州CL・EL経験者が全員を占める“CL組”に志願して参加。日本トップレベルの基準に自ら立ち向かった。
ひとたびパスの精度が低かったり、プレー判断を誤ったりすれば、最年長の長友からすぐさま「セキ!セキ!」という愛のこもったゲキが飛ぶというある意味で公式戦並みにプレッシャーのかかるロンドだったが、関根はその中で大きな充実感を味わっていたようだ。
「こういうチャンスなのでそういうレベルの選手たちとやりたいなと思って、そっちのグリッドに行ったんですけど、案の定レベルがめっちゃ高かったです(笑)。自分が下手だなと思いましたし、でもとにかく楽しかったですね」
関根は187cmの長身ながら、静岡学園中高で鍛えた足元の技術もストロングポイント。それでも守田や鎌田のパスに裏をかかれる場面があり、「レベルが違うくらい上手かったので、そこはやっぱり差を感じましたね。今日の中でもすごく学べるものがいろいろとあったし、すごく充実しているなと思います」とすがすがしい表情で振り返った。
また関根にとって、そうした一つひとつの機会がA代表での生き残りに向けた貴重なチャンスとなる。パリ五輪で大きなアピールに成功していたこともあり、9月と10月のメンバー入りを逃したことに「代表発表を見て悔しかった部分はもちろんあった」と明かしていた関根。この活動に向ける思いは強い。
「ああいった形で楽しんでやっているロンドではあるけど、本当にちょっとでもアピールしていかないと初戦まで時間もないですし、自分も試合に出て活躍したいという思いを持っているので、そのためにもこういう練習から少しでも早くアピールしていきたいと思います」
パリ五輪では準々決勝のスペイン戦(●0-3)でも個人能力で堂々と渡り合う姿を見せるなど、大舞台でのパフォーマンスはすでに世界基準。その素質を今後はA代表のピッチの上で証明すべく、「とにかくガンガンやっていかないといけない立場だし、チャンスを掴む思いで来ているので遠慮せずにやっていきたい」と果敢にアピールしていくつもりだ。
(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア最終予選特集
当初は今月の北中米W杯アジア最終予選メンバーに入っていなかった関根だが、緊急招集が決まったのは今月5日のこと。同日に行われたJ1第33節で川崎Fの20歳DF高井幸大が右足を負傷し、日本代表活動への参加を見合わせることが決まったのを受け、同じくパリ五輪代表で存在感を放った関根に白羽の矢が立った。
関根も同日、J1第33節の横浜FM戦に出場していたため、招集の知らせを聞いたのは試合直後。「あと1時間後に出られるか?」という打診の一方、スタッフからは「次の日でもいい」と伝えられたそうだが、同じ日に試合を終えた他の国内組も同日深夜の航空便で渡航することが決まっていたため、「一回、家にパスポートとかを取りに帰って、またクラブハウスに戻ってから出発」という大急ぎで空港に向かった。
J1リーグ戦が終わったのが午後6時ごろ、準備を経て羽田空港に到着したのが午後9時ごろ、日本を飛び立ったのが午後11時ごろという激動の5時間。しかし、関根はそのドタバタ劇のかいあって、合宿初日から貴重な経験を味わうことになった。
関根は7日の合宿初日、サウジアラビア入りから30時間以上が経っていたこともあり、心身に負担のない状態で全体練習にフル合流。もし渡航が遅れていれば全体から離れてリカバリー調整のみにとどまるはずだったが、早期渡航によって欧州組と同様のメニューに取り組むことができた。
またメインメニューのロンド(鳥かご形式のボール回し)ではタッチ数制限、利き足のみ制限、中央に味方を入れる「ピヴォ当て」などさまざまなバリエーションが今回から加えられていた中、関根はDF長友佑都、MF遠藤航、MF南野拓実、MF守田英正、MF鎌田大地、MF堂安律という欧州CL・EL経験者が全員を占める“CL組”に志願して参加。日本トップレベルの基準に自ら立ち向かった。
ひとたびパスの精度が低かったり、プレー判断を誤ったりすれば、最年長の長友からすぐさま「セキ!セキ!」という愛のこもったゲキが飛ぶというある意味で公式戦並みにプレッシャーのかかるロンドだったが、関根はその中で大きな充実感を味わっていたようだ。
「こういうチャンスなのでそういうレベルの選手たちとやりたいなと思って、そっちのグリッドに行ったんですけど、案の定レベルがめっちゃ高かったです(笑)。自分が下手だなと思いましたし、でもとにかく楽しかったですね」
関根は187cmの長身ながら、静岡学園中高で鍛えた足元の技術もストロングポイント。それでも守田や鎌田のパスに裏をかかれる場面があり、「レベルが違うくらい上手かったので、そこはやっぱり差を感じましたね。今日の中でもすごく学べるものがいろいろとあったし、すごく充実しているなと思います」とすがすがしい表情で振り返った。
また関根にとって、そうした一つひとつの機会がA代表での生き残りに向けた貴重なチャンスとなる。パリ五輪で大きなアピールに成功していたこともあり、9月と10月のメンバー入りを逃したことに「代表発表を見て悔しかった部分はもちろんあった」と明かしていた関根。この活動に向ける思いは強い。
「ああいった形で楽しんでやっているロンドではあるけど、本当にちょっとでもアピールしていかないと初戦まで時間もないですし、自分も試合に出て活躍したいという思いを持っているので、そのためにもこういう練習から少しでも早くアピールしていきたいと思います」
パリ五輪では準々決勝のスペイン戦(●0-3)でも個人能力で堂々と渡り合う姿を見せるなど、大舞台でのパフォーマンスはすでに世界基準。その素質を今後はA代表のピッチの上で証明すべく、「とにかくガンガンやっていかないといけない立場だし、チャンスを掴む思いで来ているので遠慮せずにやっていきたい」と果敢にアピールしていくつもりだ。
(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア最終予選特集