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闘う10番MF堂安律、攻撃的3バックで深める“攻守一体”の手応え「はっきり言ってくれる監督がいると示しがつく」

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MF堂安律(フライブルク)

[10.10 W杯最終予選第3戦 日本 2-0 サウジアラビア ジッダ]

 日本代表が過去3戦全敗だった敵地ジッダでの初白星をもたらすゴールは前半14分、右ウイングバック起用が続くMF堂安律(フライブルク)のMF三笘薫(ブライトン)への左足クロスから生まれた。

「僕が(インスイングでクロスを蹴れる)左利きで、薫くんがサイドに張っているというのは一つの武器でもあると思う。あそこで1対1をさせてあげるのは意識しているし、もっとプレッシャーがかかってくるかなと思ったけど、意外とぽっかり空いたので、最初は(上田)綺世に出そうと思って持ったけど、大外が見えたので判断を変えて出した」(堂安)

 9月の中国戦では三笘が自らヘディングで決めたが、今回は折り返しのパスを選択。そこからMF守田英正が絡み、最後はMF鎌田大地が仕上げる形で先制点を奪った。堂安はこのゴールについて「全選手がアラートにゴール前で準備していたからこその得点だった」と胸を張った。

 結果的にこのゴールが決勝点となり、日本は2-0で勝利。今年6月から導入した攻撃的3バックでの戦績は24得点0失点の5連勝となった。またここまではミャンマー、シリア、中国、バーレーンとの対戦で押し込みながら試合を進める時間が長かったが、この日はW杯出場国のサウジアラビアからの白星。このシステムの成否を見極める上でも価値の大きな勝利となった。

 その中で堂安はシリア戦から右ウイングバックを担い、中国戦、バーレーン戦、サウジアラビア戦と4試合連続で先発出場中。昨季のフライブルクで同じポジションを経験しているとはいえ、意外なポジションで定位置を獲得している格好だ。サウジアラビア戦後には、現在の“攻撃的3バック”が強豪国相手に通用した手応えを次のように語った。

「森保さんも記者会見でよく言っているけど、前線の守備意識がないとこの代表はメンバーに入れないようになっているし、それを監督が示してくれている。やらなきゃいけない規律、決まりがある、そういうチームは強いので。僕もいろんな監督を経験してきたけど、はっきり言ってくれる監督がいると示しがつく。それが今のベースになっている」

 この日は相手の攻撃の軸を担うFWサレム・アルダウサリの突破を受ける形となったが、前半を通して粘り強い対応を継続していた堂安。後半はMF伊東純也が右ウイングバックに入ったことで、シャドーにポジションを移す形となったが、守備意識はそのままにプレーする献身性が際立った。

「攻撃と守備は表裏一体だと思っているし、守備ができると攻撃が良くなる。攻撃の選手はそれを理解しているからこそ守備をしている。大地くんも、拓実くんも、薫くんも本当に守備ができるんで、見ていてすごいなと思って僕も勉強しています」

 そう味方を称えつつも、闘志あふれる球際には「普通に考えて僕たちヨーロッパでやっているんで、サウジリーグでやっている人に負けたらダメだなと」と矜持も口にした堂安。新たな“10番像”を切り拓き続ける26歳が、チャレンジングな新布陣でさらに盤石な地位を固めている。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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