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3年前は“崖っぷち”帰国で緊急会談…南野拓実が感じる森保Jの変化「サッカーに関して話すことが勝っても負けても多い」

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リラックスした表情でランニングを行う選手たち

 サウジアラビアから帰国した日本代表が12日、北中米W杯アジア最終予選第4戦・オーストラリア戦(15日)に向け、千葉市内で再始動した。帯同する27人全員が練習場に姿を見せ、10日のサウジアラビア戦(◯2-0)の控えメンバーを中心に活気あるトレーニングを繰り広げていた。

 敵地でサウジアラビア戦を終えた後にホームのオーストラリア戦に臨むという状況は、奇しくも前回のカタールW杯最終予選を戦っていた3年前の10月と同じ。だが、チームのムードは当時と大きく異なる。

 3年前は敵地でサウジアラビアに敗れ、1勝2敗という崖っぷちでの帰国。今回と同じく再始動日の練習は控えメンバーが中心だったが、その間のピッチ脇では主力組のDF長友佑都、DF吉田麻也、DF酒井宏樹、DF冨安健洋、MF遠藤航、MF南野拓実の6人が神妙な様子で“緊急会談”を設けるなど、練習場がピリピリムードに包まれていた。

3年前の再始動日、ピッチ脇で緊急会談を行う6選手

 その一方、今回は敵地でサウジアラビアを初めて破り、3連勝の独走首位での凱旋帰国。サウジアラビア戦の勝利に導いた先発メンバーは笑顔でランニングを行い、リラックスしたムードが印象的だった。当時を知る南野も練習後、3年前とのチームの雰囲気を「全然違いますね」と懐かしそうに振り返った。

「前回と比べたら『プレッシャーが少なくなった』とまでは言えないけど、前回と比べたら良い意味で違う。前は本当に後がない状態で、ピリピリしていたのを覚えている。今回はリラックスしすぎるわけじゃないけど、少し余裕を持って挑めると思う。帰りの飛行機の中の雰囲気も前回に比べたら全然違いますね」

 もっとも、南野は「特にサウジのアウェーで勝つということは、この最終予選の一番の山場の一つで僕たちもそこで結果を出したいと思っていた。それを達成することができて素直に嬉しい」と現在の状況に喜びを感じつつ、気を引き締めることも忘れなかった。

「前回の最終予選もそうだったけど決まるまでは何も安泰ではない。チームとして締め直すことが必要だと思っている」

 またそんな南野は表面的なムードだけでなく、現在のチームからより前向きな変化を感じ取っているようだ。

「圧倒的に前回よりも今のほうが、サッカーに関して話すことが勝っても負けても多い。サウジにアウェーで勝ったことに対して手放しで満足している選手は一人もいない。『どう勝つか』という勝ち方にもこだわりたいと思っている。前回のW杯を経験している選手は特に、W杯というものを見つめた中でどうすべきかを考えている選手が多い。そういう意味で前回よりもレベルアップしていると思う」

 次の対戦相手のオーストラリアは現在1勝1分1敗。前回の日本の立場に似た「後がない」状況でモチベーション高く向かってくることが考えられるため、油断はできない戦いになりそうだ。

「前回は本当にギリギリ、負けたら終わりくらいの気持ちで挑んだのを覚えているけど、このグループリーグをより有利に進めるためには次も叩いておかないといけない相手。しかもホームだし、オーストラリアは日本代表がアジアの強豪としてしのぎを削ってきた過去もある。状況は違うけど、試合に挑む気持ちは前回と同じくいい準備をして挑みたい」。前回予選の苦戦を痛いほど知る29歳は一切の油断を排し、もう一つの大一番に向かっていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)

●北中米W杯アジア最終予選特集
竹内達也
Text by 竹内達也

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