「小さい頃からありがたいこと注目されてきて…」あの“神童”がついに世界挑戦へ。U-20W杯予選に臨むFW石井久継(湘南)「初めてなので楽しみ」

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小学生の頃からメディアを通じて大きな注目を集めてきた“神童”がついに、世代別W杯を争う舞台に立とうとしている。U-20日本代表FW石井久継(湘南)は今月中旬開幕のAFC U20アジア杯を前に「こういった大会は初めてなので個人的にも楽しみだし、何でもいいから爪痕を残してチームを勝たせたい」と意気込みを語った。
2005年生まれで現在19歳の石井は23年、湘南U-18からトップチームに昇格したウインガー。昨季までにJ1リーグ戦通算18試合1得点を記録し、10代にしてプロ選手としての経験を積み重ねてきたことで、今大会では4-2-3-1のサイドハーフで主力としての活躍が期待されている。
そんな石井だが、ここまでは世界を争う舞台の経験は一度もなかった。2020年にU-15日本代表候補に初選出されて以降、毎年のように代表チームには選出されていたが、コロナ禍のため対象年代のU-17W杯(21年)が中止となったことも影響し、対外活動の大半は公式大会ではない海外遠征。昨年のU20アジア杯予選は負傷離脱中だったため、20歳を迎える今年、ようやく世代別W杯につながるアジア予選のメンバーに初めて入った。
その名が初めて世の中に知られたのは小学生時代だったこともあり、ここまでは長い道のりだったようにも思われる。石井は岡山県出身ながら小学生時代は広島県の福山ローザス・セレソンでプレー。類まれな技術を活かしてダノンネーションズカップ日本予選やU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで活躍し、多くのメディアを通じて“神童”“天才少年”として注目を浴びた過去を持つためだ。
もっとも、石井自身にとって世間からの注目は、未来に向けての重圧ではなく、サッカー選手として心地よいものであった様子。ここまで辿り着くまでに焦りはなかったという。
「小さい頃からありがたいことに注目されてきて、良くも悪くもそんなに気にしたことがない。サッカーが好きで、サッカーをやりたくてやっているというイメージなので、もちろん注目はされたいし、悪いところにでもいいからたくさん注目してもらえればいいなと思っています」(石井)
そんな中での期待や注目の声は「みんなサッカー選手は目立ちたがり屋なので(注目が)嫌になることはなかった」と冷静に受け止めていたようで、「もちろん親とかはプレッシャーとかで心配するところもあるかもしれないですけど、やっている選手は嬉しかったです」と率直な思いを明かした。
むしろ、それほどの注目を集めた経験は貴重な出会いももたらしていたようだ。石井が懐かしむのは2017年のU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。石井の福山ローザス・セレソンは大宮アルディージャジュニアと対戦し、1-8の大差で敗れたが、この試合中に現在U-20日本代表で共にプレーしているDF市原吏音から話しかけられたことがあったのだという。
「0-3くらいになった時に、面識がなかった吏音がわざわざ僕のところに歩いてきて『久継、俺とお前誕生日一緒なんだよ。負けねえからな』って言ってきて(笑)。自分もそこから変に意識し出して、それもあって関東に行きたいと思い始めて……」。奇しくも2005年7月7日生まれのライバルに出会ったことが、のちに湘南ベルマーレU-15に加入するきっかけの一つになっていた。
またその頃の石井はマスコミを通じた期待の声に浮かれるわけではなく、自身の能力をさらに伸ばしたいという向上心を持ちつつ、さらに「上には上がいる」という客観的な目線も持っていた。「自分が通用しないと分かった上で、チャレンジするために関東に来たし、湘南でも一つ上、二つ上の選手はレベルが高かったし、そこで切磋琢磨しながら成長できたと思います」。
小学生時代にも近隣のサンフレッチェ広島ジュニアにMF中島洋太朗、MF中川育といった後のU-20日本代表選手が所属しており、「本当にすごい選手だったので、負けたくないのもありつつ、基本的には自分に負けないことからしっかり始めようと思っていたし、自分のことに集中しようと思っていた」と地に足をつけて努力をしてきた自負がある。
だからこそ、高校時代を下部リーグで過ごした湘南での日々にも焦りはなかった様子。「ユースに上がって、ベルマーレは県リーグで、他のJクラブはプレミアやプリンスにいて毎週レベルの高い試合をしていて、羨ましい気持ちはありましたけど、自分の与えられた環境でしっかりやることが大事だと思っていました」。そのため故郷を離れて過ごし、プロへの礎を築いた6年間を「いま振り返ってみても良い時間だったなと思います」と前向きに捉えている。
そうして着実に努力を続け、満を持して辿り着いた世界舞台。今大会でも「DAZNで無料放送されるので日本の多くの方々が見てくれると思う」と周囲の期待を歓迎する19歳は「自分はこんな大きい大会は初めてなので、想定していてもできないこともあると思うけど、しっかりチームの雰囲気、相手の雰囲気、現地の雰囲気を感じ取って慣れていきたい。適応能力はしっかりあるほうだと思うので、相手にのまれないようにプレーしたい」と冷静に決戦を見据え、活躍を誓った。
(取材・文 竹内達也)
●AFC U20アジアカップ2025特集
2005年生まれで現在19歳の石井は23年、湘南U-18からトップチームに昇格したウインガー。昨季までにJ1リーグ戦通算18試合1得点を記録し、10代にしてプロ選手としての経験を積み重ねてきたことで、今大会では4-2-3-1のサイドハーフで主力としての活躍が期待されている。
そんな石井だが、ここまでは世界を争う舞台の経験は一度もなかった。2020年にU-15日本代表候補に初選出されて以降、毎年のように代表チームには選出されていたが、コロナ禍のため対象年代のU-17W杯(21年)が中止となったことも影響し、対外活動の大半は公式大会ではない海外遠征。昨年のU20アジア杯予選は負傷離脱中だったため、20歳を迎える今年、ようやく世代別W杯につながるアジア予選のメンバーに初めて入った。
その名が初めて世の中に知られたのは小学生時代だったこともあり、ここまでは長い道のりだったようにも思われる。石井は岡山県出身ながら小学生時代は広島県の福山ローザス・セレソンでプレー。類まれな技術を活かしてダノンネーションズカップ日本予選やU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで活躍し、多くのメディアを通じて“神童”“天才少年”として注目を浴びた過去を持つためだ。
もっとも、石井自身にとって世間からの注目は、未来に向けての重圧ではなく、サッカー選手として心地よいものであった様子。ここまで辿り着くまでに焦りはなかったという。
「小さい頃からありがたいことに注目されてきて、良くも悪くもそんなに気にしたことがない。サッカーが好きで、サッカーをやりたくてやっているというイメージなので、もちろん注目はされたいし、悪いところにでもいいからたくさん注目してもらえればいいなと思っています」(石井)
そんな中での期待や注目の声は「みんなサッカー選手は目立ちたがり屋なので(注目が)嫌になることはなかった」と冷静に受け止めていたようで、「もちろん親とかはプレッシャーとかで心配するところもあるかもしれないですけど、やっている選手は嬉しかったです」と率直な思いを明かした。
むしろ、それほどの注目を集めた経験は貴重な出会いももたらしていたようだ。石井が懐かしむのは2017年のU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。石井の福山ローザス・セレソンは大宮アルディージャジュニアと対戦し、1-8の大差で敗れたが、この試合中に現在U-20日本代表で共にプレーしているDF市原吏音から話しかけられたことがあったのだという。
「0-3くらいになった時に、面識がなかった吏音がわざわざ僕のところに歩いてきて『久継、俺とお前誕生日一緒なんだよ。負けねえからな』って言ってきて(笑)。自分もそこから変に意識し出して、それもあって関東に行きたいと思い始めて……」。奇しくも2005年7月7日生まれのライバルに出会ったことが、のちに湘南ベルマーレU-15に加入するきっかけの一つになっていた。
またその頃の石井はマスコミを通じた期待の声に浮かれるわけではなく、自身の能力をさらに伸ばしたいという向上心を持ちつつ、さらに「上には上がいる」という客観的な目線も持っていた。「自分が通用しないと分かった上で、チャレンジするために関東に来たし、湘南でも一つ上、二つ上の選手はレベルが高かったし、そこで切磋琢磨しながら成長できたと思います」。
小学生時代にも近隣のサンフレッチェ広島ジュニアにMF中島洋太朗、MF中川育といった後のU-20日本代表選手が所属しており、「本当にすごい選手だったので、負けたくないのもありつつ、基本的には自分に負けないことからしっかり始めようと思っていたし、自分のことに集中しようと思っていた」と地に足をつけて努力をしてきた自負がある。
だからこそ、高校時代を下部リーグで過ごした湘南での日々にも焦りはなかった様子。「ユースに上がって、ベルマーレは県リーグで、他のJクラブはプレミアやプリンスにいて毎週レベルの高い試合をしていて、羨ましい気持ちはありましたけど、自分の与えられた環境でしっかりやることが大事だと思っていました」。そのため故郷を離れて過ごし、プロへの礎を築いた6年間を「いま振り返ってみても良い時間だったなと思います」と前向きに捉えている。
そうして着実に努力を続け、満を持して辿り着いた世界舞台。今大会でも「DAZNで無料放送されるので日本の多くの方々が見てくれると思う」と周囲の期待を歓迎する19歳は「自分はこんな大きい大会は初めてなので、想定していてもできないこともあると思うけど、しっかりチームの雰囲気、相手の雰囲気、現地の雰囲気を感じ取って慣れていきたい。適応能力はしっかりあるほうだと思うので、相手にのまれないようにプレーしたい」と冷静に決戦を見据え、活躍を誓った。
(取材・文 竹内達也)
●AFC U20アジアカップ2025特集