ポジション争う久保との共演弾でW杯導いた鎌田大地の苦闘、献身、歓喜「こういう試合でやっと取れたなと」

MF
[3.20 W杯最終予選 日本 2-0 バーレーン 埼玉]
「普段こういう試合で点を取ってきたタイプじゃないんで、やっと取れたなと」。勝てば北中米W杯出場が決まる大一番。日本代表を歴代最速にして世界最速、8大会連続のW杯に導く先制ゴールを決めたのは途中出場のMF鎌田大地(クリスタル・パレス)だった。
後半18分の出場から流れを変え、たった3分後に迎えたファーストチャンス。DF伊藤洋輝からの縦パスがFW上田綺世に入り、絶妙なスルーパスにMF久保建英が抜け出すと、左に走った久保に呼応するように鎌田はペナルティエリア右に走った。
最後はGKとの1対1。あえてボールの上を叩いて“ダフらせる”技ありシュートを繰り出すと、狙いどおりにGKの頭上を越えたボールがふわりとネットを揺らした。
ドイツ代表のレジェンドMFメスト・エジルを彷彿とさせるトリッキーなフィニッシュは、クリスタル・パレスでのシュート練習で日々蹴っていたもの。「特にこれしようっていうわけではなく、普段やっていることが出たかなという感じですね」。相手の読みを外してあざ笑うかのような高難度シュートをここぞの大一番で見事に決め切った。
今回の日本代表3月シリーズでは、他の選手より疲労の少ない状態で合流していた鎌田。プレミアリーグ前節で対戦予定だったニューカッスルがカラバオ杯決勝に進んだ影響で試合がなかったためだ。ところがバーレーン戦での先発起用が有力視されていたにもかかわらず、この日のスターティングメンバーに名前はなかった。
それでも鎌田に感情の揺らぎはなかったという。「途中から出る選手にとっては一番良い状態が整っていた。自分が1点入れればW杯も決まるし、(0-0のまま苦戦していた)タイミング的にも全てが整っていた。入る前は『自分が決めて勝てたら良いな』と思っていた」。そんなイメージどおりのゴールは、奇しくも最終予選でポジションを争い続けてきた久保からのアシストで決めた。
ここまでの最終予選ではいずれかがスタメンで、いずれかがベンチ。共演はここまでわずか30分強という関係性だ。しかし鎌田も久保も、目の前の相手に対するライバル意識ではなく、才能あふれるフットボーラー同士の関係としてリスペクトし合う関係性を築いてきた。
「僕たちも一緒にプレーできたら良いねと話はしていた。だいぶタイミング的に遅くなったなとは思うけど、もちろん彼自体はいい選手だし、感覚的には合うので、一緒に出れば良いプレーができるだろうと思っていた。良い関係性は見せられたんじゃないかなと思う」(鎌田)
「今回を機にこれから2人で一緒にプレーできる機会が増えていったらいいなと思っていますし、個人的にはたぶんひねくれ者同士、プレースタイルも合うかなと思うので、仲良くやっていけたらいいかなと思います」(久保)
ドイツの強豪フランクフルトでEL制覇の経験を持つ鎌田と、10代からラ・リーガ屈指のアタッカーとして評価を高めてきた久保。2人のポジション争いは世界の強豪国でもそう例のないほど高い水準にある。だからこそ鎌田は冷静に現状の立場と向き合い、チームへの献身を続けている。
「ポジション争いはいいことだと思う。サッカーの試合自体も長くなって、11人だけでなく交代選手も含めてという感じだと思う。もちろん全選手スタメンから出たいと思っていると思うけど、W杯もそうだし、途中から出たほうがおいしい場合もある。最初から出たほうがいい試合ももちろんあるけど。もちろん(ポジション争いを)気にはしないとなとは思うけど、そこまで今は考えすぎないようにしている。ストレスになるだけだし、チームとして自分ができることをやっていくという考え方ですね」
所属クラブでも近年、ステップアップ移籍にチャレンジしたことで苦しい立場に立つことが多い中、同様の取り組みを続けてきた鎌田。その見えない日々の先にこの日のゴールも位置づけられる。
「普段こういう試合で点を取ってきたタイプじゃないんで、やっと取れたなと。特に今季は自分が思っているようなシーズンを過ごせてなくて、なかなか気持ち的には難しいシーズンを過ごしている中で、どこでこういうふうに点を取れることが来るのはわからないなと思った。ヨーロッパを優勝した時もそうだし、どれだけ難しくてもやり続けることが大事だと思った。それを続けているからこその結果だと思うし、やっぱりうまくいかなくてもやり続けないとなと思う」
ゴールシーンのようにたえずボールに顔を出す姿勢も、その取り組みの一つだ。「持ってるか持ってないかはすごい大事な部分だと思うし、ああいうランニングだったりも普段からやっているからこそできていると思うし、今日たまたまできたわけじゃない。普段からやっていることがこういうところに出ると思うんで、しっかりやってきたことが大事」。序盤山場のサウジアラビア戦に続いて掴み取った結果は、“持ってる”側への変貌を予感させるものとなった。
もっともそんな鎌田だが、試合後にはゴールの喜びに浸りながらも、すでに次の目標に照準を合わせていた。
「得点よりも目に見えないところのほうが僕自身がこの代表でやってきたことは多いと思うし、悩みというか、目に見える結果もほしいなと思っていた中でのゴールなので、こういうタイミングで取れたのはすごく嬉しいこと。でもW杯本戦で点を取れるようにというのが最近の中では一番の目標なので、そこに向かってやっていけたらと思う」
カタールW杯では全試合に先発し、攻守に高い貢献度を見せながらもノーゴール。自らの手で掴んだ2度目の北中米W杯には、さらにスケールアップした姿で立ち、次こそは結果に関わる仕事を果たすつもりだ。
(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア最終予選特集
「普段こういう試合で点を取ってきたタイプじゃないんで、やっと取れたなと」。勝てば北中米W杯出場が決まる大一番。日本代表を歴代最速にして世界最速、8大会連続のW杯に導く先制ゴールを決めたのは途中出場のMF鎌田大地(クリスタル・パレス)だった。
後半18分の出場から流れを変え、たった3分後に迎えたファーストチャンス。DF伊藤洋輝からの縦パスがFW上田綺世に入り、絶妙なスルーパスにMF久保建英が抜け出すと、左に走った久保に呼応するように鎌田はペナルティエリア右に走った。
最後はGKとの1対1。あえてボールの上を叩いて“ダフらせる”技ありシュートを繰り出すと、狙いどおりにGKの頭上を越えたボールがふわりとネットを揺らした。
ドイツ代表のレジェンドMFメスト・エジルを彷彿とさせるトリッキーなフィニッシュは、クリスタル・パレスでのシュート練習で日々蹴っていたもの。「特にこれしようっていうわけではなく、普段やっていることが出たかなという感じですね」。相手の読みを外してあざ笑うかのような高難度シュートをここぞの大一番で見事に決め切った。
今回の日本代表3月シリーズでは、他の選手より疲労の少ない状態で合流していた鎌田。プレミアリーグ前節で対戦予定だったニューカッスルがカラバオ杯決勝に進んだ影響で試合がなかったためだ。ところがバーレーン戦での先発起用が有力視されていたにもかかわらず、この日のスターティングメンバーに名前はなかった。
それでも鎌田に感情の揺らぎはなかったという。「途中から出る選手にとっては一番良い状態が整っていた。自分が1点入れればW杯も決まるし、(0-0のまま苦戦していた)タイミング的にも全てが整っていた。入る前は『自分が決めて勝てたら良いな』と思っていた」。そんなイメージどおりのゴールは、奇しくも最終予選でポジションを争い続けてきた久保からのアシストで決めた。
ここまでの最終予選ではいずれかがスタメンで、いずれかがベンチ。共演はここまでわずか30分強という関係性だ。しかし鎌田も久保も、目の前の相手に対するライバル意識ではなく、才能あふれるフットボーラー同士の関係としてリスペクトし合う関係性を築いてきた。
「僕たちも一緒にプレーできたら良いねと話はしていた。だいぶタイミング的に遅くなったなとは思うけど、もちろん彼自体はいい選手だし、感覚的には合うので、一緒に出れば良いプレーができるだろうと思っていた。良い関係性は見せられたんじゃないかなと思う」(鎌田)
「今回を機にこれから2人で一緒にプレーできる機会が増えていったらいいなと思っていますし、個人的にはたぶんひねくれ者同士、プレースタイルも合うかなと思うので、仲良くやっていけたらいいかなと思います」(久保)
ドイツの強豪フランクフルトでEL制覇の経験を持つ鎌田と、10代からラ・リーガ屈指のアタッカーとして評価を高めてきた久保。2人のポジション争いは世界の強豪国でもそう例のないほど高い水準にある。だからこそ鎌田は冷静に現状の立場と向き合い、チームへの献身を続けている。
「ポジション争いはいいことだと思う。サッカーの試合自体も長くなって、11人だけでなく交代選手も含めてという感じだと思う。もちろん全選手スタメンから出たいと思っていると思うけど、W杯もそうだし、途中から出たほうがおいしい場合もある。最初から出たほうがいい試合ももちろんあるけど。もちろん(ポジション争いを)気にはしないとなとは思うけど、そこまで今は考えすぎないようにしている。ストレスになるだけだし、チームとして自分ができることをやっていくという考え方ですね」
所属クラブでも近年、ステップアップ移籍にチャレンジしたことで苦しい立場に立つことが多い中、同様の取り組みを続けてきた鎌田。その見えない日々の先にこの日のゴールも位置づけられる。
「普段こういう試合で点を取ってきたタイプじゃないんで、やっと取れたなと。特に今季は自分が思っているようなシーズンを過ごせてなくて、なかなか気持ち的には難しいシーズンを過ごしている中で、どこでこういうふうに点を取れることが来るのはわからないなと思った。ヨーロッパを優勝した時もそうだし、どれだけ難しくてもやり続けることが大事だと思った。それを続けているからこその結果だと思うし、やっぱりうまくいかなくてもやり続けないとなと思う」
ゴールシーンのようにたえずボールに顔を出す姿勢も、その取り組みの一つだ。「持ってるか持ってないかはすごい大事な部分だと思うし、ああいうランニングだったりも普段からやっているからこそできていると思うし、今日たまたまできたわけじゃない。普段からやっていることがこういうところに出ると思うんで、しっかりやってきたことが大事」。序盤山場のサウジアラビア戦に続いて掴み取った結果は、“持ってる”側への変貌を予感させるものとなった。
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「得点よりも目に見えないところのほうが僕自身がこの代表でやってきたことは多いと思うし、悩みというか、目に見える結果もほしいなと思っていた中でのゴールなので、こういうタイミングで取れたのはすごく嬉しいこと。でもW杯本戦で点を取れるようにというのが最近の中では一番の目標なので、そこに向かってやっていけたらと思う」
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