U-20W杯初戦で躍動した齋藤俊輔(水戸)「自分の価値を示すことができた」アジア杯で失った自信を取り戻す半年間の苦悩
MF
[9.27 U-20W杯GL第1節 日本 2-0 エジプト サンティアゴ]
半年間、自信を取り戻すために奮闘し続けた。U-20日本代表MF齋藤俊輔(水戸)はU-20ワールドカップの舞台で躍動。グループリーグ初戦で1点目のPK奪取と2点目演出のパスという2得点関与を果たした。
前半26分、齋藤が大きなチャンスを手にした。敵陣PA内にボールが入ったところで、相手よりすばやく反応。「自分で打ちたいところもあったけど、相手が削りに来るのが見えたので、先に触ってファウルをもらうというのは意識した」。キッカーを務めたDF市原吏音が冷静に決め切り、待望の先制ゴールが入った。
さらに後半3分にも齋藤が起点を作った。市原のサイドチェンジを受けたところ、トラップが大きくなる。相手選手に奪われかけたが、体勢を崩しながらスライディング。粘りのプレーでボールを前に進めると、こぼれ球を拾ったMF石井久継の右足ミドルがゴールに刺さり、チーム2点目となった。
2月に中国で行われたU20アジアカップ。チームは準々決勝・イラン戦でPK戦の末にU-20W杯の切符を掴んだ。だが、準決勝・オーストラリア戦で敗退。同試合に先発した齋藤にとって「何もできなかったし、良さも何も出せなかった試合」だった。
「代表に来たときは普段やっていないことを求められて、ささいな違いがあるなかで、アジア杯はそういうのもあって自分を出し切れないところがあった」。オーストラリア戦を最後に、齋藤はU-20日本代表の活動に招集されなくなる。「そこから自分自身もっとやらないといけないと思った」。目の前の試合に全力を尽くし、J2リーグを舞台に躍動し始めていく。
「代表に呼ばれなくなり、クラブで結果を残すしかない状況。この大会に向けてやってきた」
その後、J2リーグ首位を走る水戸の原動力にまで成長した。現時点でチーム2位の7得点をマーク。試合に出ることで得点が増え、得点が増えたことで自信も増す。そして、その自信でさらに高パフォーマンスを出すという好循環。「思い切りの良さが結果に結びついている」。そのプレーが認められ、半年ぶりの代表招集。自らの力で世界の舞台に立った。
そして、W杯で結果を残した。「今日は本当に自信がつく試合になってよかった」。無力感に襲われたU20アジア杯のオーストラリア戦から半年後の躍動。苦境を乗り越えた齋藤は「このチームにもう一度呼ばれて、自分の価値を示すことができた」と達成感を噛みしめる。
一方、水戸の窮地にはチリから思いを馳せた。J2リーグ2位の得点力を誇るMF渡邉新太が右膝内側側副靭帯損傷で離脱。齋藤もその情報は耳にしていた。
「僕もやるしかないと感じた」。今はチリでできることに集中するのみだ。齋藤は「クラブもきつい時期に入ってきて、難しいところはある」と自クラブを思う。「自分もがんばらないといけない」。代表での奮闘で水戸にもエールを送るつもりだ。
(取材・文 石川祐介)
●U-20ワールドカップ2025特集
▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中
半年間、自信を取り戻すために奮闘し続けた。U-20日本代表MF齋藤俊輔(水戸)はU-20ワールドカップの舞台で躍動。グループリーグ初戦で1点目のPK奪取と2点目演出のパスという2得点関与を果たした。
前半26分、齋藤が大きなチャンスを手にした。敵陣PA内にボールが入ったところで、相手よりすばやく反応。「自分で打ちたいところもあったけど、相手が削りに来るのが見えたので、先に触ってファウルをもらうというのは意識した」。キッカーを務めたDF市原吏音が冷静に決め切り、待望の先制ゴールが入った。
さらに後半3分にも齋藤が起点を作った。市原のサイドチェンジを受けたところ、トラップが大きくなる。相手選手に奪われかけたが、体勢を崩しながらスライディング。粘りのプレーでボールを前に進めると、こぼれ球を拾ったMF石井久継の右足ミドルがゴールに刺さり、チーム2点目となった。
2月に中国で行われたU20アジアカップ。チームは準々決勝・イラン戦でPK戦の末にU-20W杯の切符を掴んだ。だが、準決勝・オーストラリア戦で敗退。同試合に先発した齋藤にとって「何もできなかったし、良さも何も出せなかった試合」だった。
「代表に来たときは普段やっていないことを求められて、ささいな違いがあるなかで、アジア杯はそういうのもあって自分を出し切れないところがあった」。オーストラリア戦を最後に、齋藤はU-20日本代表の活動に招集されなくなる。「そこから自分自身もっとやらないといけないと思った」。目の前の試合に全力を尽くし、J2リーグを舞台に躍動し始めていく。
「代表に呼ばれなくなり、クラブで結果を残すしかない状況。この大会に向けてやってきた」
その後、J2リーグ首位を走る水戸の原動力にまで成長した。現時点でチーム2位の7得点をマーク。試合に出ることで得点が増え、得点が増えたことで自信も増す。そして、その自信でさらに高パフォーマンスを出すという好循環。「思い切りの良さが結果に結びついている」。そのプレーが認められ、半年ぶりの代表招集。自らの力で世界の舞台に立った。
そして、W杯で結果を残した。「今日は本当に自信がつく試合になってよかった」。無力感に襲われたU20アジア杯のオーストラリア戦から半年後の躍動。苦境を乗り越えた齋藤は「このチームにもう一度呼ばれて、自分の価値を示すことができた」と達成感を噛みしめる。
一方、水戸の窮地にはチリから思いを馳せた。J2リーグ2位の得点力を誇るMF渡邉新太が右膝内側側副靭帯損傷で離脱。齋藤もその情報は耳にしていた。
「僕もやるしかないと感じた」。今はチリでできることに集中するのみだ。齋藤は「クラブもきつい時期に入ってきて、難しいところはある」と自クラブを思う。「自分もがんばらないといけない」。代表での奮闘で水戸にもエールを送るつもりだ。
(取材・文 石川祐介)
●U-20ワールドカップ2025特集
▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中


