久保建英「模倣や真似はオリジナルには敵わない」結婚発表翌日、克明に語ったW杯王者スペインの強さ、日本サッカーの未来
MF
前日2日夜に電撃発表した結婚に関する話題がひと段落した後、「ここからはサッカーの話で」と切り出した日本代表MF久保建英(ソシエダ)に北中米W杯王者のスペイン代表をどう見たかという話題が向けられると、興味深い論考が克明な口調で語られた。
久保にとってスペインは10歳から14歳のゴールデンエイジを過ごし、プロ入り後も18歳になった2019年夏から7年間以上にわたって過ごしてきた“第2の母国”。チームメートのFWミケル・オヤルサバル、元同僚のMFミケル・メリノやMFマルティン・スビメンディらがトロフィーを掲げたW杯について、大会当時から思索を巡らせていた様子が垣間見えた。
「簡単な話をすると、やっぱりどのポジションにも世界最高レベルの実力と市場価値の選手がわんさかいて、他の国でレギュラーで出られそうな選手も1試合も出られない。それに自分たちよりもフィジカル面だったりで格上の相手にもポゼッションと選手の質で勝っていた」
久保が真っ先に強調したのはスペイン代表選手たちのクオリティーだ。大会を通じて圧倒的な存在感を示したMFロドリ(バルセロナ)、DFパウ・クバルシ(同)、DFマルク・ククレジャ(R・マドリー)らは言わずもがな、GKダビド・ラヤ(アーセナル)、DFアレハンドロ・グリマルド(A・マドリー)、FWビクトル・ムニョス(リバプール)といった面々がW杯で一度も出番を得られない選手層の厚さが印象的だったようだ。
こうしたスペイン代表について、久保は日本代表に重ねながら「目指したい姿ではあるけど、そんな簡単にみんな目指していたらスペインが優勝していないと思う」とも指摘。チーム戦術やサッカー文化の違いも示唆した上で「目には見えない何かもあると思うし、単純に選手の質でもまだまだ追いつけていないと思う。そこはチームとしても今後に期待したいし、僕ももっともっと成長したいなと思います」と述べた。
そんな久保は日本とスペインの差について「個人個人を見ているとやれそうな気もしなくもないけど、でも一つ一つのプレーの質はやっぱり高いし、プラス根付いてきたサッカー文化も違う」と言う。その上で日本サッカー界が向かうべき道を次のように見つめた。
「似たようなことをやっていても、それを突き詰める側と真似する側ではいつまでも追いつけないと思いますね。それは日本だけじゃなく、何かを真似しているうちはオリジナルをコピーが超えることはないと思うので。真似だけではどのスタイルを真似していても難しいのかなと。よく日本のサッカーと言われますけど、日本だけの武器を見つける上で、(他の国を)取り入れていくのは素晴らしいと思うけど、模倣や真似はオリジナルには敵わないのかなと思います」
小学生の頃にスペインサッカー界に飛び込み、育成年代トップレベルの環境を生き抜いた経験を持つ久保。その後は日本の育成年代でエリートコースを歩み、J1リーグからラ・リーガに飛び込み、日本とスペインの環境を誰よりもフラットに比較できる立場にいながらも「スペインを模倣する」という志向には否定的だった。
久保は日本の強みを次のように評した。
「明らかにスペインや他の国と比べても、勤勉さであったり、一つのことに取り組む姿勢であったり、気持ちの話はあまり好きではないけど最後まで諦めないことであったり、一つ一つのプレーに全身全霊で臨むというのはほぼほぼどこの国にも負けないと思う」
その上で「成長曲線という点では日本のほうが他の国よりも(右肩上がりに)急なのかなと思う。もともとあった差がどれくらいのものかは僕にも分からないので、目には見えていないかもしれないけど、少しずつ確実に差は縮まってきているのかなと思います」と今の力量差を捉えていた。
久保は日本とスペインの差が生まれる要因についても言及した。
「単純に入試とかで言ったら倍率が桁違いですよね。あっちでサッカー選手になるのと、こっちでサッカー選手になるのとでは。よく冗談でチームメートに『俺が日本にいたらね』って話をされて、『いやそんなことないよ』って今は言えるけど、5年前とかは全然言い返せない自分もいたりして。今でこそ日本のサッカーを世界に見せられて誇らしい気持ちはあるけど、まだやっぱり“認められる側”の国というのも事実ですし。それで言うとスペインは“認める側”の国なので。そこにも差があるのかなと思います」
それでも久保は両国の差が埋まる手応えを徐々に感じているようだ。
「いまは配信とかでも昔はJリーグしか見られなかったものが、海外サッカーも見られるようになって、たまに今の子どもたちに『誰のファンですか?』って聞く動画をたまに見ますけど、昔はおそらく三浦カズさん、長谷部さん、本田圭佑さんだったのが、今では日本人選手の名前も挙がらないくらいにメッシだ、ムバッペだ、ハーランドだと子どもたちの選択肢が広がってきていますよね。昔はJリーグの選手の真似をしていたのが、今は世界トップレベルの選手の真似をすることができて、必然的にレベルアップする土台が出来上がっているのかなと思います」
そうした環境変化の中で、久保は自らの責務に目を向けた。現代の日本サッカー界の顔として、子どもたちがサッカー選手に憧れ、サッカーでプロになることを目指し、トップレベルの舞台にたどり着くためのきっかけづくりを担おうとしている。
「あとはサッカー人気を高めること。日本はやっぱり豊かな国なので。世界トップと比べて(裕福か)どうかというのはあるけど、スペインとかに比べると何にでもなれる国で、どうしてもサッカーである必要はないというのがある。そこは無理矢理にでも、僕たちいま日本を代表している選手たちが子どもたちにサッカーの魅力を伝えていくのが大事なのかなと思っています」
結婚という人生の大きな転機を世間に伝えた翌日、25歳の久保建英は現世界王者との距離感を見つめながら、日本サッカーの未来への使命感をあらためてその身に刻み込んでいた。
(取材・文 竹内達也)
●AFCアジアカップ2027特集
久保にとってスペインは10歳から14歳のゴールデンエイジを過ごし、プロ入り後も18歳になった2019年夏から7年間以上にわたって過ごしてきた“第2の母国”。チームメートのFWミケル・オヤルサバル、元同僚のMFミケル・メリノやMFマルティン・スビメンディらがトロフィーを掲げたW杯について、大会当時から思索を巡らせていた様子が垣間見えた。
「簡単な話をすると、やっぱりどのポジションにも世界最高レベルの実力と市場価値の選手がわんさかいて、他の国でレギュラーで出られそうな選手も1試合も出られない。それに自分たちよりもフィジカル面だったりで格上の相手にもポゼッションと選手の質で勝っていた」
久保が真っ先に強調したのはスペイン代表選手たちのクオリティーだ。大会を通じて圧倒的な存在感を示したMFロドリ(バルセロナ)、DFパウ・クバルシ(同)、DFマルク・ククレジャ(R・マドリー)らは言わずもがな、GKダビド・ラヤ(アーセナル)、DFアレハンドロ・グリマルド(A・マドリー)、FWビクトル・ムニョス(リバプール)といった面々がW杯で一度も出番を得られない選手層の厚さが印象的だったようだ。
こうしたスペイン代表について、久保は日本代表に重ねながら「目指したい姿ではあるけど、そんな簡単にみんな目指していたらスペインが優勝していないと思う」とも指摘。チーム戦術やサッカー文化の違いも示唆した上で「目には見えない何かもあると思うし、単純に選手の質でもまだまだ追いつけていないと思う。そこはチームとしても今後に期待したいし、僕ももっともっと成長したいなと思います」と述べた。
そんな久保は日本とスペインの差について「個人個人を見ているとやれそうな気もしなくもないけど、でも一つ一つのプレーの質はやっぱり高いし、プラス根付いてきたサッカー文化も違う」と言う。その上で日本サッカー界が向かうべき道を次のように見つめた。
「似たようなことをやっていても、それを突き詰める側と真似する側ではいつまでも追いつけないと思いますね。それは日本だけじゃなく、何かを真似しているうちはオリジナルをコピーが超えることはないと思うので。真似だけではどのスタイルを真似していても難しいのかなと。よく日本のサッカーと言われますけど、日本だけの武器を見つける上で、(他の国を)取り入れていくのは素晴らしいと思うけど、模倣や真似はオリジナルには敵わないのかなと思います」
小学生の頃にスペインサッカー界に飛び込み、育成年代トップレベルの環境を生き抜いた経験を持つ久保。その後は日本の育成年代でエリートコースを歩み、J1リーグからラ・リーガに飛び込み、日本とスペインの環境を誰よりもフラットに比較できる立場にいながらも「スペインを模倣する」という志向には否定的だった。
久保は日本の強みを次のように評した。
「明らかにスペインや他の国と比べても、勤勉さであったり、一つのことに取り組む姿勢であったり、気持ちの話はあまり好きではないけど最後まで諦めないことであったり、一つ一つのプレーに全身全霊で臨むというのはほぼほぼどこの国にも負けないと思う」
その上で「成長曲線という点では日本のほうが他の国よりも(右肩上がりに)急なのかなと思う。もともとあった差がどれくらいのものかは僕にも分からないので、目には見えていないかもしれないけど、少しずつ確実に差は縮まってきているのかなと思います」と今の力量差を捉えていた。
久保は日本とスペインの差が生まれる要因についても言及した。
「単純に入試とかで言ったら倍率が桁違いですよね。あっちでサッカー選手になるのと、こっちでサッカー選手になるのとでは。よく冗談でチームメートに『俺が日本にいたらね』って話をされて、『いやそんなことないよ』って今は言えるけど、5年前とかは全然言い返せない自分もいたりして。今でこそ日本のサッカーを世界に見せられて誇らしい気持ちはあるけど、まだやっぱり“認められる側”の国というのも事実ですし。それで言うとスペインは“認める側”の国なので。そこにも差があるのかなと思います」
それでも久保は両国の差が埋まる手応えを徐々に感じているようだ。
「いまは配信とかでも昔はJリーグしか見られなかったものが、海外サッカーも見られるようになって、たまに今の子どもたちに『誰のファンですか?』って聞く動画をたまに見ますけど、昔はおそらく三浦カズさん、長谷部さん、本田圭佑さんだったのが、今では日本人選手の名前も挙がらないくらいにメッシだ、ムバッペだ、ハーランドだと子どもたちの選択肢が広がってきていますよね。昔はJリーグの選手の真似をしていたのが、今は世界トップレベルの選手の真似をすることができて、必然的にレベルアップする土台が出来上がっているのかなと思います」
そうした環境変化の中で、久保は自らの責務に目を向けた。現代の日本サッカー界の顔として、子どもたちがサッカー選手に憧れ、サッカーでプロになることを目指し、トップレベルの舞台にたどり着くためのきっかけづくりを担おうとしている。
「あとはサッカー人気を高めること。日本はやっぱり豊かな国なので。世界トップと比べて(裕福か)どうかというのはあるけど、スペインとかに比べると何にでもなれる国で、どうしてもサッカーである必要はないというのがある。そこは無理矢理にでも、僕たちいま日本を代表している選手たちが子どもたちにサッカーの魅力を伝えていくのが大事なのかなと思っています」
結婚という人生の大きな転機を世間に伝えた翌日、25歳の久保建英は現世界王者との距離感を見つめながら、日本サッカーの未来への使命感をあらためてその身に刻み込んでいた。
(取材・文 竹内達也)
●AFCアジアカップ2027特集


