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「ヒーロー」は長友、虫垂炎で一時離脱も「ピッチに立てば関係ない」

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[5.31 キリン杯 日本4-0ベルギー 国立]

 ミックスゾーンで報道陣に囲まれるDF長友佑都(F東京)に背後から声がかかった。「きょうのヒーローだよ、ヒーロー」。声の主はMF遠藤保仁。チームメイトも認めるMVPだった。

 前半21分、技ありシュートで口火を切った。左サイドを後方から長い距離を駆け上がり、MF中村憲剛のスルーパスを引き出すと、クロスを上げると見せかけ、GKの逆を突く。クロスを警戒して前に出ていたGKをあざ笑うように、左足ダイレクトで打ったシュートはゴールに吸い込まれた。

 「あんなきれいに入るとは思わなかった」と照れ笑いしたが、ミスキックではなかった。「GKと駆け引きできた。GKを見たら、クロスに対応して重心が逆に乗っていた。(チームメイトに)狙ってねえだろって言われたけど、狙ってました」と胸を張った。

 後半32分にはMF本田圭佑のパスを受けると、ゴール前にグラウンダーのクロスを送り、FW矢野貴章の4点目をアシストした。低いクロス、ニアへの速いボール、逆サイドへの大きなクロス。局面局面でクロスの質を変え、決定機をつくった。「クロスの練習は毎日やっているし、代表では質も求められる。徐々に良くなってるけど、現状に満足せず、やっていきたい。もっとドンピシャで合わせたい」

 27日のチリ戦前に虫垂炎の初期症状が判明し、チームを一時離脱した。約1週間、体を動かすこともできなかったが、チームNo.1のスタミナ健在だった。今も炎症を抑えるため抗生物質を飲み続けているが、影響はまったく感じさせなかった。

 「気持ちですね、完全に。僕が走り負けてたら、試合に出る必要はない。病気は関係ない。ピッチに立ったら関係ない」。岡田ジャパン不動の左サイドバックに成長した22歳の若武者は、どこまでも力強かった。

<写真>日本DF長友
(取材・文 西山紘平)

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