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本田&俊輔の共存に見えた光、俊輔「あいつの良さが出た」

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[3.3 アジア杯予選 日本2-0バーレーン 豊田ス]

 約2年ぶりの同時先発となったMF中村俊輔(横浜FM)とMF本田圭佑(CSKAモスクワ)。これまで同時にピッチに立った4試合では連係面に課題を残し、FKのキッカーをめぐって“衝突”もあった。だが、そんな2人のパス交換が先制点の起点となった。

 前半36分、俊輔がDFにプレッシャーを受けながら本田にパスを出すと、本田が浮き球で俊輔に戻す。2人のワンツーが守備陣を揺さぶり、左サイドのスペースにMF松井大輔が走り込んだ。中村のスルーパスを受けた松井はファーサイドへクロス。これにFW岡崎慎司が頭で合わせ、先制点が生まれた。

 動き方は確認していた。前日練習後、本田について「トップ下の位置で横に動くだけで、裏に抜ける動きがない。トップ下というか、FWって考えた方がいい」と指摘していた俊輔は試合前に「前の2人が重要なんだ。1人が裏に行って、1人が足元ではダメ。1人がストッパーを引き付けて、1人が裏に行くことが大事」と直接指示したという。

 中盤の位置で足元でパスを受けるだけでなく、岡崎と連動しながら最終ラインとの駆け引きに参加しろ――。俊輔が要求した「FW」の動きを本田はしっかりと意識していた。

 90分間、忠実にプレーしたわけではない。下がりながら足元で受け、自分の形に持ち込んでシュートを打ったシーンもあった。俊輔の要求とは違っても、それは大事なプレースタイルのひとつ。ただ、そのバランスは気にかけていた。

 「俊輔との連係面は?」と聞かれた本田は「まだまだ改善の余地がある。シュンさんから俺へのパスはやっぱり少ない。でも、それは俺の引き出しが少ないことに問題がある。オカが裏でもらうような動きをシュンさんはしてほしいんだと思う。足元(へのパス)はあまり見てないというか、出したくないんだと思う。危険なところに出したいと思っているんじゃないかな。だから俺もチャンスに絡みたいなら、そうしないといけない」と語ったのだ。

 俊輔も試合を通して、本田という個性がチームにとって新たな武器になると感じたようだ。「ゴールキックに1人で競れるやつがいるのは強い。あそこであいつの良さが出た。サイドから攻めるときも選択肢が増えるしね」。182cmの体格の良さとフィジカルの強さ。前線に小柄な選手が多かったチームでは今までになかった“色”だった。

 「オカと本田のセットはオプションになる。俺もそうだけど、パーフェクトな選手はいない。集団でやっていかないと」と俊輔は言った。2人がそれぞれ口にした“歩み寄り”。バーレーン相手ではW杯を勝ち抜く上で確実な手応えをつかめたとは言えないにしても、本田と俊輔の共存に光が見えたことはこの試合、最大の収穫だった。

<写真>試合前に言葉を交わす日本代表の両MF本田(57番)と中村(10番)
(取材・文 西山紘平)

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