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[女子W杯]PK戦の死闘を制し、なでしこジャパンが世界一に!!日本サッカーの歴史を変える

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[7.17 女子W杯決勝 日本2-2(PK3-1)アメリカ フランクフルト]

 なでしこジャパンが初の世界一に! 女子W杯ドイツ大会は17日に決勝を行い、日本女子代表はFIFAランク1位のアメリカ女子代表と対戦。2度のビハインドを跳ね返す驚異の粘りを発揮し、2-2のまま突入したPK戦ではGK海堀あゆみ(INAC神戸)が相手のキックを2本セーブする活躍を見せ、PK3-1で初優勝の栄冠を勝ち取った。延長後半12分に劇的な同点ゴールを決めたMF澤穂希(INAC神戸)は通算5得点で得点王に輝き、大会MVPも獲得。世界一の称号と合わせ、3冠を達成した。

 日本は準決勝のスウェーデン戦(3-1)と同じシステム、メンバーで決戦に臨んだ。システムは4-4-2を採用。GKは海堀あゆみ(INAC神戸)。DFラインは右から近賀ゆかり(INAC神戸)、岩清水梓(日テレ・ベレーザ)、熊谷紗希(浦和レッズ)、鮫島彩(ボストン・ブレイカーズ)。ダブルボランチを澤穂希(INAC神戸)と阪口夢穂(新潟)が組み、2列目は右に大野忍(INAC神戸)、左に宮間あや(岡山湯郷)。2トップは安藤梢(デュイスブルク)とMF川澄奈穂美(INAC神戸)が務めた。

 前半開始わずか40秒、早くもアメリカが日本のゴールを脅かす。MFチェイニーが右サイドからドリブル突破。岩清水を突き放してシュートを放つが、なんとか海堀が弾いた。前半8分にはMFラピノーの右クロスに走りこんだチェイニーにダイレクトでシュートを打たれたが、外のサイドネットへ。直後の同9分にもFWワンバックが強烈なミドルシュート。ゴール上へ外れたものの、立ち上がりからアメリカに押し込まれる展開が続いた。

 日本は中盤でパスがつながらず、立て続けにカウンターを受ける。澤からのパスもことごとくカットされ、中盤から相手陣内へ攻め込むことができない。

 前半17分にはスルーパスを通され、最後はラピノーにシュートを打たれたが、ポストに救われた。同28分、自陣内で相手MFに熊谷がプレッシャーをかけるが、こぼれたボールをワンバックに拾われ、カウンター。あわや失点の場面だったが、フリーのワンバックが蹴りこんだシュートはクロスバーを叩いた。

 日本がチャンスをつくったのは前半31分だった。ロングボールをPA外右で川澄が頭で落とし、こぼれ球を拾った大野がドリブルで切れ込み、前線にスルーパス。しかし、安藤のシュートはGKの正面を突いた。その後もピンチが続くが、鮫島が左サイドから積極的な攻撃参加を試みるなど、徐々になでしこらしさを見せる。同44分には大野が中央からドリブルで仕掛け、ゴールへ向かって走りこんだ安藤にラストパスを送るも、わずかに合わなかった。

 0-0で前半を折り返すと、先に動いたのはアメリカだった。後半開始からラピノーに代えてFWモーガンを投入。早くも交代カードを切った。

 後半4分、左クロスから最後はモーガンにシュートを打たれると、GK海堀も止められなかったが、ポストを叩く。ゴール前にこぼれたボールは澤が間一髪のところでクリア。後半19分にはMFオーライリーの左クロスからワンバックにヘディングシュートを打たれるが、これは海堀が右手一本で弾いた。選手全員が体を張り、ゴールを死守した。

 後半21分、日本のベンチも動く。大野と安藤に代えてFW永里優季(ポツダム)とFW丸山桂里奈(ジェフ千葉)を投入。同時に前線の選手2人をピッチに送り込み、2トップの一角を担っていた川澄が一列ポジションを下げた。

 ところが、この直後に先制点を許してしまう。後半24分、永里が前線でボールを奪われ、アメリカが一気のカウンター。ラピノーからのロングボールにモーガンが抜け出し、最後は左足でシュート。熊谷が必死に戻って対応するが、間に合わず。シュートは海堀の指先を抜け、ゴール右へ突き刺さった。

 0-1とビハインドを背負った日本は、ショートパスを回すアメリカに翻弄され、思うようにチャンスをつくれず、苦しい時間帯が続いた。それでも諦めることなく、ひたむきにゴールを目指すと、一瞬のミスを見逃さなかった。

 後半36分、川澄が相手陣内中央でパスカットし、右サイドに走り込んだ永里へボールを送る。永里の右クロスに丸山が飛び込むと、相手選手ともつれ合ったこぼれ球をDFがクリアミス。これに素早く反応した宮間が左足アウトサイドで押し込んだ。宮間の開幕戦以来、今大会2点目のゴールで1-1に追いついた。

 終了間際の後半44分には、カウンターのチャンスから丸山が駆け上がり、右サイドの川澄にパス。折り返しを受けた阪口がミドルシュートを狙ったが、ゴール左へ。試合は90分間で決着が付かず、1-1のまま15分ハーフの延長戦に突入した。

 延長戦ではアメリカのサイド攻撃に苦しめられたが、ゴール前で熊谷と岩清水の両CBが奮闘。ロングボール、クロスボールを粘り強く跳ね返し続けた。しかし、延長前半14分、立て続けに右サイドからボールを入れられ、波状攻撃を受けると、最後はモーガンのクロスから鮫島と熊谷の間にうまく入り込んだワンバックにフリーでヘディングシュートを許し、1-2と再び突き放された。

 追い込まれたなでしこジャパンは気力を振り絞り、猛反撃に出る。延長後半7分、宮間の左クロスに澤と丸山が走り込むが、わずかに届かない。それでも相手DFのクリアミスを拾った近賀が中央へ折り返し、フリーの永里がシュート。しかし、これもゴール左へ外れた。

 最後まであきらめない日本。延長後半10分、澤のパスから近賀がPA内に走り込む。これはDFに阻まれたが、このプレーで獲得した左CKから劇的な同点ゴールが生まれた。宮間のキックに澤がニアサイドへ飛び込むと、ゴールに背を向けた状態から右足アウトサイドで捉える技ありシュート。これが起死回生の同点弾となり、土壇場で2-2に追いついた。

 再び同点とした日本は延長後半14分、丸山に代えてFW岩渕真奈(日テレ・ベレーザ)を投入し、最後のカードを切る。延長後半ロスタイム2分には、スルーパスに抜け出したモーガンをPAのわずか手前で岩清水が倒してしまい、一発退場。ペナルティーラインぎりぎりの位置からのFKはなんとかクリアし、2-2のまま120分間を終えた。

 そして、迎えたPK戦。守護神がビッグセーブを連発し、日本を世界の頂点へ導いた。先攻はアメリカ。1人目のボックスのキックは、コースを読んだ海堀が右足でストップ。対する日本は宮間が冷静に決める。アメリカの2人目、ロイドのシュートはクロスバーの上へ。しかし日本も永里のキックはコースが甘く、GKソロに止められた。

 1-0で迎えた3人目。ヒースのキックは、またしても海堀が気迫のセーブ。日本は阪口がゴール左へ決め、2-0とした。4人目は先攻のワンバックが決め、後攻は熊谷。決めれば日本の優勝が決まる運命のキック。これを落ち着いてゴール左に流し込み、PK3-1で世界一に輝いた。

 優勝が決定した瞬間、選手たちはピッチヘなだれ込み、全員で優勝を喜んだ。試合後のインタビューで佐々木則夫監督は「小さな娘たちが粘り強く頑張ってくれました」と微笑み、澤は「ずっとこの頂点を目指してやっていたので本当にうれしい」と満面の笑みで話した。

 過去3分21敗と一度も勝ったことのなかったアメリカを決勝で下しての世界一。2度のビハインドをそのたびに驚異の粘りで追い付き、最後はPK戦の末、競り勝った。初の4強、初の決勝、そして初優勝。次々と歴史を塗り替えてきたなでしこジャパンが、男子を含めても、かつてだれも成し遂げたことのなかったFIFA主催大会での優勝という偉業を成し遂げた。まさに日本サッカーの歴史が変わった日。2011年7月17日。なでしこが日本の歴史だけでなく、世界のサッカー史にもその名を記した。

[写真]優勝トロフィーを高々と掲げるMF澤穂希

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