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新潟FWブルーノ・ロペス「勝った瞬間、何をすればいいか分からなかった」

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[11.24 J1第33節 仙台0-1新潟 ユアスタ]

 最後まで追加点を目指していた。アルビレックス新潟のFWブルーノ・ロペスは、1点をリードして迎えた後半、FWミシェウ、MFアラン・ミネイロとともに、鋭い速攻からチャンスをつくり上げていた。

 2人のブラジル人選手が交代をした後も、力強いドリブルを武器に仙台ゴールへと迫った。後半40分にはドリブルでボールを持ち上がり、手を使って守った相手にPA内で倒される。しかし、彼と並走していた副審はフラッグを振り、ファウルをアピールしたが、村上伸次主審はファウルを認めずにPKは与えられなかった。それでも、その推進力は90分を通して脅威となった。試合を終えた瞬間、ブルーノ・ロペスは「どうすればいいか分からなくなった」と振り返る。

「今日の試合は、とにかく冷静に戦わないといけないと思っていました。しかし、勝ちたいと思っているので、常に冷静でいることはできません。審判の判定だけではありませんが、いろいろなことがあって、ずっと冷静に戦うことはできませんでした。でも、勝利に値するサッカーはできたと思います。明らかにわれわれの方がチャンスは多くつくっていました。勝った瞬間は、どうすればいいか分からなくなりました。泣いたらいいのか、もっと喜んだらいいのか、飛び跳ねたらいいのか、大声で叫べばいいのか。いろんな感情が溢れてきて、何をすればいいのか分からなくなっていました」

 J1残留を目指す新潟。かたやJ1初優勝を目指す仙台。目的こそ違うが、ともに結果が必要な両チームは好ゲームを演じた。ブルーノ・ロペスは「すごく激しい試合になりました。もっともっと内容の良いゲームができればよかったかもしれませんが、2012年のユニフォームの重さを示す戦い、両チームが互いにこういうことがしたいということは伝わったゲームができたと思います」と胸を張った。

 試合終盤に、数的不利の中でも仕掛け続けた彼を後押ししたのは、サポーターの声援だったという。

「今日でJ2降格が決まるかもしれない、勝つしかないという難しい状況でした。それでも、サポーターは『今日はお祭りだ』っていうような気持ちで臨んでくれていました。J2にいる私たちを見たくないという気持ちがすごく伝わってきました」

 新潟のJ1残留は、他会場の試合結果次第ではある。それでも、ひとまず残留に向けて必要な勝ち点3を重ねることに成功した。最終節、今日以上の歓喜を迎えるためには、札幌に勝利しなければならない。そのためにもブルーノ・ロペスにはゴールが求められる。

(取材・文 河合拓)

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