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「憧れのチョ・ヨンチョルを越えたい」 阪南大FW泉澤が大宮入団会見

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 22日、大阪府松原市の阪南大学でFW泉澤仁(阪南大4年=新潟ユース)の大宮アルディージャへの入団会見が行われ、泉澤は「『大宮では誰が凄いんだ?』と聞かれたら、『泉澤仁だ』と言ってもらえるようなプレイヤーになりたい」と意気込んだ。

 ロシアで行われた第27回ユニバシアード(7月)で日本の銅メダル獲得に貢献した注目ストライカーが進路に選んだのは今年、快進撃を続ける大宮だった。「ストライカーとしての得点力に加え、サイドでの仕事も出来るマルチなアタッカー。特にスピードに関しては3年生の時のデンソーカップでも通用する事を確認した」と大宮の古矢武士強化部長が評した逸材にはJ4クラブからの正式オファーが届いた。

 大学入学後の早い段階からチェックを続けていた大宮がオファーを出したのは今年1月。異例とも言える早さのオファーで、「見たことがないという現場スタッフも多かったけど、練習参加した際に一目で間違いないと皆が確信した。スカウトを始め、クラブ一同、ぜひ来て頂きたいということで、ここ数年にない、早い段階でオファーさせてもらった。これまで毎年、降格争いをしていたり、クラブハウスの環境面もあり、トップクラスの選手にアプローチするのは躊躇していたが、思い切って声をかけさせてもらった」(古矢強化部長)。

 熱心な思いはスカウト活動の熱にも表れ、「僕自身、大宮の色んな方が熱心に誘ってもらって、特にスカウトの松本(大樹)さんが今年1月くらいから、毎日のように来てくれたり、全日本の海外遠征や、阪南の宮崎合宿などストーカーのように色んな所に足を運んでくれたのが大きかった」(泉澤)。ギリギリまで悩んでいた泉澤の心を動かした。

 決め手となった理由のもう一つは大宮の韓国代表MFチョ・ヨンチョルの存在だ。泉澤は高校時代、新潟ユースに所属しており、当時トップチームに所属し、寮も一緒だったチョ・ヨンチョルに憧れていたという。「ユースの時に見ていて、ドリブルの速さやシュート力の次元が違うと思っていた存在。そういう憧れの選手、ライバルがいると試合に出られない可能性も高くなるけど、そこで試合に出られるようになったら、その分成長できるかなと思った。早くポジションを奪いたいし、自分の実力を発揮して、追い越したいです」と大宮を選んだ理由を説明。「試合に出るのに苦労するのはどこだろうと考えたら大宮かなと思った」とあえて“イバラの道”を選択した。その意思の強さ、技術の高さは大宮のベルデニック監督からも評価され、「最初に練習参加した際に『もう来ないのか? いつ、大学を辞めて来るんだ?』と言われた」という。

 泉澤が好きな選手として挙げるのは「得点をとるので、相手にとっては一番怖い選手。年下だけど、彼みたいに見に来てくれるお客さんにおもしろいなと思ってもらえる選手になりたい」というブラジル代表FWネイマール(バルセロナ)。そして、中学時代に所属した柏レイソルU-15時代の1学年先輩である日本代表FW工藤壮人との対戦機会を心待ちにしており、「いつもご飯に連れて行ってもらったり、大宮に決まった際も『一緒に試合がしたい』と言ってもらったので、勝負したい。昨日の代表戦でのゴールも見ていたし、負けられない」と語尾を強めた。

 一方で、「プロで活躍できると感じたのはない」と謙虚な姿勢も見せるが、裏に隠されているのは負けん気の強さ。「プロで絶対にやらなきゃいけない。今まで支えてもらった方とか、熱心に練習を教えてくれた方に恩返ししたい。スタジアムに招待して、活躍する姿を見せたい」と1年目からの活躍を高らかに宣言した。

[写真]入団会見に挑んだFW泉澤仁。左は大宮・古矢武士強化部長、右は阪南大・須佐徹太郎監督

(取材・文 森田将義)

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