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勝利につながるゴールは今季初、2発の前田「今年初めて仕事した」

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[9.13 J1第25節 柏1-3磐田 柏]

 エースの役目を果たした。FW前田遼一の2ゴールなどでジュビロ磐田が10試合ぶりの白星。アウェーでは今季初勝利を挙げ、暫定ながら残留圏の15位甲府との勝ち点差を6に縮めた。

「今年初めて仕事をした。これをしないといけないなとあらためて思った」。前田が安堵のため息を漏らす。それもそのはずだ。今季通算8ゴールとなったが、過去に得点した5試合はいずれもチームの勝利に結びつかず(2分3敗)、8月28日の新潟戦に至っては前半に前田が2ゴールを決めながら、後半の4失点で2-4の逆転負けという苦渋を味わった。

 この日も新潟戦と同じように前半を2-0で折り返し、後半11分に1点を返された。2-1。嫌なムードがピッチを覆ったが、悪い流れを立ち切ったのが背番号18だった。MF小林裕紀のロングパスに反応したFW山崎亮平が右サイドを突破。ドリブルでPA内に切れ込み、横パスを前田が右足ワンタッチで流し込んだ。

「試合では悪い時間もあるけど、みんなで話し合って修正できた。我慢するときは我慢して、行くときは行く。メリハリを付けられたことがよかった」。劣勢の展開にも耐え、少ないチャンスを生かす。理想的な試合運びで勝ち点3をもぎ取った。

 1-0の前半7分、MFカルリーニョスの左CKに頭で合わせ、追加点を奪った前田は喜びを爆発させ、ベンチへ一直線。控え選手たちと抱き合った。試合中も、すぐにクリアしてパスをつながないチームメイトに対し、激しいアクションでボールを要求。前田らしからぬ“熱さ”に、この一戦に懸ける決意がにじみ出ていた。

「みんな危機感は持っていた。いい時間に先制点を取れたのが大きかった」。まだ残留ラインまでは差がある。しかし、この日見せたチームの一体感は今後の巻き返しを十分に予感させるものだった。「そういうものは感じるけど、まだ1試合なので。崩れるのも早いと思うし、築き上げるのはこれから」。そう慎重に語る前田は「流れを変える勝利になる? 変えないといけないと思っている」と、強い口調で言い切った。

(取材・文 西山紘平)

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