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J初の無観客試合…浦和対清水は1-1ドロー

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[3.23 J1第4節 浦和1-1清水 埼玉]

 Jリーグ史上初となる無観客試合が埼玉スタジアムで行われた。J1リーグは23日、各地で第4節を行い、浦和レッズ清水エスパルスの一戦は前代未聞の無観客試合として開催された。試合は清水が前半19分に先制したが、浦和も後半31分に追いつき、1-1の引き分けに終わった。

 今月8日に埼玉スタジアムで行われた浦和対鳥栖の試合で差別的横断幕が掲出された問題で、浦和はJリーグからけん責処分及びホーム清水戦を無観客試合試合とする制裁を受けた。Jリーグ史上初となる無観客試合。この日は正午から午後7時まで埼玉スタジアム公園内への入場も禁止され、スタジアム周辺は試合開催日とは思えない静寂に包まれていた。

 キックオフ2時間前には浦和のベンチ入りメンバー18人がピッチに姿を見せ、チームを代表してキャプテンのMF阿部勇樹が「差別撲滅宣言」をした。当然、ファン・サポーターの姿はなく、無人のスタンドだったが、テレビカメラを含めた報道陣の前で「差別的あるいは侮辱的な発言または行為を認めないことを宣言します」と誓った。

 試合前の選手紹介はなく、入場曲も流れない静けさの中、選手たちはピッチに入った。浦和はDF森脇良太が出場停止のため阿部が3バックの右CBで先発。ダブルボランチはMF柏木陽介とMF鈴木啓太で、シャドーストライカーの位置にMF梅崎司とMF原口元気が入った。清水はGK櫛引政敏、DF吉田豊、FW長沢駿が2試合ぶりに先発。19日のナビスコ杯・仙台戦(4-0)で好プレーを見せたMF六平光成が今季リーグ戦初先発となった。
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 選手同士の声だけがピッチに響き渡る中、清水は前半5分、左サイドハーフで先発したMF石毛秀樹の左クロスをFW大前元紀が頭でそらし、長沢がヘディングでゴールネットを揺らすが、オフサイドの判定。浦和は同7分にDF槙野智章が右足ミドルを狙うと、同14分には阿部の縦パスからFW興梠慎三が右足でシュートを打ったが、いずれも枠を捉え切れなかった。

 清水は前半18分、DFカルフィン・ヨン・ア・ピンのロングフィードを長沢がヘディングで落とし、大前がゴール前に抜け出す。左足のシュートはGK西川周作のビッグセーブに阻まれたが、決定機をつくった。このプレーで左CKを獲得すると、ショートコーナーから大前が逆サイドにクロスボールを入れ、フリーの六平が右足でシュート。GKが弾いてゴール前にこぼれたボールを長沢が右足で押し込んだ。

 ナビスコ杯に続く公式戦2戦連発となった長沢だが、昨季まで3年連続でJ2の熊本、京都、松本に期限付き移籍していたこともあり、J1では待望の初ゴール。チームメイトと抱き合ってゴールを喜ぶ中、スタンドからの歓声はなかったが、少ないチャンスをものにし、リードを奪った。

 反撃に出たい浦和だが、なかなか攻撃に迫力が出ない。サポーターの後押しがないことも影響しているのか、試合は淡々と進み、前半を終えた。浦和はハーフタイムに2選手を交代。MF平川忠亮と梅崎が下がり、MF関根貴大、DF永田充が入った。永田は3バックの中央に入ってDF那須大亮が右に移り、阿部がボランチ、柏木がシャドーの位置にポジションを上げた。19日のナビスコ杯・柏戦に途中出場し、プロデビューを飾った浦和ユース出身のルーキー関根はこれがJ1デビュー戦で、平川のいた右サイドハーフに入った。

 選手を入れ替え、局面の打開を図るが、なかなか決定機をつくれない。後半11分、原口の右足ミドルもGKの正面。同16分には柏木のFKからこぼれ球を那須が狙ったが、GKが抑えた。浦和は後半19分、MF宇賀神友弥に代えてFW李忠成を投入し、最後のカードを切る。原口が左サイドハーフに回り、李が1トップ。興梠と柏木のシャドーに変わった。

 清水は後半20分、MF竹内涼に代えてMF杉山浩太、同25分には石毛に代えてMF本田拓也をピッチに送った。杉山と本田のダブルボランチに変え、六平が2列目の左サイドへ。両チームが積極的に動くと、後半31分、ついに浦和が同点に追いついた。関根が右サイドからドリブルで仕掛けると、六平、河井の2人が対応したが、強引に縦に突破し、ゴール前にクロス。李がつぶれたところを原口が右足でゴールに蹴り込んだ。

 1-1の同点に追いつかれた清水は後半41分、長沢に代えてFW高木俊幸を投入し、最後のカードを切った。互いに最後まで勝ち越しゴールを目指すが、浦和は後半42分、左サイドからカットインした原口の右足シュートも大きく枠を外れる。その後も再三、ゴールに迫った浦和だが、2点目を奪うことはできず。清水も後半アディショナルタイムに六平が決定機を迎えたが、GK西川の好守に阻まれ、試合はそのまま1-1の引き分けに終わった。

(取材・文 西山紘平)

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