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清水・ゴトビ監督「試合を楽しむことはできなかった」

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[3.23 J1第4節 浦和1-1清水 埼玉]

 清水エスパルスアフシン・ゴトビ監督は試合後の記者会見で無観客試合という制裁につながった人種差別の問題について言及し、その撲滅への思いと、サッカーというグローバルなスポーツの魅力、美しさを語った。

「人種差別は社会の病気だと思っている。それが親から子へと伝染していく。我々には、このような美しい試合がある。この美しいものに“色”はない」。世界中で愛されているサッカー。そのスポーツで起きた人種差別という問題を看過することはできない。

「スタジアムにだれもいない状況は魂が欠けていると思う。この埼玉スタジアムで事件は起きた。サッカーから差別をなくしていかないといけない。人と人の違いがあるから世界は美しい。我々がサッカーを始めたとき、サッカーボールは白と黒だった。今、我々が使っているボールにはさまざまな色が使われている。エスパルスには9か国の人間がいる。カナダ、韓国、スロベニア、オランダ、ドイツ、ブラジル……。私は自分がどこから来たか分からないが」

 イランで生まれ、少年のころに父親とともにアメリカへ移住したゴトビ監督。アメリカやカナダ、韓国、イランで指導者を務め、2011年に清水の監督に就任した。

「日本に来て3年と2か月が経った。東日本大震災も経験した。日本はそのとき、世界と強く団結した。それが真の日本だと思う」。そう力説すると、一人の外国人として見た日本の姿を語った。

「私を含め、外国人は日本を愛し、日本人を愛している。優しさ、礼儀正しさ。それが日本の顔だと思う。もし、そのことに関して無知な人が日本にいるなら、彼らに教えていきましょう」

 イランで監督を務めていたころにも無観客試合を経験したというゴトビ監督。自身2度目の無観客試合を終え、「試合を楽しむことはできなかった」と率直な思いを語った。「ファンがいなかったから楽しめなかった。ファンの声がなく、美しいオレンジと赤の色がなかったからだ。試合はいい時間帯もあれば、悪い時間帯もあった。それもファンから出るエネルギー、パワーがなかったからだ」。そう振り返り、「無観客試合がこれで最後となることを祈っている」と結んだ。

(取材・文 西山紘平)

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