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契約上、天皇杯決勝に出られない山形FW川西「シーズン最後に勝てて良かった」

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[12.7 J1昇格PO決勝 千葉0-1山形 味スタ]

 縦横無尽にピッチを駆け、チームを勝利に導いた。今シーズン、FWディエゴの強さを活かしたサッカーを展開し、J2で6位に滑り込んだモンテディオ山形。ところが、プレーオフ準決勝で負傷したディエゴは、決勝の大一番でベンチスタートとなってしまう。CFの位置にFW林陵平が入ったが、前線を幅広く動き、存在感を示したのはシャドーの一角に入ったFW川西翔太だった。

 ディエゴ不在という緊急事態で、前線からのプレッシングをこなしながら、低い位置でボールを受け、そこからボールを持ち上がる仕事もこなした。「このチームは、結構、蹴ってしまうことが多いので、どこかで一つ、誰かが運ぶところで落ち着かせるシーンをつくれたらなと思っていました」と、川西は明かす。そのプレーは、千葉の圧力を受けていたチームにとって、大きな拠り所だった。

 1-0の勝利に貢献した川西だが、「自分が昇格に貢献した実感がない」と明かす。

「やっぱり、ザキさん(山崎雅人)とか、ディエゴとか、ギシさん(山岸範宏)とか、ああいうヒーローっていう感じになっていない。バーッて(記者に)囲まれるわけでもないですし、そういう部分で実感はないですね。でも、見ている人が分かってくれればいいとも思いますが、最終的に点を取ってそういう(ヒーロー)になるシーンもあるでしょうし、そうなりたいとも思います。見ている人にも、やっている人にも、『アイツがおらなアカンな』って思われるような選手になりたいですね」

 山形は近いうちに、その存在の大きさを痛感することになるかもしれない。13日に天皇杯の決勝でG大阪と対戦するが、そのG大阪から期限付き移籍中の川西は、契約上、レンタル元クラブとの試合に出場できないからだ。「今は『1年、終わったな』っていう感じですね。天皇杯決勝も出られないし、僕の今シーズンは、今日で最後でした」と、悔しさも垣間見せた。

 それでも、川西は「もちろん、ガンバが3冠を達成してもすごいことですが、次は山形に勝ってほしい。優勝して、1つタイトルを獲ってほしい」と言う。

「J1に上がれた実感はないですけど、シーズンの最後に勝てて良かったし、ホッとした部分もあります。結果的に僕は最後、こうしてピッチに立てて良かったけど、その分、(試合に)出られなかった人もいる。その人たちの分までプレーしようと思ったし、その人たちがいたからこそJ1に上がれた。だから、今は感謝の気持ちしかないです」

 天皇杯決勝を前に、ピッチに立つ自分をサポートしてくれた選手たちを、今度は自分が全力で支える。プレーオフを制した実感はなくとも、その心強さを彼は誰よりも知ったからだ。

(取材・文 河合拓)
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