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河本の先制ヘッドを絶賛する大宮 渋谷監督「うまいなぁと思います」

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[7.12 J2第23節 大宮3-0岡山 NACK]

 試合後の記者会見で、両チームの指揮官が勝負の分かれ目に挙げたのが大宮アルディージャのDF河本裕之が決めた先制点だった。右サイドでのCKが相手DFにクリアーされ、左サイドに流れる。これを拾ったDF和田拓也が相手DFをかわして上げたクロスに、河本がヘッドで合わせて、ボールをゴールに突き刺した。

 ファジアーノ岡山長澤徹監督は「ゲームの入り方は理想的だった。ただ、警戒はしていたのですが、一本目の侵入となったセットプレーでやられてしまった。一本で流れの変わるサッカーの恐ろしさを示されたし、今後の糧にしたい」と唇を噛む。

 一方、大宮の渋谷洋樹監督も「最初は岡山さんのプレッシャーもあり、全体の距離間が伸びてしまっていた。それでも徐々にボールの落ち着き所を見つけて、そこを使えていたし、セットプレーから1点取れたことが大きかった。3連戦で暑さもあり、厳しいコンディションの中で、あの1点が力付けてくれた」と、その影響の大きさを口にした。

 河本自身は「(和田が)良いクロスを上げてくれたので」と、淡々と振り返るだけだったが、渋谷監督は、その技術を絶賛した。DFが一度、クロスをクリアーした後、大宮の選手たちは動き直してフリーになり、ポジションを取り直していた。これがチームで教え込まれたものなのかと聞かれると、正直な指揮官は「僕はセットプレーは、あまり担当していないので…。黒崎久志コーチが担当なので、聞いてみないと分からないのですが、トレーニングではやっていないと思います」と明かした。

 そして、今シーズン4点目を挙げた河本のヘディング技術を絶賛する。

「うまいなぁと思いますよね。私も現役時代はDFだったのですが、あまり点を取っていないので…。河本選手は本当にうまいなと思っています。ピンポイントでボールが来ても、枠に突き刺すというのはなかなかできない。下に落とすことはできても、ネットを直接狙うっていうのはね。練習で、GK抜きで同じことをやっても、あの高さからネットに突き刺すのは本当に難しい。動き直しっていう部分では、多分、ストライカーをやっても得点を取れる選手なんじゃないかなと思っています。菊地(光将)選手もそうですが、瞬間的に相手から離れる感性はあると思います」

 そう興奮気味に話してから、正直すぎる指揮官は、再び「トレーニングで、僕は教えていません。僕は教えていません」と、自身の教えではないことを強調して、笑顔で「ありがとうございます」と言って会見場を後にした。

(取材・文 河合拓)

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