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オレンジのユニフォームで1744日ぶり先発出場の福田「大宮での出場にこだわっていた」

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[7.12 J2第23節 大宮3-0岡山 NACK]

「大宮で最後に先発出場したのは、いつだったか…。覚えていないくらい前ですね」。

 大宮アルディージャのDF福田俊介が、そう言って肩をすくめたのも無理はなかった。DF菊地光将の負傷で、ファジアーノ岡山戦の先発に名を連ねた福田だったが、この試合までに大宮の一員として最後に先発出場したのは、2010年10月2日に行われたJ1第25節の浦和戦(1-2)だった。日数にして1744日ぶりだ。

「キックオフ前は、緊張もあってどうなるか不安でしたが、周りの選手たちが声を掛けてくれたので、思い切ってできました」と、福田は3-0に終わった一戦を振り返り、安堵の表情を見せる。

 2011年、12年と、期限付き移籍さきの富山では先発で出場機会を得ていたが、大宮に戻ってからは出場機会に恵まれなかった。誰もが認めるヘディングの強さを誇りながらも、2013シーズンは最終節の1試合、しかも後半44分からの出場。14シーズンに出場した9試合も、すべて後半途中からの短時間だった。

 それだけに、この試合に懸ける想いも強かった。「地元ですし、最初に誘ってもらったチームだったので、僕自身、大宮での出場にずっとこだわっていました。誘ってもらった以上は、恩返しもしたかったです。ここまで先発で出ることができていなかったのは、大宮だけだったので、この試合に懸ける気持ちも人一倍あったと思います」と言い、「サポーターは、最初から僕のコールをすごくしてくれていましたし、応援してくれているのは伝わりました。そうとう後押ししてもらいました」と、サポーターの声援に感謝した。

 ミックスゾーンで話をしている際に、GK塩田仁史から「福田さん、今日バックパスしかしてないじゃないですか!」と突っ込まれた。そんなイジりに対して「バックパスと、ゴールした河本さんに抱き付きに行っただけです!」と冗談を返したが、緊張もあった中で、これまでの経験をピッチでぶつけて来た。

「最初のプレーで(ボールを持っている相手に)アタックしてボールを取れたので、それで少し流れに乗れたので良かったです。クロスを放り込まれても、跳ね返すことができましたし、J2の経験を富山時代にしていたのも大きかったですね。富山での経験も、生きたと思います」

 2-0でリードした終盤には、ゴールを貪欲に狙いに行った。CKの場面で攻め上がると、攻撃が岡山の守備陣に跳ね返された後も、味方がボールを回収するのを確認すると、ゴール前に残り続けていた。「ちょっと取りたいなぁと思って、前に残っていましたね。2-0だったので、あわよくば…と(笑)。自分でも『ちょっと(前に)居すぎかな』と思って、さーっと後ろに戻って行ったんですけどね」と、頭を掻いた。

 この日、大宮での初ゴールを記録することはできなかったが、今後、そのチャンスは再び得られるかもしれない。渋谷洋樹監督は「出場機会が少ない選手も良い準備ができています。以前から『誰が出ても良い』と言っていましたが、今日は久しぶりに先発で出た福田選手が普通にやってくれました。普段のトレーニングの中でしっかりやってくれていることが、つながっていると思います」と、信頼を口にした。

 シーズン序盤、出場機会のなかったFW播戸竜二が、結果を出してレギュラーに定着した例もある。福田自身も、播戸に続きたいという強い意欲を持つ。「いままでは、スタメンが抜けると試合で崩れやすいチームでしたが、今年はそこが違います。誰が出ても、それなりのパフォーマンスと結果が出ているので、そこに自分もうまく乗っかっていきたいですし、今日は結果が付いてきたのでOKかなと思っています。試合勘と試合体力も久しぶりで不安はあったのですが、周りも助けてくれて思い切りできたので。次の福岡戦も、またチャンスがあれば、しっかり勝って、勝ち点3を持って帰りたいなと思います」と、充実した表情で言い切った。

(取材・文 河合拓)

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