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格の違いを見せつける大宮FW家長「J1でもプレーできる自信を持ってやっている」

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[7.22 J2第25節 大宮3-0横浜FC NACK]

 格の違いを見せつけている。第25節の横浜FC戦を3-0で勝利した大宮アルディージャは、2位のジュビロ磐田との勝ち点差を11に広げた。3位のセレッソ大阪、4位のツエーゲン金沢との勝ち点差は17あり、自動昇格はもちろん、目標に掲げていたJ2優勝に向けて独走態勢に入った。

 その中でも大きな違いを生み出しているのが、FW家長昭博だ。横浜FC戦では前半3分にMF渡邉大剛の先制点をアシストすると、その3分後にはDF渡部大輔のクロスを受けて左足でボレーシュートを突き刺した。横浜FCのミロシュ・ルス監督は「10分で試合は決まった。立ち上がり10分で2失点し、試合は難しくなった」とボヤいたが、まさに家長が呼び込んだ勝利だといえるだろう。

 大宮の渋谷洋樹監督は、ゴールではない家長のプレーを勝因に挙げた。「ゲームに関しては、ファーストプレーがすべてかなと思います。家長選手が中島選手にタックルに行ったプレーです。あのプレーがすべてだったと今になって感じています」と、振り返る。

 横浜FCボールで試合が始まると、バックパスを受けたDF中島崇典に対して家長はプレスをかけた。中島が苦し紛れに蹴ったボールを大宮の渡邉が回収し、そのまま攻撃に転じた。この試合に入るにあたり、家長は「最近、チームが抜け出していて気持ちに余裕も出始めています。さらに勝ち点を積み重ねられるようにと、気持ちを入れ直して試合に臨みました」と明かしている。渋谷監督は、家長のファーストプレーがチームを鼓舞したと話したが、家長自身は「チーム全体のことは、そこまで考えていませんでした。自分自身が、新たなモチベーションを持たないといけないと思っていました」と、あくまで自分を鼓舞するプレーだったと強調した。

 だが、このファーストプレーから大宮は横浜FCを圧倒し、上記の2ゴールにつなげた。中盤に下がってボールを動かし、アタッキングサードでは決定的なことをする。家長自身が決めた2点目は、後方から走り込み、渡部のクロスに豪快に左足で合わせた。難易度の高いシュートに見えたが、「あんまり覚えていないので、映像を見て確認したいですね。歩幅的にああいう形になっただけ。ボールに合わせただけです」と、自身にとっては特別なプレーではないと振り返る。

 圧倒的な個の力を見せ、好調なチームを引っ張る家長だが、「2-0の時間が長かったし、3点目を早く取りたかった」「決定機を外していたので、反省点はある」と、まるで満足する様子はない。来シーズン、J1でどれだけ出来るチームにするか。そこを見続けているからだ。「開幕戦の前から、それは思っています。来年のことは、とやかく言えませんが、J1でもしっかりプレーできるという自信を持って、今はやっています」。

 他クラブが勝ち点を重ねられない中、今季2度目の5連勝を飾った大宮。彼らが積み重ねているのは、勝ち点だけではない。

(取材・文 河合拓)

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