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3戦2発のFW高木大輔、SB起用を経ての“原点回帰”

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[7.26 J2第26節 東京V1-0京都 味スタ]

 長年慣れ親しんできた最前線の定位置。そこで得るものは、やはり格別だった。決勝点を決めた東京ヴェルディFW高木大輔は「ここ3試合、FWで出られることは楽しいなって感じました」と笑顔。「久々にあんなに気持ち良かったです。守備でスライディングしてボールに当たったとき、なんだか気持ちいいって思って」と吹っ切れた表情をみせた。

 これまでクラブでの主戦場はFWだったが、今季は年代別代表時にも経験してきたSBで4試合に先発してきた。しかし、前々節・北九州戦(1-0)で“原点回帰”。今季初めてFWとして先発すると決勝点の活躍。続く熊本戦(1-0)、京都戦(1-0)もFWで先発すると、3戦2得点の結果で3連勝へ貢献している。

 もちろん、SBでの起用に不満があったわけではない。その都度、自分の力を最大限に発揮しようと努め、「試合に出られるなら、どこでもいい」。その一心でがむしゃらにプレーしてきた。持ち前の運動量で必死にボールを追う姿は相手の脅威にもなった。それでも、この3連戦でFWとしてピッチに立つと、忘れかけていた感触が一気に戻ってきた。ただただ、楽しかった。

 この日の試合、前半はうだるような暑さや連戦の影響からか身体が重かったという。冨樫剛一監督からはギアを上げていくように指示が入る中、思うように身体は動かず。「竜士くん(杉本)が前から頑張ってくれて、(自分は)このままだと前半で交代かな」と不安もよぎった。

 それでも身体に鞭打ってプレーを続けると、「後半に入ったら、なぜかスッと身体が軽くなった」。果敢なプレスをかけては、必死に前へ走り込むと、これが功を奏す。後半12分、DF安在和樹のパスへ走り込み、PA左で受けたところで相手DFに倒されてPKを獲得。自らゴール右隅へ決めたシュートが決勝点となった。

「FWでもSBでもそれぞれ役割がある。それを全うすることで、今日のPKのようなチャンスが巡ってくる。役割を続けていけば、自分に対するご褒美でもあるゴールも取れるのかな」

 2013年にプロ契約するも、2シーズンで21試合1得点とくすぶっていた19歳のストライカーが目覚めつつある。高木は「順調すぎますよね。怪我をしないか怖いです」と笑いながら「今季は11試合で3点ですよ」と胸を張る。

 FWの“醍醐味”を思い出したストライカーは満足することなく貪欲に語った。「まだFWとして90分は出ていないので。このハードワークを90分続けられる選手になれれば。これで満足してはいけない。得点や試合数を増やしていくことが自分の成長につながるはず」。幼い頃から愛してやまない緑のユニフォームで勝利を届け続ける。

(取材・文 片岡涼)

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