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4戦連発の大宮FW家長「90分の中で1得点か1アシストはやらないといけない」

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[8.8 J2第28節 大宮1-0栃木 NACK]

 栃木SCの守備に苦しめられた大宮アルディージャは、後半42分にPA内でFWムルジャが倒されてPKを獲得した。時間帯を考えても、決めれば勝利が決定的になるこの場面で、PKのキッカーを務めたのは、MF家長昭博だった。

 今シーズン、大宮はムルジャがPKを蹴ることが多かった。だが、このときはムルジャが得たPKだったにも関わらず、短いやり取りの後に家長がキッカーを務めることになった。「チームではオレか、ムルジャが蹴ることになっています。どっちかですし、昨年も蹴っていたので。自然な流れです」と、家長は自身がPKキッカーを務めたことが特別なことではないと強調する。それでも、キッカーを務める責任は強く感じていたようだ。

「(PKを)もらった選手から奪って蹴ったので、決めないといけませんでした。(ムルジャとのやりとりでは)『オレが蹴る』と押し切りました」

 PKについて家長は「蹴るだけだったので、蹴っただけです」と涼しい顔で話すが、強い弾道のボールは、コースを読んでいたGK竹重安希彦の手の先を抜けてゴールに決まった。この得点で家長は4試合連続ゴール、そしてチームも8連勝となった。

 4試合連続でのゴールについて、「続いているのは嬉しいです」と話す。だが、違う形で勝利に貢献したかったという本心ものぞかせた。「でも、苦しいときに決められるようになりたいです。PKではなく、流れの中で」と話す。

 この試合、家長はここ数試合ほどの存在感を示せなかった。ボールを失う場面も多かったが、確信犯的な面もあったようだ。

「ナイーブにならなくてもいいと思うし、もっともっと取られるか、取られへんかっていうところに、ボールをつけていかなくてはいけないと思う。そういう繰り返しが成長になると思う。丁寧になり過ぎる必要もないと思うし、どんどんチャレンジしていけばいいと思うので。自分たちのミスからピンチもありましたが、回数的にも、シチュエーション的にも、大したピンチはなかったと思うし、守備は安定していると思うので。攻撃の選手としては、もっと早い時間に点を取れれば、相手も崩れると思います。簡単ではないですけど、そういうシチュエーションになればいいです」

 J2リーグ戦も残り3分の1となり、大宮は首位を独走している。より高い精度が求められるJ1での戦いを想定しながらのプレーを心掛けるべき、ということなのだろう。その点では、ここまで重ねて来た勝ち点のアドバンテージは、リスクを冒したプレーを仕掛ける上で、大きなアドバンテージにもなる。

「自分たちの今の立ち位置とか、落ち着いて見ながらできていると思いますし、細かいことを言ったらキリがありませんが、変わらずに続けていきたいと思います。ああいう相手も、いつか崩せるようにする糧だと思いますし、ちょっとずつ成長はできていると感じています。続けていくことです」

 厳しいマークを受ける中でも、自分に課しているテーマもあるようだ。この試合、後半だけで家長は3本のシュートを放っているが、シュートの本数が増えているのは、その表れのようだ。「いろいろなことを試さないといけない。相手のDFに90分間マークされるので、いろいろなことをやりながら、90分の中で1点か1アシストはやらないといけないと思っています。流れの中でね」。今節も2位の磐田との勝ち点差を2広げた大宮は、そのアドバンテージを使って、どこまで自分たちを高めていけるか。

(取材・文 河合拓)

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