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J1復帰に導く劇的ボレー、磐田MF小林「まぐれでも奇跡でもない」

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[11.23 J2第42節 大分1-2磐田 大銀ド]

 地獄の淵からチームを救い出した。1-0で迎えた後半45分、大分MFパウリーニョの弾丸ミドルがゴールネットに突き刺さった瞬間、ジュビロ磐田の自動昇格の可能性はついえたかに思われた。「だれもがあきらめていた時間帯。そういうときに決め切る力を付けられたのかなとちょっと思った」。殊勲のMF小林祐希はそう言って微笑んだ。

 失点後、キックオフから左サイドにボールを展開すると、MFアダイウトンのパスからスペースに飛び出したMF上田康太が素早くゴール前にクロス。小林が胸トラップから左足を振り抜き、GKの手を弾いてゴールネットを揺らした。

「止めて、蹴る。それしか考えてなかった。いいところに止めて、絶対にふかさないように。1年間、ずっと練習してきた形だった。まぐれでも、奇跡でもない。練習どおり。練習でずっとやってきたことが出た。奇跡とか、持っているとか言われたくない。奇跡じゃない。当たり前のゴールです」

 失点直後の劇的な決勝点。ゴール裏のサポーターのもとへ走っていく小林を追いかけるようにピッチ上の選手、さらにはベンチの控え選手たちも飛び出し、熱狂の渦に包まれた。

「あんなに喜んだのは初めて。23年間で初めてというぐらいはしゃいだ」。頭の中は真っ白だったのか? そう聞かれたレフティーは「真っ白ではなかった。未来が光に溢れていた。来年が見えた」と、その瞬間、脳裏によぎった光景を“小林語録”で語った。

 FW宇佐美貴史(G大阪)、MF柴崎岳(鹿島)らと同じ92年生まれのプラチナ世代。「やっとスタートラインに立てる。代表に入っている同年代の選手たちと同じラインに立てる。本当にやっとだなと」。J1復帰の喜びに浸る小林は、古巣にも思いを馳せた。

「ヴェルディが負けたから、そっちが残念だった。でも、彼らはまだ若いし、まだまだ上を目指せる。自分はジュビロで(J1に)上がるけど、ここまで来れたのはヴェルディで育ててもらったおかげだから」

 下部組織から育った東京ヴェルディはシーズンを8位で終え、J1昇格プレーオフへの出場権を逃した。かつて東京Vの背番号10を付け、クラブ史上最年少の19歳でキャプテンも務めた小林。古巣への感謝も胸に、3年ぶりとなるJ1の舞台に再挑戦する。

(取材・文 西山紘平)

●[J2]第42節 スコア速報

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