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わずか3分で“6バック”崩壊…割り切った甲府・佐久間監督の奇策実らず

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[4.1 J1第1ステージ第5節 浦和 2-1 甲府 埼玉]

 残り時間は25分。数的不利に陥っていたヴァンフォーレ甲府佐久間悟監督は一つの決断を下す。後半20分、5-3-1の1トップを務めるFWクリスティアーノをベンチに下げ、DF畑尾大翔をピッチへと送り込む。畑尾が向かったのは最終ラインの中央。前線には誰もポジションを取らず、超守備的な6-3-0で浦和の攻撃に耐え切ろうとした。

 前半31分にDF山本英臣が2度目の警告を受けて退場したことで、約60分間を10人で戦うことになった甲府だが、浦和の攻撃を体を張った守備ではね返し続けて前半をスコアレスで折り返す。佐久間監督は「浦和相手に長い時間9人で戦う難しさはあったが、我々が思うような展開になっていた」と手応えを感じていた。

 後半もクリスティアーノを1トップに残して、「カウンターを仕掛ける」とわずかなチャンスを得点に結び付けようとしていた。しかし、後半17分に浦和がFWズラタンを投入したことで、思い切った決断を下す。同20分に畑尾を投入して、6バックを採用したのだ。

「ズラタン選手が出てくると、サイドを攻略されてクロスを上げられることを考えた。クロスを上げられるのは非常に嫌なので、クリスティアーノを外して6人のバックラインにした」。数的不利な状況、残り時間を考えると、より守備に重心を置いてゴールを守り抜き、勝ち点1を確保することが得策だと考えたようだ。

 しかし、この采配が裏目に出る。システム変更からわずか3分後の後半23分、FW興梠慎三に中央突破を許して先制点を献上。浦和の1トップ+2シャドー+両アウトサイドに対して、5バックならばマンツーマン気味に監視できていたが、6バックにしたことで「バックラインの人数が1人余ることで、ちょっとプレッシャーに行くタイミングが外れた」と指揮官は失点場面を振り返った。

 守り抜こうと決断を下して採用した6バック。しかし、わずか3分での崩壊に「あと10分15分我慢しても良かったかもしれないし、5人のままだったらマークが明確で守れたかもしれない」と自らの判断を悔いた。

(取材・文 折戸岳彦)
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