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被災地で「逆に元気もらった」 鹿島DF植田、完璧な守備に幻のゴールも

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[4.30 J1第1ステージ第9節 大宮0-0鹿島 NACK]

 無念のノーゴールだった。空中戦にことごとく競り勝ち、チームとしても被シュート2本に抑える完璧な守備。それでも鹿島アントラーズのDF植田直通は「(攻撃で)セットプレーの回数が多かったし、僕が決めないといけない場面もあった。そこは自分たちの責任」と、無失点を喜ぶよりも無得点を悔やんだ。

 前半23分、MF遠藤康の左CKから植田が打点の高いヘディングシュートでゴールネットを揺らしたが、競り合いで植田のファウルを取られ、得点は認められなかった。後半27分には植田のロングパスにMFカイオが反応。GKと1対1の決定機を迎えたが、シュートは相手GKの好セーブに遭った。「僕がボールを持ったときに前が動き出してくれる。そこにボールを出すだけだし、今日はあと少しだった。次も狙っていきたい」。チームは2試合連続の無得点。攻撃の起点として責任の一端も感じている。

 熊本県宇土市出身の植田は被災地への思いを胸にプレーを続けている。熊本地震から間もない16日の湘南戦(3-0)では試合後のインタビューで言葉に詰まり、「僕にはそれ(サッカー)しかない。頑張ります」と涙ながらに語った。翌17日の練習後、有志のチームメイトと熊本へ飛んだ。18日の練習がオフだったこともあり、熊本県内の避難所を慰問するなど被災地の支援活動を行い、同日中に鹿島に戻った。

 シーズン中の強行軍だったが、故郷のために居ても立っても居られなかった。「熊本へ行った僕が逆に元気をもらった。熊本の方々はすごく苦しんでいるのに、『がんばって』と応援してくれた。サッカーができる幸せをあらためて感じたし、今は試合で90分しっかりプレーすることしかできない」。自分を応援してくれる人たちのためにも、下を向いている時間はない。中3日で迎える次節・新潟戦(カシマ)へ、「もう一つも負けられないし、一つも勝ち点を落とせない。しっかり調整していきたい」と気持ちを切り替えた。

(取材・文 西山紘平)

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