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「5分で代えられると思った」痛恨ミスも…岡山FW豊川、1G1Aで指揮官に恩返し

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[5.3 J2第11節 横浜FC 0-2 岡山 日産ス]

 チャンスはいきなりやってきた――。第6節東京V戦以来、5試合ぶりの先発出場を果たしたファジアーノ岡山FW豊川雄太は「目に見える結果がすべてだと思っていた」と並々ならぬ思いを持って試合に臨んでいた。すると、開始わずか3分で豊川に決定機がもたらされる。

 センターサークル付近でボールを受けたMF伊藤大介が前を向くと、豊川が一気に最終ラインの裏に抜け出そうとする。伊藤から送られた鋭いスルーパスで一気に抜け出し、GK渋谷飛翔との1対1を迎えたものの、右足で放ったシュートはゴール左へと大きく外れてしまった。

「気合いが入っていたけど、入り過ぎての開始早々のミス。決まれば良かったけど、予想外に変なところに飛んでしまった。前半5分で代えられると思った」と苦笑するしかなかった。しかし、以前だったら決定機逸を引きずることもあったが、「気持ちを切り替えられた」とその後も精力的にゴールを狙う。

 するとスコアレスのまま迎えた後半21分、後方から送られたボールをトラップで浮かして相手DFを一気に振り切ると、右サイドからのグラウンダーのクロスでFW赤嶺真吾の先制点をアシスト。さらに同44分にはDF澤口雅彦のパスを受けると左足で強烈なシュートを突き刺してダメ押しゴールを奪う。後半アディショナルタイムにベンチに下がることになったが、1ゴール1アシストの活躍でチームに3試合ぶりの白星をもたらした。

 今季、鹿島から期限付き移籍で岡山に加入。開幕戦ではスタメンを飾ったものの、その後の出場機会は第6節東京V戦の先発出場を除き、すべてが途中出場だった。先発出場できない状況に当然悔しさはあったが、必ずと言っていいほどピッチに送り出してくれる長澤徹監督の期待に応えられないことが何よりも歯がゆかった。「本当に悔しくて、監督に申し訳ないという気持ちがずっとあった」。

 これまで先発した2試合はともに後半12分に交代しており、この日も「あそこ(点を取る時間)までピッチにいるとは思っていなかった」ようだ。しかし、「代えらないとういうのは、監督に『点を取れ』という思いがあったのかもしれない」と指揮官の思いに応えるかのように、ダメ押しゴールを叩き込んだ。「使ってくれた監督に本当に感謝したい」と指揮官に少しでも恩返しできたことに笑顔を見せた。

(取材・文 折戸岳彦)
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