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伏線あった一発退場…東京V平本「そこまでの人間ということ」

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[6.12 J2第18節 千葉2-2東京V フクアリ]

 痛恨の退場だった。0-2のビハインドを跳ね除け、逆転へ流れをつかんだかに思われた東京ヴェルディだったが、2-2の同点弾直後にFW平本一樹が一発退場。数的不利となると、逆転は叶わずに勝ち点1を手にするに留まった。

 退場へ伏線はあった。0-2の後半29分、東京VがFWドウグラス・ヴィエイラのゴールで1点を返した直後。ゴールインしたボールに東京VのDFウェズレイが近づくも、GK佐藤優也がボールを抱え込んだ。長くボールを保持する相手守護神に憤る東京Vの選手たち。主審が間に入り、GK佐藤がボールを離すまでかかった時間は実に約15秒。リスタートまで長い時間を要した。

 そして後半35分、東京VがMF澤井直人の得点で追いついたときだった。ゴールインしたボールにGK佐藤が近寄ろうとした瞬間、走り込んでいった平本が後方からタックル。バランスを崩したGKを尻目に、前方に流れたボールを拾い、リスタートしようとした。このアクションで平本はレッドカード。退場となった。

 退場シーンを振り返った平本は「個人的にあいつに対して、イライラしていた」と昨季のチームメイトでもあるGK佐藤へ苛立っていたと明かし、「1点目のあと、あれだけずっとボールを持っていたのは、イエローカード。結果論ですけど、あれを(レフェリーが)取ってくれていたら、ああいう風にはならなかった」と語った。

 実際に90分を通じて、オンサイドだったプレーがオフサイドを取られたり、レフェリングの影響を大きく受けたゲームだったのはたしかだ。それでも、逆転が十二分に可能だった状況で個人的な感情で熱くなり、戦況を変えてしまったことは悔やまれる。

 試合後に平本と2人で話したという冨樫剛一監督は「気持ちも分かる。でも平本はクラブを背負ってきていて、クラブへの思いも分かっている人間だからこそ、同点に追いついて、自分たちが残り時間で何をするべきか。もっと分かっていないといけなかった」と口調を強めた。

「自分の中では一樹に対する信頼が厚いなか、あいつがいたら逆転できたんじゃないかと今でも思う。自分も一樹も、クラブをこんなところにいさせたらいけないという思いがあるからこそ、何をしないといけないのか、もっと考えないといけなかった。ゲームのなかで決着をつけられれば……」

 退場処分となった34歳のFWは「何を言われても仕方ない。もちろん反省はしているけれど、やってしまったことだから」と言い、「僕がそこまでの人間ということ。ラスト15分で結果を出すのではなくて、“あそこ”で存在を主張してしまった。ただただそれだけ」と一発退場を受け入れていた。

(取材・文 片岡涼)
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